行き詰ってきたコメ抵当スキーム(1):「損失額が出てこない!」
タイ貢献党政権の目玉、コメ国家管理補助金制度と言える
「コメ抵当スキーム」が、2年目半ばの2013年6月に入り、
いよいよ行き詰まりを見せてきた。

 「タイのコメ国家管理スキームの負担いよいよ重くなる 2013-4-7」
  http://uccih.exblog.jp/18493360/

このままだと、タイのコメの競争力喪失にとどまらず、
インラック政権の命取り、またタイの国債の格付けにも影響しかねないので、
政府も現状を見直さざるを得ない状況となってきた。

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(写真は、いずれもバンコク・ポスト紙より)

きっかけは、格付け機関ムーディーズが、2013年6月3日、
「コメ抵当スキームの初年度の損失は、政府予想の700~1000億バーツ
(2000~3000億円)を上回り、2000億バーツ(6000億円)を超えるだろう
と言われるが、こういった政府赤字の拡大は、現在のタイの格付け
Baa1に悪影響を与えるかも知れない」と警告したことだ。

政府はただちに、「このうわさは根拠が薄い。初年度に買い取った米は
全部売り切っていないし、2000億バーツを超えることはない」。
「リークされた2600億バーツとか言われる膨大な損失額は、過去10年
コメだけでなく、ゴムやカッサバなどへの補助金も含めた数字だろう」と
否定したが、担当のブーンソン商務大臣は、4日後の6月7日に記者会見を
開き、数字をはっきりさせるということになった。

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実は、リークされたと言う、正確には2208億バーツ(6600億円)という
損失額は、財務省の債務・支出小委員会がまとめたものだった。
2011/12年度の1期米(雨季米)は、430億バーツの損失、
2期米(乾季米)で939億バーツの赤字、
2012/13年度の1期米の赤字が840億バーツ、
計2210億バーツの損失に上るというものだった。

このコメ抵当スキームの運営は商務省だが、国有の「BAAC」(農業農協銀行)の
融資が補助金制度のキーになっており、財務省も当然チェックしている。

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ところが、6月7日に開かれたブーンソン商務相の記者会見は、
期待に反し、失望させるものとなってしまった。
商務相は、数字を出せなかったのである。

「損失額については、供出されたコメの売却も済んでいないし、
損失額の確定には、少なくともあと2年はわからない」と逃げてしまい、
「買い取った米のうち、700万トンは売却し、すでに1200億バーツは、
BAACに返済した」と言うばかりであった。

政府在庫米の売却についても、具体的な詳細はなく、
買い手も、数量内訳も、価格も不明であり、説得力に欠いた。

この政府の対応に対しては、さすがに批判が沸き起こった。
「これでは、政府の信用を失墜させる」、
「秘密主義を捨てて、四半期ごとに在庫状態を納税者に知らせるべきではないか」と
いった声が上がった。

仮に2000億バーツの損失として、タイの直接税納税者500万人は、
一人当たり4万バーツ(12万円)もの負担を負っていることになるからだ。

ブーンソン商務相自身も、昨年11月には、「中国との間で1500万トンの
国家間売買契約がなった」と虚偽の発表をし、信用を損ねていた。
インラック首相は、ブーンソンに代えて、内閣官房のパラテップ大臣に
今後数字の取りまとめ役をさせるということになった。

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すでに、初年度(2011年10月~2012年9月)が終了してもう9ヶ月になるのに、
政府からは、コメ抵当スキームの実績、投入額、損失額が明らかにされない。

担当相がしっかりつかんでいないからか、それとも出せないような損失額に
膨れてしまったからか、その他の問題も多いコメ抵当スキームは、
へたをすると、インラック政権の命取りとなりかねない。

この話は、さらに展開していく。
(続く)
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by ucci-h | 2013-06-25 00:00 | 一次産品の市況 | Comments(0)

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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