衝撃的な本「FACTFULNESS」に出会った。
ファクトフルネスとは、事実に満ちた事といったような
意味だが、スウェーデンの公衆衛生のハンス・ローズリング博士の
ファクト・ファインディングを、彼の死後2018年に息子夫妻がまとめたものだ。
何が衝撃的だったかというと、
冒頭に出てくる世界の状況の三者択一の13問である。
13問のうち、自分の正解は、地球温暖化に関する1問だけだった。
12問も間違えた!
世界の三大陸に暮らし、調査の仕事をし、世界のデータにも強いと
うぬぼれていた自分が、チンパンジーの正答率33%
(三者択一をあてずっぽうに選ぶ)を大きく下回ってしまった。
自分だけではない。世界の有識者の正答率も
チンパンジー以下というのである。
この本は、日本でも2000円ほどでけっこう売れているようだが、
私は、チェンマイ空港のアジアブックス書店で、廉価のペーパーバック版を
運よく見つけ、これを読んだ。
内容は、読んでもらえばいい。著者の直面したいろいろなエピソードも
面白く紹介されている。
なぜこうまで間違えるのかの分析が面白い。
世界の経済・社会・保健の情報は、主にマスメディアから
入ってくる。
マスメディアは、刺激的な、ショッキングなことを伝えて
視聴率を稼ぐ。
犬が人間を咬んでもニュースにならないが、人間が犬を噛めば
ニュースになる。
今回の武漢発の新型コロナウイルスも新型ゆえ
大きなニュースになっている。
毎年流行するインフルエンザはおなじみなので、
日本だけでも年間1000万人ほどが感染し、
直接原因で1000人ほど、間接原因とすると1万人ほどが
死亡するが、大きく膨れないとニュースになりにくい。
毎日のように刺激的なニュースやワイドショーに接していると、
いつかまれなニュースが日常の起こり事となってしまう。
また、自分の頭の中にも退屈な日常を脱したく、刺激的なニュースを
求める受け入れ態勢があり、頭にしみ込みやすい。
どうやら、ニュースと事実、ファクトを分別する知恵が必要なようだ。
世界は、思ったより進歩している・・・
この本からのメッセージでもある。