タイ語新シリーズ
「シーン毎のボキャブラリー・熟語」シリーズ
の第7回。
いろいろな場面ごとに、
単語だけではなかなか覚えられないし、面白くないので、
「熟語」で興味を持って覚えていくことにする。
もちろん、「声調」が大事なので、
「綴り」(サゴット)も理解していくことは忘れない。
第7回のシーン別タイ熟語は、
「身体動作」にかかわる熟語の3回目、
横になるや動いて行くなどを探って見よう。
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⑫まずは、楽な方から。「横になる」
「ノーン・ロング」nɔɔnˑloŋ「นอน ลง」である。

タイ語らしい表現として前回触れたが、
「ノーン」だけでも「横になる」という動詞だが、
「ロング」(下る)を付けることによって、
動きが鮮明になり、リズムもできる。
横になったら、眠ってしまうことがある。
昼間なら、「午睡」napがとれる。
「ギープ(・ラップ)」ŋîipˑlàp「งีบ หลับ」である。
ギープは、数少ないが、鼻音ŋ「ง」で始まる単語。

鼻音ŋ「ง」で始まる単語は、多くないが、
ふだん使う面白い単語が多いので、主なものを紹介しておこう。
まず、「ゴッ」ŋɔ́「เงาะ」。果物の「ランブータン」だ。
ランブータンより、ラムヤイ(龍眼)の方が好きだけど。
それと、よく使うのは、「お金、銀」の「グン」ŋən「เงิบ」。

「さみしい」は、「ガオ」ŋǎo「เหงา」。上昇声である。
「汗」は「グア」ŋʉ̀a「เหงื่อ」。最初、ヌアと聞こえる。
「汗が出る」は、「グア・オーク」ŋʉ̀aˑɔ̀ɔk「เหงือ ออก」だ。
「愚かな」は、「ゴー」ŋôo「โง่」。
「バカ」や「阿呆」の類の言葉は沢山あるが、やめておこう。
「静か」は「ギアップ」ŋîap「เงียบ」。
「胡麻」が「ガー」ŋaa「งา」だ。。ヌガーみたいだ。
「象の牙」ivoryのことも、なぜかゴマと同じで、
「ガー・チャーング」ŋaaˑcháaŋ「งา ช้าง」と言う。
「容易な」が「ガーイ」ŋâai「ง่าย」。下落声だ。
同じ「ガーイ」でも、前回見たように、
「仰向け」は、ŋǎai「หงาย」。仰向けらしく、逆に、
上昇声(ちょうど上を向いている)になっている。
⑬タイは暑いから、昼寝は欠かせない。
午睡は40分くらいがちょうどいいというが、
リタイアの身には、1~2時間でもいい。

夜は、本格的な睡眠時間となるが、
歳を重ねると、昼寝もあり、なかなか寝付けない。
「ベッドへ行く」のも遅くなる。
ベッドへ行くは、「パイ・ノーン」もあるが、
「カオ・ノーン」khâoˑnoon「เข้า นอน」(寝に入る)でいいだろう
(すぐ眠るかどうかは別にして)。

そして、「眠りにつく」は、「ノーン・ラップ」noonˑlàp「นอน หลับ」である。
「ラップ」は「眠っている」状態だが、
ノーンとラップを入れ替えて、「ラップ・ノーン」làpˑnoon「หลับ นอน」とすると、
なぜか、make loveという意味になるから要注意。

寝室にまつわる単語はたくさんあるが、
それは、住居編で紹介しよう。
ところで、「ラップ」làp「หลับ」(眠る)には、
「目を閉じる」làpˑtaa「หลับ ตา」という言葉もある。
また、「目を開ける」は、「ルーム・ター」lʉʉmˑtaa「ลืม ตา」となる。
この「ルーム」は、「忘れる」のルームと同じだ。
「口」についても同様だ。
「お口を開けて!」は、「アー・パーク」âaˑpàak「ย้า ปาก」。
「口を閉じて」は、「ガップ・パーク」ŋápˑpaak「งับ ปาก」である。
ただし、「ガップ」は、「強く挟む」という感じなので、「ピット」でもいい。
通常、「開く、閉じる」は、「プート、ピット」だが、
目と口については、別の動詞が使われる。
⑭「起きる」 「トゥーン(・ノーン)」tʉ̀ʉn(ˑnɔɔn)「ตื่น (นอน)」。
朝、目を覚ますという意味である。

自ら起きれない時は、起こしてもらう。
「6時に起こしてね!」は、「プルック」(起こす)を使って、
「プルック・チャン・トーン・ホク・モーン・チャオ」
plùkˑchǎnˑtɔɔŋˑhòkˑmooŋˑcháao「ปลุก ฉัน ตอน หก โมง เช้า」である。
「目覚まし時計」が、「ナーリガー・プルック」naalikaaˑplùk「นาฬิกา ปลุก」となる。
時計の「ナーリガー」に、珍しく「ロー・チュラー」(凧のL、「ฬ」)が使われている。

なお、「起こす」の「プルック」を長母音にして、「プルーク」plùuk「ปลูก」にすると、
「木を植える」の「植える」になる。
「トゥーン」(起きる)を使った「トゥーン・テン」tʉ̀ʉnˑtên「ตื่น เต้น」がある。
「興奮する」という意味である。「テン」は、「ダンスする、ジャンプする」だ。
我が家のクロは、お出かけとなると興奮して、
ジャンプを繰り返す。

⑮「君子危うきに近寄らず」ではないが、
人生、「避けたり」、「逃げたり」、「退いたり」、「隠れたり」
することも大事である。
「避ける」は、危ない道などを避ける(sidestep)という意味では、
「リーク・リアング」lìikˑlîaŋ「หลีก เลี่ยง」がいいだろう。
「リーク」は、「避ける」という意味だし(英語のleakは漏れるは無関係)、
同じL「ล」で始まる「リアング」は、「逃れる」というニュアンスの言葉だ。
「避けて逃れる」ということになる。liのリズムがいい。
同じ「リアング」でも、高声のリアングlíaŋ「เลี้ยง」の方がなじみが深い。
「育てる、飼う」と「おごる、接待する」の意味がある。

もうひとつ、これまた同じL「ล」で始まるが、「ロップ」lòp「หลบ」もある。
「ロップ」は、ひょいと頭を引っ込めて「避ける」感じだ。
引き算の「マイナス」の「ロップ」lóp「ลบ」は、低声でなく、高声である。
Lの「よける」の三語はみつどもえで、組み合わさる。
「ロップ・リアング」lòp lîaŋ「หลบ เลี่ยง」は、借金取りなどから逃れる時。
「ロップ・リーク」lòpˑlìik 「หลบ หลีก」 は、強盗団などから逃れる感じ。
そして、ここで採用した「リーク・リアング」lìikˑlîaŋ「หลีก เลี่ยง」は、
危険な道を避けるような時だ。
まあ、3つとも、「逃れる」、「避ける」で、ほとんど同じかな。
「ロップ・ローク・リアン」でまとめて覚えちゃおう。
⑯避けた後は、「逃れる」に越したことはない。

映画「サウンド・オブ・ミュージック」ではないが、
山を越えて他国へ逃れる。
「~から逃げる」は「ニー~」nǐi「หนี」である。上昇声。
「から」from(~チャーク)は、要らない。
「逃走する」は、「ウイング・ニー」wîŋˑnǐi「วิ่ง หนี」
「逃げて行く」は、「ニー・パイ」nǐiˑpai「หนี ไป」
「非常口」は、「ターング・ニー・ファイ」thaaŋˑnǐiˑfai「ทาง หนี ไฟ」である。
「ファイ(・マイ)」(火事)の時の「ターング・ニー」(逃げ道)となる。
⑰「隠れる」 「ソーン」sɔ̂ɔn「ซ่อน」である。
「教える」の「ソーン」sɔ̌ɔn「สอน」が上昇声なのに対し、
この「隠れる」のソーンは、下落声である。

「かくれんぼ」hide and seekは、「ソーン・ハー」sɔ̂ɔnˑhǎa「ซ่อน หา」である。
「ソーン」sɔ̂ɔn「ซ่อน」は、タイ語には、自動詞・他動詞の識別はないが、
「隠れる」という自動詞でもあり、「隠す」という他動詞でもある。
「身を隠す」なら、「ソーン・トゥア」sɔ̂ɔnˑtua「ซ่อน ตัว」となる。
この「隠す」の「ソーン」と綴りも発音も似た言葉に「ソーング」sɔ̂ɔŋ「ซ่อง」がある。
末尾の子音が、n「น」かŋ「ง」かの違いだけで、下落声「ソー」sɔ̂ɔ「ซ่อ」は、一緒である。
「ソーング」sɔ̂ɔŋ「ซ่อง」は、「置屋」である。
隠れ場所という意味で近いのかもしれない?
⑱「姿を消す」disappearは、何と言うか?
タイ語の「消える」は、「なくす」、「治る」と
同じ単語である。すなわち、「ハーイ」hǎai「หาย」である。
今まであったものが、「消える」、「なくなる」、「治る」で共通である。
「消え失せる、蒸発する」の「スーン」sǔun「สูญ」と合わせて、
「スーン・ハーイ」sǔunˑhǎai「สูญ หาย」で、タイ語得意の2単語熟語で、
「見えなくなった」となる。ともに上昇声。

「消え失せる」の「スーン」sǔun「สูญ」と、綴りは違うが、上昇声で同じ発音の
「センター・中心、ゼロ」の「スーン」sǔun「ศูนย์」がある。
何やら、ワールド・トレード・‘センター’が同時多発テロで
‘消失し’、その跡地がグラウンド・‘ゼロ’と呼ばれたことを想起させる。
ちなみに、チェンマイのYMCAの建立日が9月11日だった。
「ショッピング・センター」である「スーン・ガーン・カー」
sǔunˑkaanˑkháa「ศูนย์ การ ศ้า」などの「センター」も上昇声の「スーン」である。
「名詞化」の「ガーン」+「商う」の「カー」で、「ガーン・カー」は「商業」。
最近は、チェンマイでも、「〇〇中心」と書かれた、中国語が目立ってきた。
⑲「探しても見つからない」
ゴルフボールなどが藪に入って、あきらめる時、言う。

‘ハー・テー・チュー・マイ・ダイ’と言いたくなるが、
タイ語表現は、もっと簡潔だ。
「ハー・マイ・チュー」hǎaˑmâiˑcəə「หา ไม่ เจอ」である。
「~しても、~できない」は、「~・マイ・~」で済む。
例えば、「(タイ語の文章が)読めない」と言いたい時、
「アーン・マイ・オーク」àanˑmâiˑɔ̀ɔk「อ่าน ไม่ ออก」と言う。
「読もうとするが、(書いてある文字が)出てこない」だ。
⑳今回の最後は、「後退する、後ずさる」だ。
上昇声の「トーイ」が使われる。おもちゃではない。
「トーイ・ラング」thɔ̌ɔiˑlǎŋ「ถอย หลัง」の上昇声の連続で、
後ずさりする動きが鮮明になる。ラングは、「後ろへ」だ。
「retreat退却する」は、ランチェスター戦略論などで立派な戦術なのに、
大戦時に言霊に囚われる大本営は、転進などと言ってごまかしていた。

「セータギット・トット・トーイ」sèetthaˑkìtˑthòtˑthɔ̌ɔi「เศรษฐ กิจ ถด ถอย」で、
「経済後退、リセッション」となる。
「セータギット」は、「経済」。
高子音字のth「ถ」で始まる「トット」thòt「ถด 」は、「少し動く」という意味だが、
「トット・トーイ」という熟語で、「心」なら「くじける」、「経済」なら「後退する」になる。
「トット」で、愛犬クロを思い出した。
中子音字(無気音)のトットtòt「ตด」は、「おならをする」である。
クロは、鶏肉をよく食べると、おならをする。
自分がすると、すぐ逃げて行く。
また最近は、人間並みに、音も出すようになった。

タイのことわざに、面白いのがある。
「ガム・キー・ディー・グワー・ガム・トット」
kamˑkhîiˑdiiˑkwàaˑkamˑtòt「กำ ขี้ ดี กว่า กำ ตด」である。
ガムは、噛むガムではなく、「一握り」だが、
「キー」は動物の「糞」、「トット」は「おなら」。
「ディー・グワー」は、「ベター」。
糞の一握りの方が、おならの一握りよりいい!?
「実体がある方がいい」ということだが、
どこからこの発想は出てきたのだろう?
肥しの材料としてか?
第7回おわり。
次回第8回は、身体動作編の4回目、
身体動作編のしめくくりとしよう。
(続く)


