タイ語似た者綴り方教室
第8回は、
以前、別の形で出てきた「ラーン(グ)」と
新しく「トン(グ)」を見てみよう。
まず、「ラーン(グ)」と聞いて、
何を思うだろうか?
「ラーン・アーハーン」(食堂)や
「ラーン・カイ・ヤー」(薬局)の
①「ラーン」(お店)を思いつく。
また、「ラーング・ムー」(手を洗う)や
「ラーング・ロット」(車を洗う)などの
②「ラーング」(洗う)も思いつく。
その他では、
この地の旧名「ラーン・ナー」に出てくる③「ラーン」(百万)、
「カーング・ラーング」(下方)の④「ラーング」(下)、
「ラーン・サーオ」(孫娘)の⑤「ラーン」(孫)、
「ラーング・ナーム・フォン」(雨樋)の⑥「ラーング」(樋)、
とある。
それぞれの音、声調を想い、
綴ってみよう。
まず、①「ラーン」(お店)だが、
確か、大きな建物の「ローング」のRと一緒だった。
声調は?
「ラーン・アーハーン」と高い声で言うので、高声か?
ならば、「ร้าน」ráanでよろしいか?
ピンポーン!
お店の「ラーン」は、低子音字「ร」rにマイトーを付けて、
高声となる。
次の②「ラーング」(洗う)だが、
以前、「カーング・ラーング」(下方)の④「ラーング」(下)の所で
一緒にやった。
「洗う」の「ラーング」は、Lで始まる高声だった。
これも低子音字にマイトーが付いて、「ล้าง」láaŋが
正解となる。
④「ラーング」(下)は、ゆったりとした落下声だった。
なので、低子音字にマイエークが付いて、「ล่าง」lâaŋだった。
③「ラーン」(百万)は、この地「ラーン・ナー」(百万の田)の
地名に使われる。豊かな穀倉地帯という意味だ。
「洗う」と同じで、Lの高声である。マイトーを付ける。
「ล้าน」láanである。
「洗う」のラーングと「百万」のラーンの違いは、
末尾が「ŋ」か「n」かの違いだけである。
「ラーン・ナー」(ล้าน นา)láan naaとなると、
高声+平声の発音となる。
⑤「孫」の「ラーン」だが、上昇声であることは
覚えている。
なので、高子音字化して、「หลาน」lǎanとなる。
ただ、このラーンには、「孫」のほかに「甥姪」と言う
意味もある。
なぜ孫と甥姪が同じなのかよくわからない。
孫は2親等だが、甥姪は、3親等だ。
また、孫は2世代下だが、甥姪は、1世代下だ。
自分との距離感が似ているということだろうか?
最後に、⑥「樋」の「ラーング」だが、
これは、街の看板にあるように、お店のラーンと
一緒で「ร」Rのラーング。声調は違って、平声。
従って、「ラーング・ナーム・フォン」(雨樋)は、
「ราง น้ำ ฝน」raaŋˑnámˑfǒnとなる。
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「トン(グ)」と聞いて何を思い出すか?
①「ねばならない」のトングがある。
②「月初」(トン・ドゥアング)のトンがある。
このトンは、トンマーイ(樹木)のトンと一緒だ。
さらに、③「旗」がトングだ。
④「オットン」(耐える)のトンもあった。
①「ねばならない」のトングはよく使われる。
中子音字の「ต」tで、落下声だから、マイトーが必要。
「行かねばならぬ」を書いてみると、
「ต้อง ไป」tɔ̂ŋˑpaiとなる。
また、これの否定形「マイ・トング」は肯定形以上に使われる。
「おつりはいらないよ」のマイ・トング・トーン
「ใม่ ด้อง ทอน」mâiˑtɔ́ŋˑthɔɔnはよく使う。
「ทอน」thɔɔnは、おつりを払うという意味である。
なお、喋るときのマイはほとんどメになる。
②月初のトン(トン・ドゥアン)は、樹木のトン(トン・マーイ)と
同根である。
このトンは落下声で、「ต้น」tônと書く。
中子音字「ต」にマイトーで、落下声である。
このトンは、「茎や幹、始まり、元」という意味である。
従って、
樹木は、樹の幹でトン・マーイ「ต้น ไม้」tônˑmáai。
ウッドを表す高声のマーイだが、後ろに単語が来るときは、
マイと短く発音される。
ちょうど、ナーム(水)が同様だ。
これら余剰母音は、長母音とみなされるが、
前に着くときは、端折って短く発音されるのがタイ語である。
タイのねぎは、「香る茎」でトン・ホーム「ต้น หอม」tônˑhɔ̌ɔm、
月初めは、トン・ドゥアン「ต้น เดือน」tônˑdʉan、
首筋が、トン・コー「ต้น คอ」tônˑkhɔɔ(首の付け根)となる。
③「旗」のトングは、コーカイ表にもある通り、
有気音のトング「ธง」である。平声。
代表的なトー・タハーンのthではなく、
同じ低子音対応字でも、マイナーな「ธ」である。
トング・チャート「ธง ชาติ」thoŋˑchâatは、国旗である。
ちなみに、以前のタイ国旗は、
トング・チャーング「ธง ช้าง」thoŋˑcháaŋ、象の旗だった。
④「オッ・トン」(耐える、我慢する)のトンは、
「ทน」thonとシンプルに綴る。
オッもトンも辛抱するという意味である。
「我慢できない」は、
オッ・トン・マイ・ワイ「อต ตน ไม่ ไหว」òtˑtonˑmâiˑwǎi。
ここでの「できない」は、マイ・ワイである。
我慢や辛抱は人間のすることだが、
物の耐久性が長いかどうかにも、このトンを使う。
「チャイ・トン」(ใช้ ทน、cháiˑton)、「耐えて使う」で
耐久性があるという意味になる。
なお、出来る、出来ないには、ご存知のように3種ある。
状況的にできないのが、マイ・ダイ「ไม่ ได้」mâiˑdâi。
そして、肉体的、精神的に無理なのがマイ・ワイ「ไม่ ไหว」mâiˑwǎi。
習ってないので、やり方が分からないのが、マイ・ペン「ไม่ เป็น」mâiˑpenだ。
次回第9回は何にしようかな?
(続く)