世界で最も遅れてしまった通信網である。
半世紀にわたり軍政下に置かれてきたミャンマーでは、
通信は一部の特権階級のものであった。
今やラオス(普及率87%)やカンボジア(70%)でも
当たり前になってきている携帯電話の普及率は、
2012年末でミャンマー人口6千万人の9%(544万台)にとどまり、
世界で北朝鮮を除いて最低の普及率と言われてきた。
そのミャンマーに通信革命が起ころうとしている。
革命と言っても、2015年までに携帯の普及率を80%に
しようというものだが(これはかなり大胆な目標だが)、
ミャンマーの経済社会に与えるインパクトは
とても大きいと見られる。
通信が自由になれば、情報が透明になり、政治的な潤滑油も
増えていく。
企業は、通信が使えるようになれば、いうまでもなく仕事の効率は上がる。
また、都会だけでなく、農村地帯にも普及すれば、銀行送金など
金融面でも潤ってくるだろう。
エリクソンによれば、普及後3年で、ミャンマーのGDPを7.4%押し上げる
力になろうと読んでいる。
(写真はイェ/ミジマ・ニュースより)
携帯用のSIMカードは、2001年に軍政によりモバイル網が
出来た時は、1枚7000ドルもした。
2011年でも1000ドルほどしたという。
そして2012年、最近までも200ドルしたという。
空港でレンタルできるSIMカードは、数日有効で、20ドルという。
ミャンマー政府は、通信革命のために、2つのことをまず行なう。
ひとつは、2013年4月25日から、毎月スタートした抽選による
2ドルの廉価SIMカードの販売だ。
国営のミャンマー郵便通信社が35万枚のSIMカードを公営の抽選で
売って行く。1年で携帯の普及率が7%アップしていくことになるか。
もうひとつは、通信網拡大のために、外国企業を巻き込んでの
通信ライセンスの供与だ。世界の91社が興味を示したと言われる。
2013年6月27日に2社が選ばれる予定だが、候補12社に絞られた。
シンガポールの「シンテル」、ノルウェイの「テレノール」(タイのDTACの親会社)、
マレーシアの「アクシアタ」、「STテレメディア」、インドの「バルティ・エアテル」、
日本の「KDDI」、南アの「MTN」、中国の「チャイナ・モバイル」などから選ばれる。
選考の透明性が世界から注目されている。
@@@@@
タイは、携帯の普及率は人口を超えてはいるが、
ようやく2Gから3Gに移るところと遅れている。
ミャンマーは、ここまで遺産がないから、逆に一挙に4Gなどへと、
急速な進化が可能かもしれない。
ミャンマーの携帯SIMカードの急速な普及と、
通信革命による経済社会のこれまた急速な進歩が期待される。