前進党躍進のタイ総選挙の今後は?
2023年5月14日、4年ぶりのタイの総選挙
(下院議員500人の選出)で、若い世代を
代表する「前進党」が、トップの151議席を獲得し、
第1党となった。予想を上回る躍進だった。
投票率も75%と盛り上がりを見せた。
各党の獲得議席数は、以下の通り:
小選挙区 比例代表 合計
(400)(100)(500)
1.前進党 112 39 151
2.プアタイ(タクシン派)112 29 141
1+2、旧野党合計 292
3.タイ誇り党 68 3 71
4.国民国家の力党 39 1 40
5.タイ統一党(プラユット)23 13 36
4+5、旧軍政与党計 76
6.民主党 22 3 25
7.その他12党 15 12 27
タイの選挙史上、画期的な選挙となった。
「前進党」(タイ語で、ガオ・グラーイ)は、前回2019年の
選挙で、前身の「新未来党」が第3位の80議席を獲得したものの、
その後解散命令を受けるなど、新たな風をもたらす党と期待されていたが、
ここまで大勝するとは予想されなかった。
・42歳米国大学出のピタ党首の人気
・新有権者(18~21歳)400万票の力
・王室名誉侮辱罪廃止への賛同
・9年にわたる軍政への失望感
などがあげられようが、前進党がプアタイ(タイ貢献党)さえ上回って
第1党になった意味は大きい。
・前進党の躍進は、従来の農村タクシン派対都市民主党の構図を
打ち破るものだった。前進党は、首都バンコク、北部のタクシン地盤にも
食い込んでいる。
・もしプアタイが第1党だったら、旧来のポピュリスト政策に
巻き込まれかねない。インラック政権が結局クーデターで
覆ったように、バラまき政策は軍に対して危うい。
旧野党連立が成っても、首相選任には、上院250人も加わる。
軍政権が選んだ上院議員だけに、これがハードルとなりピタ首相の
実現には、時間がかかるかもしれない。