タイの階級闘争である!」という日本の学者の見方があるが、
赤シャツを背景に政権に就いたタイ貢献党の政策や
やり方を見ていると、そうは見えない。
言い方は悪いが、タイ貢献党も、東北部の貧困層
(バンコクの高所得者層も選挙では同じひとり“1票”である)
を‘糧’にした、民主党との利権争いに忙しいように見える。
タイにおいて、“政治はビジネス”の色彩が濃い。
所得格差の大きいタイの経済格差を縮めるには
資産税の導入が必要で最も有効であることは論を待たない。
しかし、貧困層の味方であるはずのタイ貢献党政権は、
この資産税の導入どころか、議会での審議でさえ葬り去った。
2012年3月15日に財務大臣でもあるキティラット副首相は、
「土地・建物課税案は、不動産所有者の負担を増すものである」
として、不動産課税法案を議会の審議に持っていかないことを
表明した。
資産課税法案は、ここ数十年、案は出てくるが、やはりと言うか、これで
いまだ議案にさえなっていない。
キティラット副首相は、「不動産の所有そのものからは、キャッシュフローは
生まれない」と詭弁を使っている。
不動産課税法案は、納税者の負担を大きくしないように工夫している。
商業用不動産には最高、価額の0.5%、住宅用不動産は、0.1%の
低率だ。農地は、0.05%に過ぎない。
仮に300万バーツの資産所有者でも、不動産税は、それぞれ、
1.5万バーツ、3千バーツ、1500バーツに過ぎない。
未開発の土地には0.5%の不動産税が課され、毎年3年間、
0.5%→1%→2%と倍増し、最高2%と土地活用の促進を図っている。
不動産税の税収は、「土地銀行」という土地の買収に当てられ、
貧困層に低利でリースされる構想だ。
チェンマイでは、今は道路、住宅、オフィスといったインフラ、不動産の
開発ブームだ。土地所有者は、土地を整備して「売り地」の看板を
掲げる。タイだから、それは広い土地だ。
これを不動産業者が買い、住宅やオフィスを建て、売り出す。
今やチェンマイの街の中心から7~8kmの道路沿いの住宅でも、
一軒最低300万バーツ(900万円)台からの高い売り出し価格になってきている。
つまり、道路や環境が整備されるに従って、土地の値段は明らかに
上がっている。税金を使ってインフラが整えられたことにより、
土地持ち、不動産持ちは、これに便乗する形で、資産価値が増大
しているのである。
この資産税葬り去りの動きに対しては、むしろ首都圏の有産階級を
バックにしていると見られる野党民主党が批判している。
民主党のゴーン前財務相は、不動産法案を取りまとめさせたが、
民主党の中でも反対派が多数だろう。
誰でもがいいと言う資産課税法案がいつもつぶされる理由は
はっきりしている。選出される議員はみな資産持ちだからだ。
タクシンの時代から余り変わっていない。
有産政治家は、貧困層に飴を与えながら、自らの資産は犠牲にすることなく、
むしろ増やすよう努めていく。
タイが、東南アジアの中でも所得格差が高いのは、
東南アジア諸国のなかでもしぶとく資産課税を避けてきた
からかもしれない。
それより、日本の新築優先の不動産課税は酷すぎる。めちゃくちゃな効率課税で流動性なくしてる。お陰で中古市場が都心ファミリータイプマンションでしか存在していない。買ったとたんに20%損する仕組みは直した方が良いと思う。日本よりタイのほうがましだ。
買いっぱなしで荒地と化した場所も多いですが、所持人にとっては税金がかからないので、それでもいいのでしょう。あとは上がるタイミングを見計らって売り逃げするのか、それともビルや商業施設を作るのか。
そうなれば、持てる者が勝ち、持たざる者は悪い事でもしなければチャンスはありませんよね。
よって、如何にして外国人から掠め取るのかが、人生の課題となったりするのです。
貧しい原住民にとって、かなりチャンスのない世界かもしれません。
チェンマイの土地が上がってるのは、バンコクでは値上がりの旨味がないので、地方に触手が伸びているだけだと思います。
インラック景気なのかもしれませんが、開発ラッシュと相まって、過剰強気相場な気もします。政権が転覆すると、いつか来た道。流れ込んだ資金もサーと引いて、ババ引く人もいそうですね。
イチタンの社長もチェンマイには入れ込んでいるようですし、IBMだったかな?チェンマイ開発研究を行う記事もありましたよね。
いずれにしても、貧困層は蚊帳の外。税制で優遇されたマネーゲームに今後も翻弄されるのでしょうね。
こういう情報がありました。