40~70%の大幅引き上げをベースに、
諸物価が高騰しており、暮らしにくくなってきている。
これに対するタイ政府の対策が、
日本では考えられない‘可愛らしい’(?)ものとして出てくる。
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ひとつは、以前紹介した国の指導による安売り店「トゥーク・チャイ」
(お気に入り)の開設である。
「どうなるか政府の日用品廉価店構想 2012-3-27」
http://uccih.exblog.jp/15635185/
経済合理性を無視した、こんな小手先のアイデアで
物価対策になるのかなあと思っていたら、
やはり、“そうは問屋が卸さない”状況になっているようだ。
国が16億バーツを投じて、全国に1万店、トゥーク・チャイ店を
作るというのだから、商売をしたい人が多いタイのこと
店を開く希望者はたくさん集まる。
13000人以上が集まったそうだ。
7月半ばには、バンコクのインパクト・アリーナで5000人ほどを
集めて、指導会を行なった。
6月ごろから店を開く人が増えてきて、「安いから良く売れる」という
うわさを聞いて、多くの人が志望しているという。
しかし問題は、仕入れである。
いかなるルートで、市価より15~20%安い、米、砂糖、植物油、卵
といった日用品が、的確なタイミングで届くのだろうか?
報道によれば、6月に店を開いたが、発注した品物で
届いたのが、2品、1品、ゼロといった不満が聞かれている。
政府は、どうやって手品のように安い日用品を確保し、
サプライ・チェーンに乗せて、提供できるのだろうか?
棚が空っぽで、せっかく来たお客がよそへ行ってしまうという
ことが起こらなければいいが・・・。
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もうひとつの物価対策は、商務省が6月半ばに打ち出した。
食堂の基本的なメニュー7品を、国の半分の38県
(外食費が収入の10%を超えるとか、一品30バーツを超えているとかが
基準らしい)で、20~30バーツ以内に抑えようという技である。
北タイのチェンマイやランプーンも含まれるという。
大衆食堂やフードコート、市場やバスターミナルの食堂が
対象である。デパートやショッピングモール、スーパーのレストランは
35バーツまで良いらしい。
違反者には、14万バーツまでの罰金または7年間までの懲役
が課されるという。
この7品というのが、まさにタイの食堂の代表的なお皿なので
紹介しておこう。
カーオ・ゲーン(おかず・ごはん)と呼ばれる類の基本食である。
物価の安い北タイでも、いまや35~40バーツはする。
(写真はともにバンコク・ポスト紙より)
1.カオ・パット・ムー/ガイ(豚肉/鶏肉入り焼き飯)
2.カオ・パット・ガパオ・ガイ/ムー(鶏/豚肉入りバジル炒め)
3.カオ・ゲーン(おかずぶっかけご飯)
4.クエティオ・ムー/ガイ(豚鶏肉入り麺)
5.カオ・カイ・パーロ(ゆで煮卵かけご飯)
6.カオ・カイティアオ・ムーサップ(ひき肉オムレツご飯)
7.チョーク(くず米おかゆ)
名前は出ていないが、カオ・カー・ムー(豚足ご飯)や
カオ・マン・ガイ(鶏茹でご飯)、ラート・ナー(あんかけ麺)や
カオ・ソーイ(カレー揚げ麺)も対象になるのかな?
どこまで守られるのか知らないが
(タイのルールは、ルールを出すことに意義があるので・・)、
与党の支持層になる食堂主の赤シャツ派に対し、
政府も厳しくは対処できず、掛け声とポーズだけに終わりそうだ。