浮き出てきた自動車初回購入者優遇策のデメリット
あす9月16日から、クルマの初回購入者に対する
物品税還付が行なわれることを昨日記したが、
何のため、誰のためかプラス面が分かりにくい中で、
マイナス面、ネガティブな面が浮き出てきた。
タイ貢献党の政策立案者は、ここまで思い至らなかった
のだろうか。思い至っていないだろう。
 「自動車初回購入者優遇策さっそく実施へ 2011-9-14」
  http://uccih.exblog.jp/14560667/

クローズアップされてくるネガティブな面は、
主に以下の4つの分野でだ。
ちなみに、プラス面は、クルマの購入に手の届かない
層のお尻を押し上げて買わせてやり、内需を増やすことであろうが。

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1.国際貿易上の問題。
さっそく、マレーシアやインド、中国の輸入車メーカーから、
「国産車だけを税還付の対象とするのは、明らかに保護主義であり、
アセアン自由貿易地域の取り決めにも違反する」とクレームがきた。

その通りである。
マレーシアからの「プロトン」、インドからの「タタ・ナノ」、中国からの
「チェリー」などの小型車は、車格から言えば、当然、
税還付の対象になる車だが、日本車のようにタイ国内生産していない
ので恩恵を受けられない。
国際的にギクシャクした関係をもたらしそうだ。

2.自動車メーカーも釈然としない。
トヨタやホンダといった自動車メーカーは、車が売れるので
その分は、喜んでいるはずだが、この時点で販売を促進しようという
開発に努めてきた「エコ・カー」に歯止めがかかってしまった。
物品税率17%と低めのエコ・カーは5~6万バーツの税還付に留まるため、
10万バーツまで安くなる普通車に比べ、割安感が減ってしまった。

あまり長期的展望を見ないポピュリスト的政策の表れである。
さらにメーカーは、再来年からの物品税の引き上げを懸念している。

3.車のローン会社の心配の種が増えた。
高額商品であるクルマは、多くがローンで買われる。
そして、楽天的なタイ人のこと、払えなくなれば、クルマを手放す。
しかも、今回の優遇策で無理をして車を買うのは若い層である。
いっそう危なっかしい。

ローン会社は頭金を上げることを考えている
(となると、金のない若年層はやはりクルマに手が出なくなる!?)。
それと、問題は、手放された車をオークションにかけるとき、
この制度を使って買った車は、5年間名義を書き換えられないことである
(5年間の転売禁止)。どうするのだろう?

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4.そして最大の問題が、渋滞・交通問題。
「300億バーツの税金を使うなら、石油を使い、排ガスを出す
クルマを増やすよりも、公共交通機関の充実に使え」という声があるが、
その通りである。
国の長期的方向を展望していないバラマキ政策と言われても
しかたがない。

1日1400台ずつ新車が路上に出てくるというバンコク
(もちろん、廃車もあるが)は、スカイとレインができても、
地下鉄ができても、なお交通渋滞が激しい。
ここ数年の自動車販売の高い伸びでチェンマイの
街でさえ、ラッシュ時には交通渋滞が増えている。

この政策により、50万台分の車に手が届くなるようになるという。
これ以上、渋滞を増やしてどうするのか?
メリットをデメリットが上回ってくる。
しかも、新規購入者は、若者層に多いはずだ。
日本の4倍の頻度の交通事故死はいっそう増えるだろう。

新規購入者優遇の自動車販売は、明日から来年末までの
15ヶ月半、展開される予定だ。
by ucci-h | 2011-09-15 23:58 | アジアの自動車市場

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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