安くなり、普及する。
当初ワインが高い飲み物だったアメリカでは、30数年前の
70年代末、店頭でテーブル・ワインが一本3~4ドルと
手頃な値段に下がり、普及した。
今では、フランス、イタリアを抜いて、国としては世界一の消費国
である。
世界のワインの年間消費量27億ケース(1ケース12本)の
ほぼ12%に当たる3億3千万ケース(40億本近く)を消費している。
日本でも、バブル期を経て、一本1000円以下のワインが
普及した。日本の年間消費量は25万klほど。
一本750mlとして、2800万ケースほど。割りに少ないんだなあ。
世界のシェアで1%ほどか。アメリカの8.5%ほどしか飲んでいない。
アメリカが1ケース買うときに、日本は一本買う勘定だ。
タイでは、ワインはまだ高い飲み物だが、ようやく一本300~400バーツ
(900~1200円)の安いものが出てきた。もう少しだ。
欧州の経済地盤が沈下するにつれ、新旧ワイン・メーカーは、
アジア、中でも人口14億人を抱える中国市場を視野に入れてきた。
11月第2週に香港で開かれたワイン・スピリッツ・トレードフェアには、
世界37カ国から1000の展示企業が集まったと言う。
香港は、2008年にワインの輸入関税を撤廃してアジアのワイン・センター
になることを目指している。今年も9ヶ月でワインの輸入金額は9.4億ドルへと
前年比60%増加している。
中国のワイン消費はここ数年伸びてきたところだ。
今年は、英国を上回り、世界第5位のワイン消費国になろうと、
「IWSR」(国際ワイン・スピリット・リサーチ)により、予測されている。
アメリカ、イタリア、フランス、ドイツ、中国、イギリスの順になりそうだ。
2015年には、アメリカを抜き、世界トップのワイン消費国になろうと言う
予測も、別のところから出ている。
中国の2010年の消費量1億2500万ケース(1億8000万ケースと
いう数字もあるが)は、2016年には倍増の2億5000万ケースになろうと
IWSRは見ている(この予想ではアメリカには追いつかないが・・)。
いずれにせよ、伸びることは間違いないのだろう。
9月には、クリスティーのオークションで、中国人が、
プレミアム・ワインの「シャトー・ラフィット・ロチルド」(1981-2005年物)を
25ケース、300本を、ワイン・オークション史上最高の54.1万ドルで
手に入れて話題になった。一本あたり1800ドルである。
中国のワイン市場は、金持ちがコレクションやお祝い用に買う高級ワインと
一本数ドルの安いワインに分かれている。
中間のワインがまだ広まっていないそうだ。
アルコール度の高い蒸留酒バイジウ(白酒)で乾杯の
世界にまだ入り込めていない。
酒は食べ物に合わせて味わうものではなく、酔っ払うための
飲み物だ。タイに似ている。
余談だが、昨年ホーチミン市へ行ったら、
街角のレストランでベトナムの女性がふたりで赤ワインで
乾杯していた。フランスが宗主国だった国は違う・・。
アジアでワインが広まるのはうれしい。
早く、チェンマイにも安くてうまいワインが多く出回って欲しい。