ビルマへの投資が大きく拡大しそうだ。
2011年は、ビルマ開放初年となるのだろうか。
こうなると、外国からの期待が膨れる。
ビルマは、宝石や、非鉄だけでなく、エネルギー資源の
資源大国とレッテルが貼られてくる。
しかし、どの程度までほんとうなのだろうかと、
かつて資源開発に携わっていた立場から、疑問も湧く。
金や銀や銅、錫、タングステンなどについては古くからの
実績もあり、鉱脈も確認されている。宝石ももちろんそうだ。
これに対して、原油・天然ガスといったエネルギー資源探鉱の
入札は比較的新しい話だ(生産は古くからあるが・・)。
天然ガスは、特にタイが買っているし、中国がパイプラインを
引きつつあるので、インドシナ半島では、まれな資源大国と見られている。

「MOGE」(ミャンマー石油ガス公社)によれば、
ビルマの原油確認埋蔵量は、陸上で1.15億バレル、沖合いで1億バレル。
天然ガスは、陸上で4千億立方フィート、沖合いで16兆立方フィートとのことだ。
この数字をあてにすれば、
原油に関して、世界の確認埋蔵量1.36兆バレルから見ると、ビルマの
それは、0.016%とたいしたレベルにはならない。
ビルマの2.15億バレルという確認埋蔵量は、世界で見れば、
中国の160億バレル、インドの60億バレル、インドネシアの45億バレル
などと比べ、遠く及ばない。
注目されるのは、沖合いの天然ガスである。
世界の天然ガス確認埋蔵量は6600兆立方フィート
(187兆㎥で、原油の約1兆バレルに当たる。1㎥=35.3立方フィート)
であるから、ビルマの16.4兆立方フィートは、
世界の0.25%を占めていることになる。
しかし、BP社によれば、ビルマの天然ガス確認埋蔵量は、
過去10年でそれから7割増の、28兆立方フィートと見られている。
世界の天然ガスの埋蔵量も、アメリカのシェール・ガスなどの
非在来型ガスの追加で、現在は6割り増しの1万兆立方フィート
になるかと見られてきているので、ビルマに28兆立方フィート
あると見ても、世界シェアはやはり0.27%ほどに過ぎない。
オーストラリアの100兆立方フィートやインドネシアの90兆立方フィート、
マレーシアの75兆立方フィートなどに比べれば、少ない。
しかし、未開発の魅力はあろう。

ビルマの原油生産の歴史は古い。
明治維新前の1853年から掘られている。
1962年に軍政になってからは、1988年まで外資は閉め出された。
1988年になってエネルギー資源開発のため、外資の導入が
図られたが、2007年時点でも、原油生産は日産2万バレルしかなく、
9割を占める天然ガスが、日産陸上で1.1億立方フィート、沖合いで
12.18億立方フィート、合わせて13.3億立方フィート、年産にして
4850億立方フィート。世界の年産高106兆立方フィートの0.45%
を産出している。
年産0.5兆立方フィートというレベルは、オーストラリアの生産量の
4分の一ほど、中国やインドの生産量にも及ばないはずだ。
とはいえ、過去生産が停滞していた時期があり、
これからへの期待がかかる。
ビルマ政府は、2004年末から、外資への開発ブロックのオファーを
進めている。
「ビルマで動き出した外資による天然ガス開発 2011-4-26」
http://uccih.exblog.jp/13459015/
しかし、最近の入札では、陸上の石油・ガス28鉱区の人気は
薄いようだ。
欧州の企業は、陸上の鉱区は魅力がないと言っている。
ビルマに近い中国の石油企業も、シノペック社、CNPC社(中国国立石油)、
CNOCC社とも、関心は薄い。
中国の3社は、2007年までに、ビルマの提供した鉱区の3分の一に
あたる13鉱区を持っているが・・。
ビルマ側は、50の応札があったというが・・。
タイのPTT探鉱社と、インドのONGCビデッシュ社だけが
公に興味ありと表明している。どちらもビルマの資源が欲しい国の
企業だ。マレーシアのペトロナスも応札したようだ。
フランスのトタール社は、沖合いのヤダナ・ガス田を開発しているが、
今度の入札には応じないという。
「民主化の進展を見極めながら」というのを口実にしているが、
やはり魅力を感じていないのだろう。
ロシアのガスプロム社も入札に応じなかった。
ロイヤル・ダッチ・シェル社は、ビルマよりもベトナムに目を向けている。
西欧の企業では、英国の独立系SOCOインターナショナル社が、
ビルマへの興味を示し始めたが、今度応札したか明言していない。
また、1992年にイェタガン・ガス田を発見した同じく英国の独立系
プレミアー・オイル社は、2002年に全権益をペトロナスに売却している。
沖合いガス田も将来性が低いというのだろうか。
それとも会社のお家の事情だろうか。
どうやら、陸上の鉱区は外資の石油会社には、あまり魅力的に
映らなかったようだ。
2006年に中国のCNPC社が契約したビルマ沖の深海掘削も
予想以下だったといわれる。CNPCは、一部を探鉱した後、
技術者の一部を引き上げさせている。
インドシナ半島には、陸上の原油・ガス資源はあまり聞かないが、
沖合なら、ベトナム沖、またタイとカンボジアが掘るタイランド湾、
そしてこのビルマのアンダマン海沖がある。
タイはエネルギー資源国ではないが、ベトナムやビルマは
どうなのだろうか。
来年以降に出てくる沖合の入札結果がどう出てくるか注目される。
{追記}
12月19~20日とインラック首相がビルマを訪問したが、
ピチャイ・エネルギー相も同行した。
ビルマから2つの鉱区がタイのPTTEP社に与えられたが、
いずれも陸上の原油の鉱区である。
またアンダマン海のMD7,MD8の2つの鉱区も与えられるようだが、
これらも原油である。
PTTEPは、沖合ガス田の共同開発などで実績を持つ。


