最低賃金40%引き上げ(来年4月)は決まったが・・
決まったことと、それを守ることの間に
大きな開きがあるのが、自由の国、自己責任の国
タイランドの面白い面である。

たとえば、交通規則がその例だ。
車の窓に真っ黒いシートを貼って中が見えないようにする
のは、後続車にとってはその先が見えないから、タイでも
禁止されたが、多くの車が黒マスクだ。

運転中に携帯は禁止と決まっても、運転者はおかまいなしだ。
シートベルトを締めるかどうかも自己責任だ。
わずかに、バイクのヘルメットなしは時々取り締まられている。
社会主義国ベトナムはホーチミン市の99%着用とは大違いだ。

最低賃金の1~2年で40~89%の大幅引き上げが
中央賃金委員会から10月17日答申された。
先のインフレの心配さえしなければ、労働者側の勝利である。
日給の低い労働者はさぞ喜ぶかと思うとそうでもない様だ。

10月18日付のバンコク・ポスト紙に、ランプーンの工場
労働者の声が載っている。
34歳の女性労働者は、この300バーツの実現に悲観的だ。
彼女のマネージャーは、300バーツは支持できないと言う。
彼女は、週6日、現在はこの地域の最低賃金1日169バーツ
をもらって、月に4400バーツほどの収入を得ている。

彼女は、時間外労働その他の収入がないと、この収入
(約12000円)では、なかなか暮らしていけない。
「300バーツが出ればうれしいけど、私たちは会社が
出す給料をもらうしかないわ。組合はあるけど、バーゲニング・
パワーがないわ。300バーツに食費や交通費が入っていてもいいけれど・・」

この国では、最低賃金が決まっても、それを強制することは
難しい。大臣ですら「強制するものではない」と言っているくらいだ。

2010年のティスコ銀行による労働力調査によると、
高校未満の労働者の賃金は、地方によっては、最低賃金より
低いという。パヤオやシサケット(昨年の最低賃金は全国一低い
1日151~152バーツ)での彼らの日給は111~120バーツしか
行っていない。

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1998年の「労働保護法」では、「最低賃金を出さない経営者は、
6ヶ月以下の懲役、または10万バーツ以下の罰金、ないしはその両方」
と規定されているが、適用されたことはないようだ。

場所によっては、労働者自ら低い賃金でいいと申し出るので、
賃金の真実は闇の中のようである。
きちんと把握されている職場でも、食費、住宅手当、交通費も入れて
最低賃金とされているところもある。

タイにおける労働組合の力は強くないが、組織率もまた低い。
タイの労働組合連合によると、全国には40万社が登記されているが、
労働組合の数は1300ほどであるという。

組合を持つ労働者にしても、もし役所や組合が300バーツ
を適用するよう経営者に圧力をかけたら(そういうケースは
ほとんどないが)、彼らはレイオフされることを一番恐れている。

タイには、組合の結成を許す1975年に定められた「労働関係法」
はあるが、世界150カ国が批准している「ILO」(国際労働機関)の
87号(結社の自由と団結権の保護)と98号(団体交渉権の保護)を
タイは批准していない。

というわけで、労働力不足が言われる中で、タイでは労働力市場は
“買い手市場”のままだ。外国人労働力300万人の流入が、それを
保っているのかもしれない。

日給300バーツ(800円)の水準は、例え物価の安いタイでも
最低必要なレベルだろう。暮らしていてそう感じる。
しかし、1年で40%という急激な引き上げは、副作用が多すぎる。

賃金上昇によるインフレ高騰も心配だが、
ここ北タイのようなところの雇用機会が最低賃金の67~89%の
大幅引き上げでいっそう抑えられ、外国人労働者ばかりが増える
といった雇用のひずみが出ることが懸念されるが、
そこは自由の国タイランド、無理なく、落ち着くべきところに
落ち着くことになるのだろうか?
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by ucci-h | 2011-10-20 12:13 | アジア諸国の賃金 | Comments(0)
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北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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