タイ語の読み方、声調の確認をやっていたら、
日常使う、似たような発音の言葉を比べたくなった。
例えば、蚊のユングと忙しいのユング、
直すのソムとミカンのソム。
日頃の発音をもとに、タイ語で書いてみる。
そのためには、声調が合っていなくてはならない。
さて、正しい書き方にたどり着けるだろうか?
頭の中の思考方法をたどりながら、試みよう。

まずは、例に挙げた①「直す」のソムと②「ミカン」のソム。
ついでに、長母音の③「フォーク」のソームと
④「練習する」のソームも綴りを探って見る。
直してほしい時は、sɔ̂mとねだるように発音したっけ?
ミカンを食べたいときは、sômとおいしそうに言ったっけ?
「オ」の音が「直す」と「ミカン」では違うだけ。
直してほしい時は、口を縦に大きく開けなくては。
フォークのソームは、直すのソムと同じく、口を大きく開けたオ「ɔ」
の音だが、日常では長母音で発音される。
辞書は短母音だが、「อ」の字は基本オー、長母音である。
なので、「フォークを直す」(フォークを直すなんてあまりないが)は、
sɔ̂mとsɔ̂ɔmの組み合わせで、「sɔ̂m sɔ̂ɔm」となる。
「練習する」のソームは、同じく「ɔ」のソームだが、声調はどうだったかな?
ゴルフの練習に行くとき、「ソーム・ゴープ」と声高に言うから、高声だったかな?
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以上から、2つのソムと2つのソームをタイ語にするとどうなるか?
Sのタイ文字は、高子音字グループに3つあったっけ。
代表的な「ส」と、「ษ」と「ศ」。
ここで、3つもSの字を占めているので、
低子音対応字グループには、対応するSはなかったかな?
いや、あった。
象さん「ช」チョー・チャーンの妹分の
「ซ」ソー・ソーがあった。
高子音字グループのSの字は、
声調符号をつけないと、上昇声になってしまう。
k,t,pが末尾に付くなら、低声だが。

①「直す」sɔ̂mは落下声だとすると、
「้」マイ・トーを付けて、「เส้าะม」となるか?
これは美しくないから、「ส้็ม」と書かれるのかな?
②「ミカン」は、同じく落下声で、ただしoの音だから、
「โส้ะม」でいいのかな?
これも、ちょっと形が悪いな。
母音符号なき母音で、「ส้ม」となるかな。
簡単なソムという言葉なのに、綴るとなると迷ってしまう。
③「フォーク」のソームも、落下声と見立てて、「ส้อม」で行ってみよう。
④「練習する」は、高声と見ると、高子音字には高声はない。
なので、「ซ」のSを持ってきて、高声となるマイ・エーク「่」を付けて、
「ซ่อม」ではどうだろうか?

さて、正解は?
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3問は合っていたが、一問、「直す」が違っていた。
①「直す」の正解は、「ซ่อม」ソムである。
落下声は、高子音字にマイトー「้」を付けても出せるが、
低子音対応字にマイエーク「่」を付けて表した方が素直なようだ。
タイに暮らしていて一番うれしいのは、
何でも安く直してもらえることだ。
シェーバーの歯の欠けたのから、
ゴルフバッグの綻びや、パンツの穴あきまで。
日本なら捨てて買い替えるか、
高い値段を払って修理してもらうようなものが、
街の中で直してもらえる。
それも上手にかつ安く。
うれしい限りである。
②「ミカン」は、「ส้ม」ソムである。
そう、タイ語の綴りでよく見られる「母音符号のない母音」の例である。
ミルクのノムnomが良い例だが、これは、「โนะม」とは書かない。
ノ「โนะ」のサラオッ「โ ะ」は省略されて、「นม」nomと母音符号なしで綴られる。
従って、ミカンのsômの場合も、「โส้ะม」ではなく、「ส้ม」と、
シンプルに綴られる。
③「フォーク」は、「ส้อม」ソームである。

スプーンとフォーク、
「ช้อน」chɔ́ɔnと「ส้อม」sɔ̂ɔmは、
明治天皇と同時期のラーマ5世以降の
タイの基本食器である。
ともにɔɔの音で、「้」マイ・トーが付いていて、
声調が違うのが面白い。
④「練習する」は、「ซ้อม」ソームで正解だった。
もっとも、「練習する」に当たるタイ語は、このソームのほかに、
フック、ハットなどがある。
フックが初級の練習で、ハットが中級の練習、ソームが上級の練習
に当たるとどこかで聞いたことがあるが、さてどうか。

フック・ハット「ฝึกหัด」fʉ̀khàt、
フック・ソーム「ฝึกซ้อม」fʉ̀ksɔ́ɔmという連語もある。
ともに、練習するという意味だが、
学校の練習問題は、フック・ハットだ。
フック・ソームはスポーツの練習などに使われる。
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なぜ「直す」のソムを間違えたか?
言い訳めくが、「อ」の字は、長母音ɔɔで、
短母音のɔなら、「เอาะ」だろうという
思い込みがあったからだ。
口を丸めたオッɔの音だが、
「อ」と書けば、ふつうは長母音ɔɔである。
短母音ɔで表したければ、「เ าะ」となる。
ところが、正解は「ซ่อม」でsɔ̂m。「อ」があるのに、
短く発音される
(直すの「ซ่อม」は、ソームと長く発音されることもあるが)。
これについては、マイ・エーク「่」が付いているからという
説があるが、確かめていないので知らない。
タイ語は、短母音か長母音かで意味が違ってくるから、
長短の違いにはよく注意せよと言われる。
オッ「โ ะ」(o)と、オー「โ」(oo)、
オッ「เ าะ」(ɔ)と、オー「อ」(ɔɔ)の違いには、
十分留意していこう。
確かにその通りだが、この「直す」のソームのように
場合によって、長短使い分けする言葉もある。
典型的なのが、水の「น้ำ」である。
「ำ」アムという余剰母音は、長母音の仲間だが、
ナムが先に来るときは、短かくナムnámと発音され、
後から水が来るときは、ナームnáamと長く発音される。
「น้ำเปล่า」ナム・プラーオ、お水(素水)。
「อาบน้ำ」アープ・ナーム、シャワーを浴びる。
言葉は柔軟である。
確かに、「อ」に、「ย」や「ม」と言った
開いた末子音がついた単語は、
当然ながら、ほとんどが長母音で発音される。
例えば、
「糸状の飾り」のソーイ。「สร้อย」
先程出た「フォーク」のソーム。「ส้อม」
「小道」のソーイ。「ซอย」
前出の「練習する」のソーム。「ฃ้อม」
すべて、長母音で発音される。
同じ落下声のsɔ̂mの音でも、
高子音字グループのS「ส 」だと、「้」マイトーが付き、
低子音対応字グループのS「ซ 」だと、「่」マイエークが付く。
タイ語の声調の面白いところだ。
この高子音字の「้」マイトー付きと
低子音字の「่」マイエーク付きはよく出てくるので、
しっかり記憶したい。
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最後に、復習の意味で、正解を並べておくと、
「直す」のソムは、低子音対応字にマイエーク「่」を付けて「ซ่อม」sɔ̂m。
「ミカン」のソムは、高子音字にマイトー「้」を付けるが、
oの母音符号サラオッ「โ ะ」は省略され、母音符号のない「ส้ม」sôm。
「フォーク」のソームは、高子音字にマイトー「้」を付けて「ส้อม」sɔ̂ɔm。
「練習する」は、低子音対応字にマイトー「้」を付けて「ซ้อม」ソームが正解となる。
次回は、別の言葉で綴りの違いをやってみよう。
(続く)
短母音の ะ ですが、場合により省略されて文字の上に一個だけだけ書く場合がありますけど
なんとなく覚えてはいるものの、明確な基準が不明瞭なのです。
読むときは問題ないのですが、書くとなると「あれ? どっちだったかな?」と迷います。
サラアッ(ะ)は、①母音のaの音と、②長母音を短くする短母音化の、ふたつの役目を負わされているので、省略時に迷いますね。
อะไรなども考えれば不格好ですが、aの音だからいいのでしょうね。
これが、เดะกとなると許されないので、เด็กになるというわけですかね。


