ベトナムの電力需要は、インドネシアなどの伸び率を
上回り、ここ4年ほどは、年14%のハイペースで伸びている。
増大する需要にこたえるべく、中国から電力を輸入したり、
インドネシアから燃料炭を2011年には初めて輸入したりして
対処しているが、電力不足は否めない。
2007年以降電力事情が悪化し、
夏季には週2~3回の停電を余儀なくされ、
家庭だけでなく、ビジネスにも影響するので、
外国資本投資の障害になっているという。
2011年の年間電力消費量93,600ギガワット時を
2020年には329,400ギガワット時と見込んでいるから、
年率15%の高い伸びを想定している。
発電能力は、20,000メガワット(2010年末)だから、
人口のほぼ等しいタイの77%ほどの能力を
数字上は持っている(電化率も97.6%といわれる)。
電力源としては、現在、
天然ガスが44%、石炭が27%、水力が27%、石油火力が2%
だが、将来は石炭を46%に伸ばし、天然ガスのシェアを29%に、
水力を23%に下げたい意向だ。
しかし、現実の発電所建設の進捗率は70%程度と計画通りに
行っていない。
ベトナム経済自体が、国有企業の経営不振、資金状況の悪化、
さらには相変わらずの共産党政権下でのレッドテープによる
行政の遅滞などが、進捗の障害になっている。
ベトナムの電気料金は、kwh当たり6.5円ほどと、タイなどよりさらに安い。
補助金が多いのだろう。
しかし、その分、電力開発推進の障害となる。
今後は、徐々に電気料金を引き上げ、電力供給を増やしていく事になろう。
福島原発事故以降、各国で原子炉へのアレルギーは強まっているが、
ベトナムでは、南部での2基4,000mwのニン・トゥアン原子力発電所
(ロシアの技術による)の2014~2015年建設計画が破棄されてはいない。
今後、大きな電力不足が見込まれるベトナムでは、原子力に将来
15~20%のシェアを担ってもらいたいようだ。
もちろん安全性の精査もあり、実際の建設は先になろうが、
先に述べたように、ベトナムの経済政策全般の展開が、
電力設備の増強を可能に出来るかどうかの
鍵となるだろう。