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ディアスポーラが、祖国インドへ戻る時
インドは、アジアの‘ニュー・タイガー’になろうとしている。
すでに人口12億1,400万人を抱え、今から14年後の2025年には日本一国以上の
人口が増え、中国を抜き、13億9,600万人と世界一の人口の国になるインドだが、
その現在の経済規模は、日本や中国のほぼ5兆ドル(2009年)になった名目GDPと
比べても、その4分の一の1兆2,370億ドルと、今のところはるかに少ない。

ソフトウェア技術者の輩出など、世界に突出した面もあるが、
国そのもののインフラ、制度作りが不十分で、いまだなかば眠れる大国である。
インドは、インフラや工業設備が足りないから、
日本なら高炉→ソフトウエアの順が、この国では逆で、まずソフトウエア、
そのあと大きな設備投資のいる事業へという順だ。

もう10数年前の古い話だが、インドへ行ったとき、いろいろ驚かされた。
ITの街バンガロールの主要道路は舗装されていなかったし、
商都ムンバイの歩道には、人々が並んで寝ていたし、
首都デリーの空港は、世界のいなかの建物のようだったし、
デリーからタージマハールへの車道は、牛がこちらへ向かって歩いてきたものだ。
10数年前のことである。

今は、そのインドで、国造りのピッチが上がろうとしている。
主要三分野は、教育と医療とインフラ作りだと、直近のバンコク・ポスト紙の
「アジア・フォーカス」は伝えている。

教育分野では、「今後10年間で実質経済成長率を目標の年平均9-10%に持っていくなら、
現在2億5千万人の高等教育卒業者を、倍増の5億人にしなければならない」と
人材開発省の長官は言っている。
人口12億の国では、話の規模が大きい。

なおインドの直近の経済成長率は、2010年が9.7%と10%近くだったと推測され、
今年も8.5%ほどが期待されています。

しかし、そうなると、高等教育を授ける学校と教師が足りない。
高等学校卒業者2億5千万人のうち、大学へ行くのは12.5%しかないという。
これを中国並みの23%にもって行きたいという。
仮に、高等学校卒業者が倍増し、大学進学率もほぼ倍増するとなると、
大学生の数は、現在の3,125万人から、1億1,500万人へと、3.7倍増という計算になる
(ただし、これらの数字の裏はとっていません)。

インドは英語圏でもありますので、
インドの東部メガラヤ州の大学にはタイや韓国からの留学生も多いそうです。
また、インドの資産家が、米ペンシルバニア大学のウォートン・スクールの
キャンパスの誘致に動くなど積極的です。
数字のゼロを発明した国だけに、教育へは熱心です。

総合大学の数も、現在の600大学から,さらに1,000以上は必要になろうと、政府は見ています。
2020年までには、総合大学の学生数は、現在の1,400万人から、
4,000万人に増えているだろうと長官は見ています。
また単科大学も、現在の2万5,000校から7万校以上になるだろうとのこと。
今後10年間の投資額は、1,500億ドルにのぼろうと見られます。

ディアスポーラが、祖国インドへ戻る時_d0159325_2053142.jpg

医療となると、インドは、すでに旧宗主国イギリスなどからのメディカル・ツアーの
受け入れに熱心です。イギリスでは、国内の医療施設や病院のキャパシティーが
きつくなり、インドへ行って治療を受けるメディカル・ツアーが根付いています。
言葉の問題がないことが、やりやすくさせています。

タイに近い東部のアッサム州は、アセアン諸国へのゲートウェイとして、
アセアンからの投資誘致に熱心です。
森林資源の豊かなアッサム州は、メディカル・ツーリズムのハブを目指しています。


インフラ作りに関しては、そのニーズは膨大です。
ビルマのダウェイ開発に乗り出す「イタリアン・タイ開発」会社は、インドに対しても
積極的です。
首都デリーの地下鉄網だけ見ても、2017年までには、総延長416キロを目指し、
ロンドンのメトロ網408キロを抜いて、世界一になるつもりです。
ちなみに、これに続くのはニューヨークの370キロ、上海の345キロ、東京の304キロです。
また、インドのハイウェイも、今は毎日12kmずつ伸ばしていますが、
これを日々20kmにペースアップしたいと、道路輸送省の長官は考えています。
1年で7,300kmだ。

今後5年間で政府はインフラ・プロジェクトに1兆ドル以上を投じる計画であり、
その30%を海外からの投資に期待しています。

ことに、91年には財務大臣を務めたこともあるマモハン・シン首相は、
海外にいて、ユダヤの流浪の民になぞらえて「ディアスポーラ」と呼ばれる
NRI(非在住インド人)、印僑たちに対して、いまこそ祖国への富と頭脳の
リターンを呼びかけています。

ディアスポーラ達の国外脱出は、かつてインドが外貨不足に苦しみ、
経済が停滞した時期に加速し、‘頭脳流出’と騒がれたものです。
NRIには、選挙人名簿への登録を許可すると首相は呼びかけています。

大国インドの成長へのチャレンジが始まろうとしています。
by ucci-h | 2011-01-24 20:53 | 中国・韓国そしてインド | Comments(0)
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