独仏伊と違って、イギリスは、EUには入っているが、
ユーロ圏には入っていない。依然自国通貨ポンドを使っている。
ならば、ギリシャ、スペイン、イタリアなどに比べて状況はいいかというと
そうでない。
ポンドはユーロ圏に入っていないから、為替の裁量の余地があると言っても、
弱いユーロやドル以上に安くなっているわけではないので、
為替安で輸出を伸ばすというわけには行っていない。
イギリスも、財政赤字、公的債務の規模では、欧州諸国にまけていない。
GDPに対する財政赤字の比率は、2010年で10.4%と、アイルランド32.4%、
ギリシャ10.5%に次ぐ高さである。
北欧諸国の2~3%に及びもつかない。
公的債務残高のGDPに対する比率でも、2009年末で68%、
現在は80%ほどに達していると推計され、この数字も中堅上位にある。
そして、景気も悪い。失業者が多い。
ことに、鉄の女サッチャーの伝統を受け継ぐ(?)保守党連立政権である。
キャメロン政権は、公務員のカットなど容赦なく、矢継ぎ早にやる。
ロンドン北部では、8月に暴動が起こっている。
日本の学校の先生など、公務員は、失業保険を払っていない。
失業や首切りなどないという前提だからだ。
イギリスは容赦ない。
今年の第2四半期(4-6月)だけで、イギリスの公務員の数は、
11万1千人も減って、603.7万人になっているという。
7月までの3ヶ月でイギリスの失業者は8万人増えて、251万人
(失業率7.9%)となっているが、公務員が増加の多数を占める。
政府は、「財政赤字削減のため公務員を減らすから、その分は
民間で雇用してくれ」と言うが、民間も景気が悪く、民間の
雇用は、4-6月で4万1千人増えただけである。
ことに若者は、5人に一人以上、イギリスでは職がない。
この保守党政府の容赦のない公務員カット、さらには
公務員年金の改革に対し、組合は、この秋11月に
戦後類を見ない規模のストライキで抗議するかもしれないと
言われる。
医療機関、地方政府、学校、大学、警察などがストに出ると言う。
給料が凍結され、首切りが行なわれる公務員に対し、
さらに年金の月々の掛け金を来年4月から3%上げ、
10億ポンド以上の節約をはかる予定と言う。
受給開始年齢も、60歳から66歳に引き上げられる。
こんなことをやったら暴動がおきるだろうと思われる
ことをやってしまうイギリス。
一方で、アメリカ同様、金融緩和を強めているが、景気は
低迷したままである。
日本で公務員をここまで切ってくるとどうなるのだろうか?