抜こうとしている。
人口がタイの3.6倍もあるのだから時間の問題だが、
インドネシアの中間所得者層の拡大、内需の高い伸びが
クルマの需要を押し上げている。
タイの自動車需要は、2010年は75.6万台(生産台数の46%)だったが、
2011年は洪水により、国内販売は70万台弱に留まった。2012年は
90万台に乗せると期待されているが・・。
これに対し、インドネシアの国内需要は、2010年の76.5万台という
市場最高から、さらに2011年には89万台にのぼり、水害のタイを引き離した。
2012年も94万台と予想され、タイといい勝負になる。
インドネシアの自動車市場も、タイと同様、トヨタを筆頭に日本メーカーが
その9割を占める。メンテナンス、サービス体制で先んじているからだ。
タイとの違いは、“アジアのデトロイト”タイが生産台数の半分を輸出しているのに対し、
インドネシアは、マレーシア同様、国産で市場の9割を供給していることだ。
インドネシアもいずれは輸出も目指すのだろうが、拡大する国内需要を
満たすのにいまは精一杯の状況だ。
タイ国内ではピックアップ・トラックがセダンより売れているが、
インドネシアでは排気量の割りにたくさんの人が乗れるミニ・バンが
人気の中心だ(トヨタの「アバンザ」など)。
(写真はAFPより)
インドネシアの世帯当りの自動車普及率は、2010年でなお7%程度と
すでに44%ほど(900万台÷2030万世帯)に達してきているタイなどに
比べれば、これからの自動車市場である。
みずほ研究所によれば、2010年には年間家計可処分所得が
5千ドルを超える人口が1億人に達したそうだから、オートバイが自動車の
10倍売れる国で、今後は自動車の普及が進みそうだ。
トヨタは、2つ目の工場を建設中だし、スズキは3つ目の工場を計画し、
日産は工場拡張に2.5億ドルを投資すると言う。
現在市場シェア35%でトップのトヨタは、2年間で生産台数の6割増をねらう。
GM,フォード、インドのタタといった日本以外の外国勢も投資を増やす。
もっとも、自動車が普及するのは、そのインフラ、道路の整備が
インドネシアでは求められる。
首都ジャカルタには、毎日1000台の新車が投入されるが、
すでに800万台のクルマが、渋滞道路でひしめき合っている。
ジャカルタの自動車ショウルームでトヨタのアバンザを売っている
販売員は、「このクルマを買っても週末にしか運転しないだろう。
仕事に乗ってくるには、バイクの倍の90分もかかってしまうから・・」
と言っていると、AFP電は伝えている。