インドネシアを他山の石に、エネルギー補助金を見直すタイランド
産油国インドネシアが、今は、OPEC(石油輸出国機構)
の加盟国でないのはご存知だろうか?
2008年9月にOPECから脱退している。
なぜか?
産油国なのに、原油の純輸入国になってしまったからである。

原油生産が1991年の日産167万バレルをピークに、
近年は日産100万バレル程度に落ちてきた中で、
石油の消費量は、補助金による低価格もあって、増大。
今や高品質原油は輸出しているが、それ以上に原油を輸入。
原油の純輸入国になっているのである。

国内の石油消費量が、生産量を上回るようになったのだから、
エネルギー価格に対する補助金をやめればよさそうなものだが、
慣れ親しんだ“補助金による安価なエネルギー”は麻薬みたいなもので、
これを撤廃して値上げとなると、政権が吹っ飛ぶことになるから、
なかなかやめられない。

たとえば、タイのガソリン価格は、今リッター33~36バーツ(100~110円)ほど
(ディーゼル油、LPG、CNGには補助金が出ているが通常のガソリンにはない)。
これに対して、インドネシアのガソリン価格は、なおリッター6000ルピア(55円ほど)
程度か(直近の価格未チェック)。国の補助金で3割近く安くなっているからだ。
また、電力料金にしても、タイでは1kwhあたり3.5バーツ(10円)ほどだが、
インドネシアは、補助金で、生産コストよりも7割近くも安い。1kwhあたり600ルピア
(5.5円)ほどと安い。

インドネシアのエネルギー補助金の総額は、08年で275兆ルピア(約2.5兆円)
の巨額に上ったというからすさまじい。国の予算1000兆ルピア(9兆円)の
3割近くが補助金ということになる。

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こういったインドネシアの動きの取れない状況を他山の石にして、
ようやくタイランドも、過去30年続いたエネルギー補助金政策の見直しに
はいってきた。

タイの最大手国有石油会社PTTの調べによると、
タイのエネルギー補助金総額は、今年度1290億バーツ(43億ドル)にのぼり、
政府の歳出額2兆バーツ強の5%強を占める。
内訳は、ディーゼル油への補助金が680億バーツ、
LPGへの補助金が360億バーツ、CNG(圧縮天然ガス)へのそれが
250億バーツである。

このままだと、原油価格の上がり方によるが、PTTでは、
エネルギー補助金は2015年には2040億バーツ、2020年には
3670億バーツに達し、歳出の10%を占めるまでに達すると見ている。

補助金の恩恵は、狙い通り低所得者に行っているわけではない。
ディーゼル油で19%、LPGで23%が低所得者向けになっているに過ぎない。
PTTは早めの補助金打ち切りを提言している。
低所得者層向けには、ディスカウント・カードやエネルギー・クレジット
といった援助策があると言う。

PTTだけでなく、エネルギー省も、補助金の撤廃には前向きだ。
エネルギー省のカルジット副次官は、「ディーゼル油への680億バーツの
お金があれば、エネルギー消費の少ない地下鉄を3~4本引ける」と
言っている。
「LPGへの補助についても、家計のクッキング・ガスだけに限るべきだ」
とも言っている。

現在の補助金制度は、また、多くの安くなった油を、国外に持ち出し
販売する行為をもたらしている。何のプラスにもならない。
「補助金というのは、原油価格が急騰した時など一時的に
採用すべきものだ」とも述べている。

いずれももっともな議論だ。
しかし、物価高騰の折、ポピュリスト政策を旨とする
インラック政権に、エネルギー補助金政策を撤廃させる
ガッツがあるだろうか。
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by ucci-h | 2011-09-11 19:37 | 一次産品の市況 | Comments(0)
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北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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