チェンマイでは、コメの収穫がはじまっている。
2日目の8月24日に、最初に槍玉に上がったのが、以前
評判の悪かった「コメ抵当システム」の再導入方針である。
野党民主党は、以下のようなネガティブな点をあげた。
①このシステムは、貧しい農家よりも大きな輸出業者を潤す。
取り扱いが多く、また外国米を紛れ込ませることのできる
流通、輸出業者が大きくベネフィットを受けると言うわけだ。
根拠は分からないが、農家で恩恵を受けたのは3分の一だったと言う。
さらに、カンボジア米等の外国産米が、
高値買取を利用して、5~60万トン紛れ込んだと言う。
②政府は大きな損を抱えることになる。
2007年のソムチャイ・タクシン派政権のときは、
160億バーツという巨額の損が出たという。
この年の暮れ民主党が政権を引き継いだ時は、
政府在庫は560万トンにのぼり、倉庫代だけでも
年に100億バーツかかったと言う。
8年間も眠ったコメもあったという。
③これは、初耳だが、この高値買取と言う補助金政策は、
WTO(世界貿易機構)のルールに抵触するおそれがあると、民主党はいう。
WTOの規約によると、メンバーの輸出品への補助金は10%内に
限られていると言う(このケースの場合は、安値にするのではなく、
反対に高くするのだけれどね・・)。
規約違反となれば、コメだけでなく、他の輸出品にも弊害が及ぶと
民主党は主張している。
④さらに、このシステムの弊害として、腐敗が取り付きやすいことの
他に、農民が生産性アップや品種改良、技術革新に取り組まなくなる
こともあげている。
ベトナムは、今コスト削減に取り組み、灌漑、肥料、品種改良に
積極的に取り組んでいるという。
ベトナムの輸出向けのコメはFOBでトン570ドル。これに対し、今のタイ米の
輸出価格はすでに625ドル。来年には800ドルにまで上がると見られる。
ベトナムの香り米は、今やタイのジャスミン米に引けをとらない。
ベトナム米は、アセアン市場では、すでに70%のシェアを獲得しているという。
このコメ抵当システム、過去に評判が悪かっただけに突っつかれやすい。
タイ貢献党政権は、いかなる工夫を施して、このシステムを持ち込むのだろうか。