財政収支は健全で、財政赤字も公的債務残高も
問題なかった。
前民主党政権の時は、2010年度には財政赤字は推定
3500億バーツ(117億ドル)まで縮まり、2014年の均衡財政の
目標まで、指呼の間となっていた。
「先進国と対照的なタイの財政赤字の縮小 2011-2-6」
http://uccih.exblog.jp/12825375/
しかし、タイ貢献党政権となり、また洪水被害を受け、
タイの財政支出は拡大することになる。
インラック政権のポピュリスト的財政支出拡大に加えて、
洪水対策のために、ここ2年ほどで3500億バーツ(117億ドル)
ほどの債券を発行することになり、
今年度(2012年9月度)の財政赤字は、4000億バーツ
(133億ドル)に達すると見られるが、これに特別な支出が加わるだろう。
タイの財政赤字は、GDP10兆5680億バーツ(350億ドル)の
3.5%の6000億バーツほどににのぼってくるだろう
(ちなみに有名無実となっているユーロ圏の財政赤字のGDP比の上限は3.0%)。
公的債務残高は、2011年10月末現在4兆3400バーツ(1450億ドル)と、
GDPの41%ほどだが、今後2年内には5兆3900億バーツ
(1800億ドル)に拡大し、GDP比47%ほどになってこよう
(名目GDPが7%ほどずつ伸びるのを前提に)と財務省では見ている。
なお、この数字は、今中央銀行への移管で問題になっている
97年のバーツ危機救済時の金融機関救済債務(FIDF)1兆1400億バーツ
込みの数字である。
タイは、財政赤字・公的債務の軽い国から、
中ぐらいの国に変わろうとしている。
財政赤字がGDP比10%近くとか、
公的債務残高GDP比100%近くといった重い
先進国の国々から見れば、まだ良い方だが、
青信号が黄信号に変わろうとしている。