「失敗の科学」が、ゴルフに教えてくれること
前回、すぐれた実用的で、示唆に富む最近の本として
マシュー・サイド(かつての英国の卓球チャンピオン)著
「失敗の科学」(原題:Black Box Thinking)を
取り上げた。

同じ重大なミスでも、航空機事故のミスは年を経て減る
のに対し、医療機関の事故はなぜなかなか減らないか?
こういった問題を、人間心理にまで切り込んで解明して
くれる。2015年発行の名著である。
この本の中に示される対応策は、我々の日常の行ないにも
極めて役立つ。人間の技術の向上、たとえば、ゴルフの
打ち方の上達にも示唆してくれることが大きい。
この本を読んで、三つの要素を織り込めば、ゴルフという
スポーツの向上にも役立つことが分かる。勉強になる。
1.まずは、前回も触れたが、「マージナル・ゲイン」の考え方の取り入れである。
あれこれ頭からのフォームの改造など、
試行錯誤の繰り返しに終わることが多い。
そうではなく、「少しの差異の試みの繰り返しが、技術の
改善につながっていく」。ゴルフで見れば、例えば構えた時の
ほんのグリップの位置の違いを試すことが、
大きなパフォーマンスの違いにつながる。
2.もうひとつは、「失敗をネガティブに取るな!」ということだ。
うまくいかないと、人間落胆や失望に陥りやすい。
そうではなく、失敗こそ、改善のきっかけと前向きに取れという。
「失敗のヤマはごみの山ではなく、改善のヒントに満ち溢れた
宝の山と思って大事にせよ!」とポジティブにとらえよということだ。
わざと現れるであろう失敗の類を予想する訓練法さえある。
人生ネガティブをポジティブにとらえる訓練は、古典仏教の瞑想法でも教えられる。
3.そして最後に、自分を信じろ!ということか。
うまい選手と比較しても自信は得られないが、昨日の自分と
比較するなら、マージナルに少しずつの進歩が見つけられる。
そしてそれを「やり抜く力」が求められるという。
やりぬく力はどこから来るか?
航空機事故のミスが日々の
データの集積から減っていくように、継続して探求し続けること
によって、少しでも改善する発見の喜びから来るのだろう。
遊びであるゴルフのスポーツの例ではあるが、
毎日の人間の活動、どうやって改善をもたらすことができるか、
そのやり方に興味は尽きない。


