チャーミングなタイの初の女性首相になる
だろうから、ぜひ、4年間の任期をまっとう出来るよう
がんばってもらいたい。
タクシン派の前々首相サマックは9ヶ月で、
前首相ソムチャイは3ヶ月で退陣に追い込まれたのだから・・。
しかし、インラックの前には難しい問題が
立ちはだかっている。
ちょうど右にも左にも落ちず、上手な綱渡りが
求められる感じだ。
「ポスト・トゥデー」紙が、難関の数々を示してくれている。
1.支持基盤の拡大
タイ貢献党は、選挙において、東北部と北部では圧勝した。
しかし、バンコクでは10対23と大きく負け越し、
南部では全敗した。
タイの階層を、貧しい層、中間層、エリート層の3つに分けるなら、
タイ貢献党は、貧しい層の支持は得たが、中産階級層とエリート層
の支持はつかんでいない。
中間層の支持を得るには、タイのビジネス、経済がうまく運ぶような
経済政策をとることである。あまりにポピュリスト的政策にこだわると、
中間所得層がいっそう離反していく。
といって、選挙公約を反故にするとなると、支持基盤が次回から離れていく。
インラック自身が、決断力がなく、優柔不断だと思われると、支持層が減る。
2.政治的救済措置の運用
憲法を改正して(憲法は、政権が変わるたびにたびたび改正される)、
救済法を設けて、タクシンや赤シャツ隊リーダー、さらに2006年の
クーデター以後の両陣営の有罪者を救済してやる措置を講じようと
している。
公平な救済措置は、和解への道でいいことだが、赤シャツ隊の
デモを暴力で封じ込めた権力側をあまりに許すと赤シャツ隊が
黙っていない。またこの措置で即座にタクシンの帰国を許すと、
再び国内にかく乱要素が持ち込まれようと、懸念される。
3.連立政権での閣僚ポストの配分
タイ貢献党は選挙で過半数の260議席を確保したものの、
政権運営の安定化のため、小党5党を入れ、与党議席数を
300とした(議席1の新民主党まで入れてしまった)。
そこで30ほどの閣僚ポストの配分がやっかいになる。
かつて、サマック政権も、ソムチャイ政権もこれで
その後、足を引っ張られている。
2008年12月民主党アピシット政権が出来たときも、
タクシン派の中にいたニューイン率いる
ブームチャイタイ党に寝返りをうたれ、
第1党なのに政権を民主党に奪われている。
また、選挙で功労のあった赤シャツ隊の指導層に
閣僚のポストをあげるとすると、閣僚の能力に懸念している
バンコクの中間層やエリート層から反発を招くだろう。
彼らは、タイ貢献党の経済政策に不安だからである。
4.国王誕生日の祝賀
タイ貢献党は、王室に対する党のイメージを
改善しようと12月5日のプミポン国王の84歳の
誕生日に向けて、大々的な祝賀をやるつもりである。
しかしあまりやりすぎると、こじんまりとやることを希望する
UDD(赤シャツ隊)と悶着が起きる。
さて、ハネムーンの時期はじきに過ぎ行く。
その後のインラック首相のビジネスで鍛えた
お手並み拝見である。