ーー言葉は音楽であるーー
タイ語の発音は難しいと言われる一番のものは、
「声調」、つまり音の高低である。
その言葉が、
①中ほどで平らな音なのか(ミディアム・トーン -、または平声 → )、
②低いままでいるのか(ロウ・トーン ` 、または低声 ↓ )、
③ちょっと上がった後、山型に下がるのか(フォーリング・トーン ^ 、または落声 ⤵ )、
④高いままなのか(ハイ・トーン ’ 、または高声 ↑ )、
⑤低い位置から上げるのか(ライジング・トーンv 、または昇声 ⤴ )、
戸惑うことが多い。
たとえば、有名なのがタイ語の「マー」である。
「来る」のマーは、中ほどの音程の平声である。
「まー、いいでしょう」のマーである。
(マーのMは、低子音字グループにはいるが、
長母音がつくと、中子音字グループと同じく、中ほどの平声)。
「馬」のマーは、低子音を高くする「マイトー ้ 」 という声調符号が
頭についているので、音が高いままになる。
「ま~!、なんていうことを!」のマーである。
声調符号については後で触れる。
つき、高子音字グループに変わってしまうので、
低い位置から上げるライジングの発音(⤴)となる。
「まー、いいでしょう」を大阪弁風に手をこすりながら
発音すると、犬のマーに近いのかな?
文法で説明すると面倒くさくなるが、音から覚えるのが
一番でしょう。
これは、声調符号の順序と一致するが、
平声・低声・落声・高声・昇声の順で、
自分の好きな音を例にリズムよく覚える。
「マー→、マー↓、マー⤵、マー↑、マー⤴」となる。
マーの子音・母音の音は難しくないので、声調に集中できる。
近似値だが、男声はふつうに「あ~」というとき、270ヘルツ前後、
音階で言うとC4、つまりハ長調の「ド」(262Hz)近辺が多いそうだ
(女声は男声より1オクターブ近く高いB4,つまり「シ」の音494Hzあたりが
多いそうだが、ここでは男声を例に見てみる)。
タイ語の平声を実際測ってみたら、ほぼ300Hzくらいで、
ハ調のドレミの「レ」の音(D4,294Hz)に近く聞こえた(上記のドに近い)。
「レ→」を平声、下がって「ラ↓」(220HZ)を低声、
上がって「ソ⤵ミ」(392⤵330Hz)を落声、
また上がって「ソ↑」(392Hz)を上声、そして「ド⤴ミ」(262⤴330Hz)を昇声とすれば、
おおよそ200~400Hzの周波数帯の中でメロディーが奏でられる。
これは、男声の話す周波数帯とほぼ一致している。
「 レ♩→ ラ♩(下のラ)↓ ソミ♫⤵ ソ♩↑ ドミ♫⤴ 」と、
メロディーで覚えるとよい。
文字から入っていくと、混乱することが多い。
まずは、音を耳に入れ、実際口に出し繰り返す。
そのあとで、「なるほど文字ではこう記すのか」と
確認するのがタイ語の学習にはいいと思う。
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今回の読み書き講座は、やさしい発音から入っていけるのがいい。
中子音に長母音をつけるだけでなく、翌日には
短母音をつけて学習した。
長母音と短母音の記号の違いを、
何回も読むうちに文字で確認できる。
例えば、イッิとイーี。ウッึとウーื(これは口を横に開いてのウ)。
いずれも三日月で、棒が一本付いたり、2本ついたり、丸が付いたり、
最初は混乱する。どれが長母音だったっけと思う。
でも、以下のように書かれているのを何回も読んでいくうちに
見分けがついてくる。
「ติตี ปึปื ติตี ปึปื」は、‘ティッティー、プップー’の繰り返しだ。
ิ が短いイッ。ีが長いイー。
ึが短いウッ。ืが長いウー(横に開いたウ)と自然に覚えていく。
そして、音のリズムと合わせて覚えられる。
中子音を根幹にすると、
短母音は低声、長母音は平声なので、
リズムよく読むうちに自然に音も身についてくる。
たとえば、リズムよく、「ダッダー」、「ティッティー」、
「プップー」などとやっていると、自然と「低音+中音」で
リズムが奏でられる。
言葉は音だなと改めて思い知らされるのがいい。
そして、これが短い文につながっていく。
たとえば、「カニがカラスを見るだろう」は、
「プー・チャ・ドゥー・ガー」( ปู ขะ ดู กา )だが、
「長母音・短母音・長母音・長母音」のつながりは、
自然に、「平声→・低声↓・平声→・平声→」と発音されていく。
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もうひとつついでに、“ゴーガイ”子音42文字の覚え方。
タイ人と綴りを確認するとき、同じ「コーkh」の音でも、
「コーカイ(卵のコー」(ข)か「コークワイ(水牛のコー)」(ค)か
確かめて、文字を確認する。
これは、小学生のように、繰り返し書くしかない。
その際、発音しながら書くのがいいことを思い知った。
例えば、最初のゴー・ガイ(鶏のゴー、ก)は、
左をゴーと言いながら書き上げ、ガイで上から右に
下ろしてくる。これもリズムよくやると覚えやすい。
言葉は音であることを、読み書きの講座で
知るのは楽しい。
(5へ続く)