3月から5月までタイは乾季(暑季)に入るが、
今年はタイ中央平原部、首都バンコクで“水不足”が
心配されている。
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昨年の雨季(6~10月)からここまで中央平原部で
雨が少なかったという自然現象(異常気象?)に
よるところが大きいが、これに政府のコメ抵当スキームの
コメ増産政策という人災が加わっている。
コメ抵当スキームは、コメのうまいまずいにかかわらず、
ともかく全量を高値で買い上げるという政策だから、
ここ2~3年、世界のコメ余剰にもかかわらず、タイ産の
コメの量は増えている(政府が買い上げたコメはあまり
売れず、不幸にも、農家に代金未払いが長引いているが)。
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コメは水利の産物である。
この季節、2期米(乾季米)の生産に入っていくが、
コメの増産のせいで、ダム(貯水池)の水量が減ってきている。
通常よりも10億㎥多い水量が使われるといわれるが、
10億㎥という水量は、タイ最大のプミポン・ダム(容量134億㎥)の
7%にのぼる。
中央平原部における田植え面積は、適正面積(64万ヘクタール)の
倍の128万ヘクタールになっていると、王室灌漑局(RID)は言っている。
タイの2大ダムの現在の貯水量は、記録的な低さになっている。
タークのプミポン・ダムの貯水量は65.5㎥(貯水率49%)、
ウッタラディットのシリキット・ダム(容量93億㎥)は、51億㎥(55%)と
低い水位になっている。
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タイ東北部にも水不足が出始めているが、
こちらは、昨年来の雨量が多かったので、
中央平原部ほど深刻ではないようだ。
ダムの水量もまあまああるようだ。
ただ、ムーン川とメコン川の水位はかなり下がっている。
メコン川の現在の水位は堤防から14mも下だと言う。
下流では、海水が逆入してきてしまう。
こちらは、メコン川上流の中国のダムがメンテなどで、
ダムを閉じている影響が多いようだ。
こちらも被害が出れば、‘人災’である。