揺れる2011年末の今、主要銀行の緊縮化が欧米で展開している。
アジアで長い歴史を持つHSBC(香港上海銀行、総資産2.7兆ドル)も
その例外ではない(現在の本社はロンドンにある)。
2011年、HSBCは、世界で30,000人の人員削減を
行なってきた。2013年までに35億ドルの経費削減を目指している。
7月には、1980年に買収した米国の旧マリーン・ミッドランド銀行の
ニューヨーク州の北部の150年の歴史を持つ192支店の売却を決めている。
また、日本でのプライベート銀行業務(運用資産27億ドル)も売却、
採算の悪い世界でのリーテイル・バンキング(チリ、ハンガリー、
グルジア、イラク、ポーランドなど)からの撤退に熱心である。
そして、このたび、タイでのリテール・ビジネスをタイ第6位の
アユタヤ銀行(BAY)に売却することになった。
売却代金は、12.8億ドルと推定される。
HSBCのタイでの活動は120年と、外資系では一番長い歴史を持つ。
19世紀末に、タイ政府の鉄道建設に資金を提供している。
リテール・ビジネスの売却とは、具体的には、
300~400億バーツのローン債権と、
50万人分のクレジット・カード・ビジネスをアユタヤ銀行に移すこととなる。
タイ6位のアユタヤ銀行(総資産293億ドル、綴りは違うが、
水害のあったアユタヤが発祥地)は、リテール銀行ビジネスに熱心で、
クレジット・カード保有者も4百万人を持ち、タイの商業銀行で
トップ・クラスだ。米国GE社が株式の33%を保有している。
グローバルな銀行は、地元で小口のリテール・ビジネスを、
ローカルに展開する地元の銀行と競うことは、所詮得策ではないと
言うことになるのだろうか。
一方、2012年より、タイにおいて外資系銀行(現在15行)は、
支店20店舗まで持てる子会社の設立が可能になる。
タイと中国や近隣国との投資活動が活発になってきていることから、
中国銀行やシティバンク、マレーシアの銀行の拡大が
見込まれる。
日本の三菱UFJ、三井住友、みずほはどう対応するのだろうか。