拡大を渋っていたドイツ議会が、9月29日(木)に、
523対85の大差で、拡大を承認する決議をしたことで、
いったん明るさが見えた。
しかしその後、ギリシャに対し10月の80億ユーロの支援を決めるトロイカ隊
(EU、欧州中銀、IMF)が、ギリシャの財政赤字は予想を超えており、
さらなる精査が必要と1ヶ月棚上げしたことから、世界の株式やユーロや
欧州の債券は再び値下がりしている。
昨年来ギリシャが、緊縮プランを敷き、財政赤字の縮小を目指した方策は、
経済の縮小をもたらし、かえって事態を悪化させると思われたが、
現にそうなってきている。
ギリシャ経済は、今年5.5%縮小した後、来年もさらに2.5%のマイナスと
見られている。
公的債務残高のGDP比は、今年が162%、来年が173%と、
ひとりぬきんでている。
欧州の政治家の無責任さと経済音痴と小手先の策へのこだわりが、
ギリシャの経済・金融状況をいっそう悪化させ、泥沼に追い込んでいる。
今、トロイカが病人ギリシャに対してやっていることは、こういうことだ。
「はやくベッドから出たいだろう。それにはこの高価な食べ物が必要だろう。
しかしそのためには、少しは自分自身でもスリム化運動をしてくれなくちゃ。
おんぶにだっこで助けるというわけにはいかないんだ(本音は、お前が
倒れると、他の患者にも移っちゃうから困るんだ)」。こうして、病人は
無理なスリム化をやらされ、ますます体力が落ちていっている状況だ。
人間ではないのだから、国の債務が返済不可能になったら、
さっさとデフォルトして、倒れてしまい、そこから立ち上げることだ。
「“ヘヤー・カット”が21%では、少ない」とか債務の目減りを受け入れ
始めているのが現実ではないか。
私の金融関係での経験からも言えることだ。
かつてデフォルトしたアルゼンチンは、地球上から姿を消しただろうか。
困るのは、今のような無駄な努力を長きに渡って行ない、
解決を引き延ばしても、何のメリットもないことだ。
ギリシャの国民はいっそう困窮を余儀なくされ、他の国々にも
及んでいく。
株式や債券、為替市場は、不透明を嫌うから、この間下げ続ける。
いいのは、インフレの芽や原油価格が押さえ込まれることぐらいだろう。
ギリシャの‘救済’とは、どうなったら救済したと言うのだろう。
他の国の債務問題もあり、EFSFも4400億ユーロが少しばかり
増えただけではまた足りなくなり、4~5兆ユーロ必要とも言われる。
ユーロ債務問題の‘解決’を目指すという言葉がよく聞かれるが、
解決とは何だろうか。
問題はすでに存在し、大きくなってしまったのだから、
消したり、元に戻したりはできない。
砕いて、問題の塊を小さくしてしまうことしかないだろう。
これが、過去2000年世界を引っ張ってきた欧州の没落なら
もっと静かに沈んでいってほしいものだが、
歴史はそうもいかないのだろうか・・。
もちろん日本の郵貯などの大銀行もそのルールに沿って国債を買い進んできたツケを、今から払わされるという事です。
恐ろしい話しですね。
私は国家破綻しても、国はなくならないという見方に賛成です。くに敗れて山河有りです。AISが破綻しても、ほかに保険会社はいくらでもあったのに・・・シティなんか破綻したって代わりの銀行はいくらでもあったんです。これらをゾンビにすることには賛成しません。
国債基準とは、そもそもアメリカの設定したアメリカのための基準でしかありません。そんなもんバカ正直に信奉して崖っぷちに立った日本を哀れに思う今日この頃です。
しかし、実際に日本がポチャるとIMFなどが我が物顔で出しゃばるんでしょうね。「仕方ねぇちゃっちゃなぁ。金貸しちゃるかわりに、この条件を飲みな!」っていう具合に。腹立つなぁ・・