影響を探っていたら、タイにおける個人所得税の
小さな位置にぶつかった。
タイにおける個人所得税の位置をおさらいしておこう。
全体で2兆バーツほどになる国の税収の形は
日本とだいぶ違っている。
日本は、所得税中心に直接税の方がなお間接税収入を
2:1ほどの比率で上回っているが、
タイの場合は、間接税(付加価値税や物品税)の方が、
6:4くらいの比率で、直接税収入より多い。
タイの個人所得税だが、課税基準が高いことと
各種控除が多いことから、無税の人間が多い。
所得税納入者は、外国駐在員含めて、230万人ほどと言われる。
労働力人口3850万人の6%に過ぎない。
タイの人口6770万人に比べると、その3.4%だから、
所得税を納めているのは、29人に一人ほどとなる。
課税所得の下限は、2008年以降で15万バーツ。
過去5万、10万バーツから上がってきている。
課税所得は、総収入から所得控除を引いて算出されるが、
標準家族で控除額は、15~16万バーツになるので、
年間の収入が、25万~30万バーツまでなら、個人所得税を
納めなくてすむことになる。
25万~30万といえば、月2万~2.5万バーツの収入。
タイの農林水産業も含めた全産業の平均月収が、
統計局の2010年末の数字で、9650バーツ。
非農業部門だけでも10540バーツと、1万バーツをわずかに超える
ところだ。
従って、月2万~2万5千バーツ以上と言えば、外国人を除けば、
金融関係、公益事業、高等教育の専門職の収入だ。
230万人と言えば、タイにおける各種専門職ほぼ400万人
(全労働人口の10%ほど)に近い数字だ。
ちなみに、タイで働いている大学卒は、専門科、教育科出身を
含めて、560万人ほどだ。全労働人口の15%くらいとなる。
住宅の初回購入者に対し、課税所得控除案が
出てきたが、このタイにおける個人所得税の実態を見れば、
この住宅購入優遇策は、「低所得者には関係なく、
高所得者向けのもの」と言われてもしかたない。
何のための住宅購入優遇かとなる。
これについては、別稿で。