あらゆる経済分野で「グローバル戦略パートナーシップ」をもって、
日本を凌駕する韓国だが、資本市場(証券市場)の
標準トレーディング・プラットフォーム作りで、アセアンに地歩を築き、
韓国をアセアンの‘フィナンシャル・ハブ’にしようとしている。
1月11日にラオス証券取引所が開設されたのはお伝えしたが、
ラオス証取の49%の株式は、韓国証券取引所(KRX)の所有である。
そして、この7月に開設が予定されるカンボジア証券取引所の45%の
シェアもKRXが持つ。
さらに、ビルマの証券取引所の開設の援助もしようとネゴ中だと言われる。
また、韓国証取は、マレーシア証取のトレーディング・システムの入れ替を
手伝っているし、ベトナムの両証券取引所の同様なプロジェクトの遂行にも
選ばれている。さらにフィリピン証取とのIT連携も行なっている。
さらに最近では、モンゴル、ウズベキスタン、シカゴ商品取引所の契約まで
獲得している。

KRXは、これらアセアンの証券取引所の開設や近代化で
すぐのリターンは求めていない。ラオス、カンボジアの両取引所の
開設に、ITハードウエアやソフト、運転資金の提供で、KRXは
1,880万ドルを注ぎ込んだが、4年以上先にリターンがあればいいと見ている。
カンボジア証取の運営資金だけでも200万ドル提供している。
それというのも、アセアンの証券取引所の運営だけでリターンを求めている
わけではないからだ。アセアンの証券取引所を韓国発のプラットフォームで
共通化し、東南アジアの証取を‘韓流’に抱えこもうとしているからだ。
ラオスやカンボジアの企業がこれから株式公開すれば、いずれ韓国証取にも
上場させ、韓国とアセアンとの「デュアル・リスティング」を狙っている。
ラオスの証取の開設に当たっても、2007年9月に話が生じて、わずか4年少しで
完成させてしまった。韓国はシステムを提供するだけでなく、運営ノウハウや
スタッフの無料教育までやっている。
ラオスの中央銀行総裁も、韓国の熱情とその技能には感心したと言っている。
韓国の証取システムがアセアンのデファクト・スタンダードになるかどうかは
まだわからないが、貿易から投資、さらに資本市場の抱え込みと、
そのアジアへの戦略的な動きには感心する。
東京証券取引所はどう対応しているのかしら、斉藤さん?


