ぜひ一緒に開発しましょう、お手伝いしましょうと言う話があったとする。
しかし、果実が成るとほとんどがこちらの土地に落ちてくると
なると、お隣はどんな反応をするだろうか?
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開放が進むミャンマーには、大きな3つの経済特区の
開発が進んでいる。
一番進んでいるのは、軍政下でもっとも近かった中国と
開発を進めているミャンマーの西海岸ベンガル湾に面する
ラカイン州(ムスリムとの騒乱がある土地)チャウピュー経済特区だ。
ヤンゴンから400km北西となる。
2009年から開発を進めており、港湾を作り、石油パイプラインを
中国まで引き、さらに鉄道を中国昆明までつなぐ予定だ。
30万トンのオイル・タンカーが接岸できることになる。
「ミャンマーの石油・ガスパイプラインは中国のため!? 2011-9-9」
http://uccih.exblog.jp/14523243/
中国のミャンマー石油資源の確保地であるとともに、
中国のインド洋へ進出する動脈となる。
新しいミャンマー政府は、もちろん中国への一方的依存を
排除したいが・・・。
ミャンマーにとっては、シンガポール港に次ぐ規模の
石油化学コンプレックスを目指す。
総額20億ドルのプロジェクトと言われる。
チャウピュー経済特区の開発はこれからだ。
2013年中に詳細プランをまとめ、
第1フェーズ2016年の完成を目論んでいる。
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第2の経済特区は、ここにきて安倍首相のミャンマー訪問でも
後押しされた、ヤンゴンの南25kmのティラワ経済特区だ。
ティラワSEZ(経済特区)は、ヤンゴン経済圏の中でもあり、
中国の影響力を減らしたいミャンマーにとって、
日本の協力は望ましいところだ。
ティラワは、2012年12月に日本とミャンマーの間でMOUが取り交わされ、
フィージビリティー・スタディー(主に環境への影響)の最中だが、
2013年8月には終わり、建設が始まれば、2015年に1期が完成する予定だ。
ヤンゴン港に代わるティラワ港の整備も進む。
日本からは、当初2億ドルのソフト・ローンが提供される。
完成すれば、20万人以上の雇用増となり、広域ヤンゴンの
人口も2040年には現在の倍の1000万人になろうと期待される。
4000ヘクタールの工業地区に6800の工場が建設される予定だ。
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第3の経済特区ダウェイの開発はなかなか離陸しない。
冒頭のたとえ話のように、ミャンマーの南、アンダマン海に面し
タイから西の海に抜けるのにかっこうの臨海工業地帯の案である。
タイは、このダウェイと東側のレム・チャバン港をつなげたいのだが。
ティラワSEZの10倍という大規模な開発案だが、
もともと浅い海に深い港湾を作ったりするので、コストもかかる。
当初の投資額だけでも85億ドル必要と言われるが、
メリットの薄いミャンマーはタイ頼みだし、有力なスポンサー候補
日本は、ティラワの方に注力している。
「開始後1年たったダウェイ・メガプロジェクトだが 2012-2-16」
http://uccih.exblog.jp/15439619/
メリットの大きいタイだが、国内のインフラ開発大計画で、
他国のプロジェクトに金を使う余裕はない。
また、もともとタクシン元首相の推進で、ITD社(イタリアン・タイ開発)を
中心に進められてきているが、今のところ宙に浮いた感じだ。
というわけで、ダウェイは資金的に突破口が図れないでいる。
中国も、ラオス、タイを経由しインド洋へつながるアンダマン海への
ルートを確保することになるが、こちらもチャウピューのルート確保で
手一杯だ。
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どうやら今のところ、ミャンマーの経済特区の開発は、
中国の進めるチャウピューSEZと日本のバックアップする
ティラワSEZの2つが中心になって進みそうだ。
日本としては、中国の影響力を減らしたいミャンマーとの
関係を密にする絶好のチャンスだろう。