「数字で見るベトナム経済の昨日・今日 2013-4-5」
http://uccih.exblog.jp/18482602/
2桁インフレが6~7%へ下がって来、
金利も同様に下がり、なお引き下げの余地がありそうだ。
下げ続けた為替ドンも落ち着いてきたし、
為替安の効果もあり、貿易収支もバランス化してきた。
今後は、①経済成長が高まるかどうか、
またその中で、②財政赤字の膨張を抑えられるかどうか、
そして、依然改善されていない③銀行の不良債権にメスが入れられるか、
また、④非効率な国営企業の整理が行なえるかといった
構造問題の行方が注目される。
ベトナム経済の抱える課題の特集、
第1回は,交通インフラの未整備についてである。
ホーチミン市(サイゴン)へ行くと、そのオートバイの洪水に
びっくりし、また道路網が未整備なのに驚かされる。
道路は狭く、舗装されていないところも多い。
ベトナムの建設省によれば、
ベトナムの都市人口は、2,800万人。
全人口9,000万人の31%と、3分の一近くを占める。
そしてGDPの7割を生み出している。
ベトナム全土のクルマの保有台数は、3,700万台もあるが、
自動車は200万台ほど。バイクが3,500万台と圧倒的数を示す。
これからの経済発展で、バイクから自動車へのシフトが
進めば、都市の交通渋滞はいっそう激しくなると危惧される。
ホーチミンやハノイといった都市の人口密度はとても高い。
人口密度は、平方kmあたり25,000人から35,000人だというから、
シンガポールや香港の6,500人/平方kmを上回る混雑振りである
(もっとも、シンガポールは国だから公共施設に多く割いているし、
香港は山岳部が多い。住居地域だけ見れば、ベトナムの都市を
上回るだろうが)。
世界の都市で、人口密度の高い都市は、平方kmあたり1万人を超える。
インドのムンバイは、27,000人/平方kmにも達するそうだ。
ちなみに東京23区は、14,000人/平方km。
ベトナムの2大都市に話を戻すと、
バイクも含めた車の数は、年12~15%増の勢いで
近年増えている。
都市の道路面積は7-8%しかなく、
交通需要の40%しか満たしていないといわれる。
国際的な標準では、都市面積の20-25%が道路に使われることが
求められる。
ベトナムの都市の道路不足は、行政の計画力の不足から
多くきている。
都市の社会経済発展計画を作るのに、9-10年かかり、
3-4年で様相を変えていく都市の顔に追いつかない。
それでも、都市の道路の混雑を緩和するため、
ベトナムはバス、地下鉄、モノレール、市街電車などの
公共交通機関の整備を目指している。
ホーチミン市では、7つの地下鉄路線、3つの市街電車路線が
計画されている。
2020年までに全長で160kmになる計画だ。
最初の20kmの地下鉄路線計画は、2012年8月にスタートしたが、
建設資材費が高騰したため、はやくも4年先に延ばされ、
2018年開業の予定となっている。
ODAからの開発援助資金も10億ドルから20億ドルに倍増している。
地下鉄計画は、2007年に承認されたが、
2003~6年時のコストをベースに作られたため、
時代に合わなくなった。
ハノイでは、2030年までに8つの市街電車路線が計画されている。
全長284km。うち5路線がすでに承認された。
8つの衛星都市とハノイ市内を結ぶことになる。
早ければ、2015~16年に開業できるというが、さてどうだろうか?
ベトナムは、2011-2020年の10年間にGDPの3.5~4.5%を
輸送インフラに投じる計画を持っている(ビジョン2030)。
2012年時点で見れば、国のGDPは1,380億ドルだから、
48~62億ドルと、年50億ドル前後の資金を投じる計画だ。
ベトナム財務省は、10年間で800億ドルの資金が必要と
このほど推計したが、専門家は実際はもっとかかると見ている。
ベトナムの交通網の整備には時間がかかりそうだ。
直近の対策としては、都市では衛星通信を使い、混雑を
いくらかでも緩和する対策を採るというがどのくらい効果が
あるだろうか?
ホーチミン市を2年前に訪れてびっくりしたのは、
あの大都会に高速道路が見られなかったことだ。
一部作られ始めていたが・・。
JICAの協力でホーチミン市からゾーザイ地区へ向かう
最初の55kmの高速道路の竣工式が12年12月にあり、
早ければ年内には一部利用できるようである。
ベトナムの名物、「バイクの洪水」が無くなる日は
いつごろくるのだろうか?