以前の各国の実質金利の話の中で、お伝えした。
「アジアの低インフレ国も金利引き上げ 2011-5-7」
http://uccih.exblog.jp/13529627
その中国の景気が、積極的な金融引き締め策の功もあり、
スローダウンし始めたようだ。
4月の鉱工業生産高は、+13.4%ながら予想を下回り、
小売り売上高の伸びも、前年比+17.1%と高いが、
3月の伸びを下回ってきた。
消費者物価も、4月は5.3%とわずかながら、3月の
32ヶ月ぶりの高い伸び5.4%を下回った。
食品価格はなお前年比+11.5%ながら、3月から0.4%下がった。
昨年10月以降4回の金利引き上げと7回に及ぶ預金準備率の引き上げ
(現在20.5%という記録的な高さ)により、マネーサプライ(M2)は、
4月は15.3%増にまで縮まり、銀行の市中貸出し残高も、
4月末は17.5%増と、いずれも過去29ヶ月で最低の数字になってきた。
この結果、中国の今後の金利の引き上げには、むしろ警戒する
見方が出てきた。気の早い連中は、年後半は金利引下げだという。
預金準備率は、今後2ヶ月以内にもう1度引き上げられるかもしれないが、
今後の金利引き上げはないかもしれないと・・・。
中国は、昨年来、金利の引き上げに躊躇しなかったので、この4月には
金融機関への貸出金利を6.31%まで引き上げている。インフレ率5.4%を
金利が上回る実質金利プラスの国になっていた。
政府の今年のインフレ目標は4%だが、月々のインフレ率が今後
5%を割ってくるなら、金利引き上げサイクルが一巡したのかもしれない。
折りから、国際商品価格、原油価格が緩んできている。
この世界第2位の経済大国が景気スローダウンするなら、
コモディティー投機の引き上げも本物になろう。