「シーン毎のボキャブラリー・熟語・例文」シリーズの
第21回。
各シーン毎に使われる名詞と動詞、
これに表現を加えて見ていこうの4回目。
自分の足元の「家」から見ていくことにしたが、
今回は、「寝室」に立ち入ってみよう。
寝室には、いろいろな衣類・備品があるので、それらを見ていこう。
「ベッド」から始まって、「シーツ」「掛布団」「毛布」「枕」等の寝具、
また「カーテン」「灯り」など寝室に見られるものと、
その活用について見てみよう。
***
⑬ ベッド
「ベッド」は、辞書を見ると「ティーアング」tiiaŋ「เตียง」が多いが、
我が家では、「ティー・ノーン」thiˑnɔɔn「ที่นอน」を用いることが多い。
文字通り「寝る所」である。
「ゴーン・パイ・ローング・リヤン・ヤー・ルーム・ゲップ・ティー・ノーン・ハイ・リアップ・ローイ」
kɔ̀ɔn pai rooŋ rian yàa lʉʉm kèp thîi nɔɔn hâi rîap rɔ́ɔi
「ก่อนไปโรงเรียน อย่าลืมเก็บมี่นอน ให้เรียบร้อย」
「学校へ行く前に、ベッドを整えておくことを忘れないで」。
「ゲップ」kèp 「ก็บ」は、よく使われる動詞である。
ゴルフで空いている時二球打って、もう一つのボールは「ピックアップ」して
欲しい時、「ゲップ」を使うが、
「収集する」とか「片づける」という意味がある。
この場合は、ベッドを片付けて、「リアップ・ローイ」rîap rɔ́ɔi「เรียบร้อย」
(整った」にしておくということだ。
「ゲップ・ティーノーン」で「make a bed」である。
「リアップ・ローイ」(整った)と
「プローム・レーオ」phrɔ́ɔm lɛ́ɛo「พร้อม แล้ว」(準備できたよ)の
使い分けは、整った現状を言うか、今動けるよと近い未来を
強調するかの違いの気がする。
なお、「プローム・レーオ」phrɔ́ɔm lɛ́ɛo「พร้อม แล้ว」の
両単語に付く「マイトー」(้)は、いずれもพとลという
低子音字に対してなので、高声にする働きを持つ。
マイトーの符号「้」を「電話機」に見立て、
上中流階級(高中子音字グループ)は、電話機を落としがちだが(落下声)、
低い階級(低子音字グループ)は、電話機で高い声で話しがちだ(高声)と
マイトーの声調を覚えた。
ベッドには、「マットレス」が載っている。
「マットレス」は、「フーク」fûuk「ฟูก」(クッションの意味)
または「フーク・ノーン」fûuk nɔɔn「ฟูกนอน」だが、
「ティー・ノーン」で済ませていることも多い。
ついでに、「寝る」と「眠る」の違い。
タイ語でも「寝る、横になる」は「ノーン」だが、
「眠る、眠ってしまう」となると、「眠っている」の
「ラップ」làp「หลับ」が付いて、「ノーン・ラップ」となる。
「ラップ」のタイ語の綴りで、หを借用して高子音字化しているのは、
ลの低子音字グループには、低声がないからである。
「低子音字には低声がない」と覚えておこう。
「ラップ・ノーン」との違いは以前に触れた。
また、「寝に行く、go to bed」は、
「パイ・ノーン」ないしは「カオ・ノーン」。
「カオ・ノーン」の方が、眠りに行く感じが強いか。
⑭ 掛布団・毛布・シーツ・枕
ベッドの上には、「掛布団」ないしは「毛布」が
かかっている。下には「シーツ」が敷いてある。
「シーツ」は、タイ語で「パー・プー」phâa puu「ผ้าปู」である。
「プー」は、ご存知「プー・パッポンカレー」の
「蟹」と同じだが、「パー・プー」で、「シーツ」。
「蟹の布」とイメージして覚えた。
「サック・リート・パー・プー・ティー・ノーン」
sák rîit phâa puu thîi nɔɔn「ซ้ก รีด ผ้าปู ที่นอน」
「ベッドのシーツを洗い、アイロンがけする」。
「掛布団」は、英語だとcomforterやquiltだが、
毛布blanketも同じ用をなす。
「掛け布団」は、タイ語では「パー・ホム」phâa hòm「ผ้าห่ม」と言う。
「毛布」の意味もある。
「ホム」(平声)は「カバーする」だから、文字通り、「カバーする布」である。
「パー・ヌアム」phâa nuam「ผ้านวม」もあるが、「ヌアム」は
「詰め物をする」だから、「詰め物をした布」となる。
「毛布」blanketは、「パー・プアイ」phâa phǔai「ผ้าผวย」だが、
暑いタイでは、毛布はあまり使わない。
「パー・ホム」でも通じる。
なお、清潔好きの日本では、掛布団にカバーをかけるが、
タイでは、カバーなどしない。
「枕」は上昇声の「モーン」mɔ̌ɔn「หมอน」だ。
「モーン」を使った独特の言い回しがある。
「ロム・モーン・ノーン・スア」lóm mɔ̌ɔn nɔɔn sʉ̀a「ล้มหมอน นอนเสื่อ」
「枕に落ちて、マットに寝る」。どういう意味か?
「病に陥り、寝たきりになる」ということだ。
高声の「ロム」lóm「ล้ม」は、「ホック・ロム」(転倒する)に見られるように、
転び落ちるという意味だ。
「マイエーク」が付いた低声の「スア」sʉ̀a「เสื่อ」は、
声調符号の付かない上昇声の「虎」sʉ̌a「เสือ」でも、
「マイトー」が付いた落下声の「服」sʉ̂a「เสี้อ」でもなく、
「マット、ゴザ」という意味だ。
「枕カバー」pillow caseは、「プローク・モーン」plɔ̀ɔk mɔ̌ɔn「ปลอกหมอน」(枕のケース)と、
タイ語では、「タクシー・メーター」(メーター付きタクシー)と
同じで、後ろの名詞が前の名詞にかかる。
タイでは、長い「抱き枕」body pillowが好まれて使われるが、
タイ語では、「モーン・カーング」mɔ̌ɔn khâaŋ「หมอน ข้าง」である。
「カーング」は、「カーング・タノン」(道路脇に)に見られるように、
「脇に、横に」という意味だから、「脇枕」と言ったところか。
⑮ カーテン・灯り
「カーテン」は、「パー・マーン」phâa mâan「ผ้า ม่าน」である。
藤子不二雄の漫画の主人公「パーマン」を連想して覚えた。
落下声の連続である。
「マーン」mâan「ม่าน」は、それだけで、カーテン、スクリーンとか
ベイルとかいう意味である。
「ポム・ドゥーン・パイ・ルート・パー・マーン・チョン・スット・ゴーン
phǒm dəənpai rûut phâamâan con sùt kɔ̀ɔn
「ผม เดินไป รูดผ้าม่าน จนสุด ก่อน」
「私は歩いて行って、まずカーテンを端まで引いた」。
「ルート」rûut 「รูด」は、ジッパーなどを「スーッと引く」イメージである。
「チョン」は「~まで」。「スット」は、「端」。
「ロングレム・マーン・ルート」という類のホテルが
タイには多くある。
「カーテン(を引いての)・ホテル」とは、日本で言う車を停めての
「ラブホテル」のことである。
なお、「遮光カーテン」は、
「パー・マーン・バング・デート」phâa mâan baŋ dɛ̀ɛt「ผ้า ม่าน บัง แดด」である。
「バング・デート」は、「デート」(日差し)を「バング」する(遮る)という意味だ。
海辺での「日焼け止め」や「サングラス」、「サンハット」、「日傘」などの
日焼け防止には、「ガン・デート」kan dɛ̀ɛt「กันแดด」(日焼け防止)を使う。
なお、「日陰」は、「傘」と同じ「ロム」rôm「ร่ม」を使う。
以前、チェンマイのチャンクラーング通りを入った所に、
「ロム・マイ」rôm mái「ร่ม ไม้」(木陰)という名の
落ち着いたタイ・レストランがあった。
「日なた」は、タイは暑いのであまり日向ぼっこはしないが、
「グラーング・デート」klaaŋ dɛ̀ɛt「กลาง แดด」(日の射す真ん中)とでも言うのだろうか。
ちなみに「日光浴」は、「アープ・デート」àap dɛ̀ɛt「อาบ แดด」である。
灯り
「灯り、ランプ」は、「コーム・ファイ」khoom fai「โคมไฟ」だ。
「電気照明器具」全般を指す。
「コーム」がランプ、ランタンのことだ。
「ファイ」は電気だ。
「コーム・ローイ」khoom lɔɔi「โคม ลอย」は、
北タイの「ローイ・グラトング」lɔɔi kràthoŋ「ลอย กระทง」のお祭り(灯篭流しの祭り)の
際に打ち上げられる「紙製熱気球」だ。
「ローイ」lɔɔi「ลอย」は、「浮かべる」という意味だから、
ローイ・グラトング祭りでは、自らの悪しきものを放逐すべく、
川にグラトング(花飾りの灯篭舟)が浮かび、
空には、コーム(紙気球)が浮かぶというわけだ。
一斉に何千と打ち上げられる光景は、目に焼き付く。
第21回はここまで。
次回は、「キッチン」から「書斎」へ入っていこう。
(第21回終わり)