2020年の末を迎え、
世界のコロナ感染は、第3波が膨れている。
いまや、一日70万人が新しく感染し、
1万3千人が亡くなっている。
世界の感染動向を見るのに、
4つのポイントに絞って見てみよう。
1.毀誉褒貶のスウェーデンのその後は?
2.7~8月に増加した日豪香の3ヵ国のその後は?
3.世界トップでリードしてきたアメリカの第3波の勢いは?
4.西欧主要5か国の勢いは衰えたか?
1. 制限をあまり加えず、評価が左右するスウェーデン
(現在感染者数で世界第33位)。
当初、集団免疫狙いと批判され、夏場(7~9月)の
鎮静ぶりで評価されたが、10月以降の第3波では、
感染者数が大きく膨れてきた。
ただ、死者数は、11月末をピークに、春のレベルに
達せず、沈静化してきているのが注目される。
死者数の多い老人介護施設での対策が奏功してきた
ということだろうか。
ここにきてスウェーデンもそれなりの規制を敷くなど、
コロナの早期収束対策に、決定策はないことを示している。
2. 3~4月の第1波は低く抑えられたが、
7~8月の第2波がこれを上回り注目された三か国、
日本とオーストラリアと香港はその後、どう展開したのか?
香港(現在世界131位)は夏場の第2波で感染者数、
死者数とも増加したが、その後9~10月と鎮静。
11月末以降第3波が来ているが、
今の所、夏場を下回っている。
しかし、行政府の危機感は強く、
12月に入って、夕方6時以降のレストランでの飲食禁止や
スポーツジム、美容院の営業停止など、入国隔離策などに
加えて、日本などより厳しい策をとっている。
オーストラリア(現在世界99位)は、7~8月
(向こうの冬場)は大きく膨れたが、その後鎮静、
この11月以降も静かである。
各州ごとに、ロックダウンや14日間隔離を対策として
実施、国境も封鎖したため、ウイルスの蔓延が防げたようだ。
日本(現在世界47位)は、ご存知の通り、
ホップ、ステップ、ジャンプと、11月以降の第3波が
大きく膨らんできている。
当初、「さすがは日本」と自画自賛していたのが
変わってきているのが、この国らしい。
これら三か国の中で、日本は旅行や飲食をむしろ
推進するなど、経済重視の策をとったため、
他の2ヵ国よりも緩い規制となり、感染が拡大している
とみられても仕方のない形になっている。
この結果、3ヵ国は規模こそ違うが、人口当たりの
感染者数を見ると、累計で日本は
百万人当り1500人に達し、
オーストラリアや香港の5割増しと上ってきている。
3.世界トップの感染国アメリカの第3波の勢いは?
第1波から第2波と、トランプ政権下、世界をリードしてきた
アメリカなので、さすが第3波は第2波程度と期待もされたが、
アメリカの第3波は、中西部、シカゴのあるイリノイ州などを
中心に、さらに盛り上がってきている。
規制の厳しい隣国カナダよりも、人口当たりの
感染者数、死者数は、アメリカの方が3倍近く多い。
アメリカは、それなりの対策を行ない、
国民の7割がPCR等のテストを受けた形のトップ水準だが、
なにせ大統領をはじめマスクすらしたがらない自由の国、
感染が広がり切るまで続くのがうなずける。
4. 感染者数トップ12にいずれも入っている
西欧主要5か国はどうなっているのだろう?
イタリア、スペイン、イギリス、フランスともに
この秋は以前よりも大きな波が来ているが、
ここにきて勢いはやや鈍っている。
唯一、水準はなお低いが大きく膨れて
来ているのがドイツだ。
ドイツは、春には低く、夏場の波はなく、
西欧でも優等生とはやされたが、
それを取り返すかのように、10月末以降、
感染者数、死者数とも盛り上がってきている。
11月に入り、飲食店や娯楽施設の閉鎖に
踏み切ったが、欧州では、ドイツですら
感染拡大の波に飲み込まれたということか。
コロナの感染の波は、11~12月の波を
最後に収束するのか、はたまた2021年には、
第4波、第5波がくるのか予断を許さない。
ここタイをはじめ、世界の現状を見ていると、
よほど厳しく絶滅させるつもりで対処しないと、このウイルスは
隙間から簡単に忍び入るということだ。
春以降徹底して抑え込んだタイ(現在、世界152位)ですら、
隣国ミャンマーやラオスからの感染の流入を
警戒しているところだ(実際、ミャンマーからたくさん入ってきた)。
ワクチン接種の実績が早く見られるようになってほしい。
(以上)