カテゴリ:アセアンの動向( 32 )
南シナ海で仲裁役を捨て中国と対峙することになったインドネシア(後編)
インドネシアは、古くから共産中国には警戒的で来た。
1967年に時のスハルト政権は、その2年前の9.30運動の
背後には共産中国があったとして、中国との外交関係を“凍結”した。
正常化したのは、ベルリンの壁崩壊後の1990年だった。


21世紀に入ると、ワヒド、ユドヨノ両政権において、
インドネシアと中国の関係は、主に経済的理由から、緊密さを増す。
2011~12年には、両国の特殊部隊同士が合同訓練さえ行なっている。


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しかし、古くからの中国に対する脅威は消えたわけではない。

インドネシアが、南シナ海を巡る中国とアセアン諸国との“仲裁役”から
中国と対峙する立場に変わったのは、2014年3月12日のことだと、
コロンビア大学のアン・マーフィー教授は指摘する。


その背景は以下のようなものだ。

両国の経済関係が発展する中でも、南シナ海での紛争は続いた。

2010年、中国の漁船がインドネシアの排他的経済水域(EEZ)内で
漁業をするのをインドネシアの巡視船が拘束したが、
中国漁業局は、フリゲート艦に近い漁政巡視艇を派遣し、機銃を向けて
解放させた。

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2013年3月には、同様に中国の武装巡視艇が、インドネシアの
ナトゥナ諸島沖で不法漁労をして連行される漁業者を、これまた威嚇して
解放させた。
ナトゥナ諸島は、‘隠れたパラダイス’だが、世界有数のガス田が
眠っている。

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インドネシアは、これらの事件の情報をあまり公にしなかった。
中国との関係を悪化させず、また仲裁者としての立場を保つため、
“静寂外交”を続けたといわれる。


これにより、「中国も、インドネシアのリアウ諸島州に属する
ナトゥナ諸島(ボルネオ島の北、むしろマレーシアに近い島々)の
権益を尊重してくれるだろう」とインドネシアは考えたのだろう。


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しかし中国のその後の積極進出は続く。

2013年11月には、東シナ海の
尖閣列島を含む上空に、日本のそれと重なる「防空識別圏」を設定した。
準備が出来次第、南シナ海にも広げるものと見られる。

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また、2013年5月からは、海南島を囲む海域
(といっても、南シナ海の6割近くに達する)に、禁漁区域を
一方的に設定している。


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中国は、空母「遼寧」(リアオニン)を南シナ海に派遣しつつ、
2014年1月には、艦艇3隻で、マレーシアのサラワク州(ボルネオ島)の
北わずか80kmのジェームズ礁(マレーシアの排他的経済水域)に入り、
‘主権宣誓式’を行なった。
これには、さすがに温和なマレーシアも硬化した。

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これらの中国のとどまるところのない‘アサーティブな’進出行動を見て、
2014年3月14日、インドネシア政府は、「中国の九段線は、
我が国の経済水域とオーバーラップする」と、中国とのいさかいを
公言するにいたった。


この背景には、海洋国家インドネシアの軍事予算が過去数年二桁で
伸びてきて、ナトゥナ諸島にも一個大隊とジェット機部隊を派遣できるように
なったからと見られる。

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インドネシアが、仲裁役から、反中国側に付き、
またマレーシアなど穏健派もフィリピン、ベトナムに
同調するようになると、南シナ海を巡るアセアンの力は増す。


中国は、東シナ海で日本と対峙し、
南シナ海でアセアン5カ国と海洋の権利を巡り争うようになると、
勝算はどのくらいあるのだろうか。
着地点はどこらにあるのか、中国通に聞いてみたいものだ。
着地点や引き処のない進出ほど、双方にとって危ういものはない。


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2014年4月7日、インドネシアのナタレガワ外相は、
「中国の進出の意図はどこにあるのか?」と、
南シナ海での攻勢に釈明を求めている。


中国はおそらく無視するだろう・・・。
「南シナ海は、南の果ての海溝まで中国のものなのだ」と
強弁するだろうか。


(後編おわり)
by ucci-h | 2014-04-15 20:01 | アセアンの動向 | Comments(0)
南シナ海で仲裁役を捨て中国と対峙することになったインドネシア(前編)
海洋権益の拡大を図る中国は、
尖閣諸島のある東シナ海以上に、
南シナ海においては、南シナ海の8割以上は
中国の領有権の下にあると、
南シナ海をほぼ囲む“ナイン・ダッシュ・ライン”(九段線)を引き、
2009年にはこの地図を発刊している。

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(緑の断線が‘九段線’)

南シナ海における領有権の問題は、1990年代半ば以降、広がる。
そして、フィリピン、ベトナム、マレーシアなどだけでなく、
問題は、南シナ海からは遠く離れているはずのインドネシアにまで
及んでいく。

 「南シナ海の領有権で争う中国とアセアン 2012-9-17」
  http://uccih.exblog.jp/16827035/


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1994年に中国は、フィリピン西側のパラワン島西209kmの
ミスチーフ環礁に、フィリピン海軍がモンスーン期でパトロールに
来ない時期を狙って、建造物を構築し、実効支配に乗り出した。
1999年には鉄筋コンクリート造り、さらに多層階へと強化していった。

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ちなみに、ミスチーフ環礁のミスチーフは,‘いたずら’の意味ではなく、
この地域スパルトリー諸島を発見したスパルトリーの配下の
ドイツ人船員の名からきているそうだ。


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ちょうどこの時期、1994年11月に「国連海洋法条約」(UNCLOS)が発効する。
領海12海里(22km)、排他的経済水域(EEZ)200海里(370km)の
設定を可能にした条約だ(1海里は1.852km)。
ミスチーフ環礁は、フィリピンのEEZに入るわけだが、北京は抗議を聞き入れず、
現在に至っている。中国もこの条約に署名しているが・・。


この間、南シナ海の領有権を巡って、フィリピンやベトナム、マレーシアなど
アセアン諸国と中国との争いが増していくわけだが、
この中で仲裁役を買って出ていたのがインドネシアである。
アセアンの中で、内陸国とシンガポールを除けば、
インドネシアは、南シナ海から一番遠い位置にある。

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東西に4,800kmも広がり、17,000の島々から成る
インドネシアは、国連海洋法条約をもっとも重んじたい国のひとつだ。
島々の間の内水域の権利がUNCLOSで明確に認められているからだ。


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1990年代、インドネシアはワークショップを設け、
中国とアセアン諸国の利害を調整してきた。
その結果、2002年には、「南シナ海関係国行動宣言」(DOC)に
中国とアセアン諸国がサインするところまでこぎつけた。
DOCは、解決に軍事力を用いないことと、無人の島や環礁などを
占拠しないことを宣言した。

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このDOCには、法的拘束力がなかったため、中国の積極進出は止まない。
アセアンは一歩踏み込んだ「南シナ海行動規範」(COC)の策定を
中国に持ちかけているが、南シナ海を自国のパトロール船で
行き来している中国は、興味を示さないできている。


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中国とアセアン諸国の関係は一本ではない。

アセアン10カ国のうち、領海問題で中国と対立しているのは
フィリピンとベトナムだ。
マレーシアとブルネイも、中国の九段線にひっかかる領海を持つが、
比較的穏やかな対応だ。

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タイとカンボジア、ラオス、ミャンマーの内陸寄りの4カ国は、どちらかと言うと、
中国との経済連携が強いから、中国寄りだ。
タイは中国軍と共同演習を行なったりしている。


インドネシアとシンガポールだけが中立的にアセアンの利害の
調整役となれた。


(後編に続く)
by ucci-h | 2014-04-11 21:42 | アセアンの動向 | Comments(0)
アセアン10カ国の14~15年成長見通し(アジア開発銀行)
マニラに本拠を持つ「ADB」(アジア開発銀行)が、
4月、2014年のアセアン10カ国の成長見通しを
発表した。

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http://www.adb.org/sites/default/files/pub/2014/ado-2014.pdf


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これによると、幾分入れ替わりはあるものの、
ほぼ経済発展が遅れており、
なおかつ人口の平均年齢が若い3カ国の
成長率見通しが高い。


成長率の高い3カ国は、以下の通りだ。
いずれも7%台の経済成長率が見込まれている
(成長率予想は、2014年と2015年):

1.ミャンマー 7.8% 7.8%
2.ラオス   7.3% 7.5%
3.カンボジア 7.0% 7.3%


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次に高い中位グループには、以下の3カ国が来る。
いずれも6%前後の成長率である:

4.フィリピン 6.4% 6.7%
5.インドネシア 5.7% 6.0%
6.ベトナム 5.6% 5.8%


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最後の低成長グループには、すでに所得水準の
上がった3カ国と、そしてタイが来る:

7.マレーシア 5.1% 5.0%
8.シンガポール 3.9% 4.1%
9.タイ     2.9% 4.5%
10.ブルネイ 1.1% 1.2%

タイの2014年は、過去の購買力先食い政策の
影響と、政治抗争の影響で、潜在成長率を下回りそうである。
政治が経済の足を引っ張っている。
by ucci-h | 2014-04-09 20:04 | アセアンの動向 | Comments(0)
進むアジアの主要都市の大量交通機関建設

先月、ミャンマーの商都ヤンゴンへ行ったとき、

オートバイの市内への乗り入れ禁止には少し驚いたが、

クルマの増えるアセアンの主要都市ではどこも

交通の混雑、渋滞に頭を悩ましている。



ここチェンマイも以前は道路が走りやすかったが、

2012年の政府の自動車税還付奨励策によって、

もはや渋滞都市となってしまった。



ずいぶん昔、シンガポールに行ったとき、

奇数日は奇数ナンバーの車、偶数日は偶数ナンバーの車しか

都心へ乗り入れできないように規制していたが、

いかにも規制国家シンガポールらしく面白いなと思ったのを憶えている。


現在は、シンガポールでは朝7時45分までのラッシュアワーでは

大量交通機関の利用者は無料というインセンティブを

与えているそうだ。



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発展するアジアの都市はどこも交通渋滞の

問題に直面し、そこで大量交通機関の導入が検討される。

車やバスではなく、地下鉄、高架鉄道などの導入である。



ちなみにチェンマイには公営バスが細々とあるが、

市内に鉄道はなく、ソンテウ(乗り合いタクシー)、トゥク・トゥク

(3輪タクシー)に主に頼っている。



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アセアン諸国の中では、フィリピンのマニラの「ライト・レール」が、

1984年に街を南北に貫く形で、はじめて走った。

すでに30年近く前となる。

今では3線全長48kmあるが、主に高架鉄道である。

フィリピンがアセアンの先頭を切ったというのは面白い。


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続いてシンガポールが1987年にMRT(マス・ラピッド・トランジット)

システムを走らせた。

市内は地下鉄、郊外に出ると高架線になっている。

現在は、4路線、90駅、総延長150kmと広がっている。


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3カ国目が、1996年に開通した、マレーシアはクアラルンプールの

高架鉄道である。ここは、「LRT」(ライト・レール・トレイン)と

呼ばれる高架線である。

現在は3路線、延長122kmと長くなっている。

モノレールもある。


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クアラルンプールのLRTは比較的すいている。

やはり住民にはクルマが好まれるからだろう。

しかし、政府は、地下鉄の建設にも乗り出すなど、

大量交通機関の拡充に積極的だ。



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4カ国目となるのが、1999年に完工したタイのバンコクの

スカイトレインだ。

この高架線に地下鉄、空港連絡線を加えると、

バンコクの大量交通機関延長は、78kmに及ぶ。


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しかし、道路の混雑は車の増加により、はかばかしくない。

バンコクには、440万台のクルマと280万台のバイクが

登録されている(2012年末)。



昨年、タイでは政府の奨励策で120万台の新車が売れ

(+80%)、バンコクでは45万台ものクルマが新たに

登録された(1日当たり1250台の新車が供給された)。



1日100万人を乗せ、バンコク市内を走る

7500台のバスも乗継が悪いなどの問題がある。

来年は新バスを導入しつつ、改善していくと言う。



現在バンコクでは地下鉄などの延伸を行なっているが、

2020年には総延長400kmを目指しているという。



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以上が、すでに大量交通機関を導入したアセアン4カ国だ。

これから導入するのがベトナムとインドネシア。

いずれも首都の交通渋滞が激しい。



5番目となりそうな国がベトナム。

ハノイの都市鉄道12.5kmは2015年完成をめどに

計画されているが、さてどうなるか。



6番目のインドネシア。

2018年完工を目標に、首都ジャカルタに、

高架線と地下鉄から成るMTSが計画されている。


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ジャカルタでは、エコ・カーに税優遇が計画されたが、

ウィドド知事が、これに反対した。

2800万台のバイクと500万台のクルマが溢れる

この首都に、これ以上車を増やすのか、というわけである。

インドネシアでは、年間110万台もの車が売れている。



2013年11月、ウィドド知事は、MRTとモノレールの

建設にゴーサインを出した。

2018年までの5年間は、首都の主要道路を走る車に

電子的に通行料をチャージするアイデアも出てきた。



アセアン諸国の大量交通機関の建設は広がりそうだ。





by ucci-h | 2013-12-10 22:23 | アセアンの動向 | Comments(0)
「東西経済回廊」は今どのくらい使われているのだろうか
インドシナ半島、大メコン圏を東西に横切る
「東西経済回廊」(EWEC、1450km)のアイデアが出たのが1998年。
また、そのうちタイとラオスの国境のムクダハーンのメコン川をまたぐ
「第2ラオス・タイ友好橋」が日本の借款で出来たのが2006年12月。

アイデアから15年、橋ができてから6年たったが、
現在の東西回廊はどう利用されているのだろうか?

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もちろん、西の果て、タイのメーソットから入っていくミャンマー側は
まだ未開発だから、タイのムクダハーンからラオスのサワンナケートに入り、
さらにベトナムのラオバオから南シナ海に面するダナンまでの
東への道がどう使われているかということになる。

この陸路がスムーズに使えるならば、たとえばバンコクから
海路で2週間かかってベトナムのハノイに着く貨物が、
ほぼ3日間で着くというからインドシナ諸国、タイ、ラオス、ベトナム、
さらには中国雲南省との交易にたいへんプラスになるはずであるが、
実態はどうなのだろうか?
1月14日付のバンコク・ポスト紙が、現状を伝えている。

結論から言うと、残念ながら、まだ十分活用されていない。
2009年2月に、タイ、ラオス、ベトナム3カ国の代表がベトナムに
集まり取り決めを行なった。

交通を滑らかにするために、ことに国境の通過を容易にするために、
各国に、商業トラック400台、商業バス100台、計500台の車に対して、
通行許可証が発行された。
荷物の積み替えや国境で数時間要する通過をスムーズにするための
取り決めである。

その後どうなったか?
タイの場合、現在、トラック40台、バス20台の計60台しか許可証を
利用していないと言う。許可枠の12%しか使われていない。
原因は、いろいろある。

現在では輸送コストも高くつくし、ラオス、ベトナムの狭い道路も
タイの運送会社に利用を躊躇させている。
ベトナム内のラオバオ・ダナン間(約300km)の道路は、
東西回廊と言っても、片側1車線で村の中を抜けるような道なので、
時間もかかるだけでなく、家畜の飛び出してくる道路を対向車線で
追い抜かなければならず、事故も多いのが嫌われている。

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(ベトナムのダナンで建設の進むドラゴン・リバー橋。バンコク・ポスト紙より)

ラオスの道路も山道が多い。
また、ラオス、ベトナムとも、タイと違って右車線なので、
これも運転手に違和感を持たせている。

ベトナム側のトラックを使用すると、ベトナム部分で
4万バーツ(12万円)前後チャージされると言う。
タイの車なら1台15000バーツ(4万5千円)だ。
さらには、利用会社は、通商庁に100万バーツ(300万円)の
保証金を置かされるのもコストを高くしている。
中小のトラック会社が多いだけにこれらも障害になっている。

それでも、交易量が多ければいいが、
鶏と卵の関係のように、タイからベトナムへの貨物の需要は、
期待されるほどなく、極めて少ないと言われる。
少しの荷物を運んでいるようでは、採算も取れない。

また、国境越えで、依然、ラオスの検問所などでは袖の下を
要求されるわけだから、タイ語しか理解できない運転手に
障害は多いようだ。

タイの検問所では、タイ人以外の職員を今のところ使えないので、
外国人運転手とのコミュニケーションもスムーズに行かない。
「アジア開発銀行」(ADB)が開発した通行を容易にするための
ソフトウエアも、まだその力を発揮していないようだ。

橋ができ、道路はつながったが、輸送を支えるソフトを含め、
サポート・ファクターが欠如していることが、東西経済回廊の
利用を少なくしている。

アセアン経済圏2015年統合を控え、交易量が大きく増えれば、
手段も改善して行こうが、そうすぐに物資の交流が増えるとも
思えない。
利用しやすい仕組みと体制を作ることが必要なのだろう。
今のところ第2友好橋を一番利用しているのは、自転車やバイクだと言う。
by ucci-h | 2013-02-05 21:14 | アセアンの動向 | Comments(4)
早くも懸念されるセックス・ワーカーのタイへの大量流入
2015年のアセアン経済統合で、アセアン各国間の
労働力の移動が見込まれるが、看護師の流出とならんで
はやくも心配されるのが、
CSW(コマーシャル・セックス・ワーカー)の
中心地タイへの近隣諸国からの流入である。

タイは知られるように、こういった娯楽産業が隆盛であり、
バーツ高もあって隣国からの働き手は、タイへやってきたい。

タイのCSWの数は20万人と言われ、お客はその10倍の200万人に
上るから、年6000~14000人のミャンマーなどからの外国人が、
警察に賄賂を払って不法入国していると言われる。

タイでは、1996年にできた売春抑制法が生きており、
年間3万人ほどのCSWが法律違反で訴えられている。

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売春が不法のゆえ、地下にもぐり、マフィアや警察の資金源となる。
これらの娯楽産業は、年数10億バーツを稼ぎ出しているそうだ。

不法なるがゆえに、CSWの保護は、ほかの労働者のように
行なわれていない。
労働法の適用外で、人権が守られないと言われる。

HIV/AIDSの感染リスクも高いわけだが、法の下での
予防サービスも受けられないので、リスクは高くなる。
CSWの女性たちは、同年齢の女性達に比べて、
AIDSの罹患率は14倍に上ると言われる。

表向きと本音の狭間で働くタイのCSWたち。
それでも、パタヤなどへ行くと、いなかから姉を頼って妹もやってきて、
嬉々として働いている。田舎の農作業に比べると収入も良いし、
華やかな雰囲気が楽しいのだろう。
AIDS対策もずいぶん行なわれてきているようだ。

人類最古のサービス産業、地下にもぐらせないで、
きっちり法の下で管理したほうが、汚職も防げ、
国の財政にもプラスになると思うが、
建前と本音の国タイでは、そうもいかないか?
by ucci-h | 2012-10-30 18:39 | アセアンの動向 | Comments(3)
南シナ海の島々の領有権で争う中国とアセアン
尖閣諸島の領有権をめぐり、中国の攻勢が増しているが、
経済が大きくなったことが、勢いを増しているといえよう。


日本と争っている尖閣諸島は東シナ海にあるが、
広大な南シナ海では、南海諸島をめぐり、ベトナムやフィリピンなど
東南アジアの国々と領有権を争っている。

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南シナ海には、大きく分けて、西沙諸島(パラセル諸島)、
東沙諸島(プラタス島)、中沙諸島(西のマクルズフィールド・バンクと
東側のスカボロー・ショール)、南沙諸島(スプラトリー諸島)の
4つがある。


このうち、東沙諸島は、プラタス島と比較的小さな環礁で
できており、台湾に近く、台湾が国家公園も作り、空港へ
飛行機も飛ばしている。
中国は領有を主張しているが、台湾が存在する限り、
東沙はあきらめているかもしれない。


中国は、2012年7月に海南省の管轄のもとに「三沙市」を
西沙諸島のウッディー島に作った。住民は1000人だそうである。
西沙、中沙、そして南沙は自国のものだと言う主張である。


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もともと中国は、南シナ海全体は中国のものとしているから、
いかに島々が、フィリピンやベトナム、またマレーシア、ブルネイ、
インドネシアが存在するボルネオ島に近くても、自国のものだと
実効化を強めている。
中国は、もともとベトナムも沖縄も自国領だと思っているはずだ。


中沙諸島の島々は小さく人が住めるようなところはないため、
フィリピン寄りのスカボロー・ショール(礁)では船を出し合って
争っている。


フィリピンに言わせれば、ルソン島の西124マイル、
自国の領海200マイル以内の島だから、
自国のもので問題ないと言っている。
フィリピン大統領は、自国の領土を守ると言っているが、
中国は引いていない。


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西沙諸島(パラセル諸島)は、海南島とベトナムに近い。
ベトナム戦争中の1974年、中国が攻勢をかけ、実質支配した。
港と空港を作り、実質支配している。


南シナ海で一番広域なのは、南沙諸島(スプラトリー諸島)である。
地理的には、マレーシア、ブルネイ、またフィリピン、ベトナムに近いが、
南シナ海の南部の群島なので、ここも中国が領有権を主張している。


中国は、74年、88年とベトナムと戦い、勝利し、
南沙諸島の一部の島々を手に入れている。
88年には南沙諸島北部の最大の太平島に中華民国(台湾)が
飛行場を建設するなど、領有争いは複雑化している。


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南シナ海の島々は、人が住めるほどの島もなく、
いわば海に浮かんだ砂粒だ。
しかし、たとえ13平方kmの島でも領土となれば、
周りの海200万平方kmが領海となる。


漁業資源だけでなく、石油・ガスが眠っており、また軍事基地としての
役割も大きい。
中国は、西沙諸島に作った三沙市まで、生水を13時間かけて
海南島から運んでいるという。


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東南アジア10カ国で構成するアセアンでは、
2012年7月のプノンペンでの外相会議で
この南シナ海での中国の攻勢に対し、共同で対処しようと
試みた。


しかし、議長国であるカンボジアが、経済援助を通じて
中国に抱え込まれ、アセアンはまとまらなかった。
45年の歴史上、はじめて共同宣言を出せずに終わった。


アセアンでは、カンボジアだけでなく、ラオスもミャンマーも
そしてまたタイも中国の経済・軍事協力・援助を受けており、
タイにしても領土問題には中立の立場を貫くなど、
アセアンでまとまって中国に対抗することは事実上薄れている。
アセアンは、中国により分断されたと見てもいい。


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といって、アメリカがこの太平洋の西の果ての
小さな岩礁に口を出して、中国につまらぬいちゃもんを
つけられるのも好まないだろう。米国は中立を守ろう。


中国の海洋進出の意欲の強まりにより、
南海の島々の領有は、早い者勝ち、強い者がちの様相を
呈している。


中国に対抗するとなれば、日本、フィリピン、ベトナム、マレーシア
などアジアの関係諸国が、対中国領土防衛同盟などを結び、
この拡張的な大国に対抗するしかないが、そういった
リーダーシップを取れる国はいるのだろうか。


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なお、尖閣島の日本政府による国有化は、あまり巧みな戦術に見えない。
中国は、口では中国の領土だというが、尖閣の日本の実効支配を
黙認してきていたのだから、あえて国対国で構え波風立てるのも
得策とは見えないがいかがだろう。


いっそうのこと尖閣にミニ原子力発電所か沖合いの石油を利用した
火力発電所を作り、中立の立場で
近くを通るどこの国の船にもエネルギーを無料で
分けてやったらどうだ?
by ucci-h | 2012-09-17 11:26 | アセアンの動向 | Comments(3)
タイの高速鉄道計画、来年初めに国際入札
以前からお伝えしてきているタイの高速鉄道計画だが、
環境・健康アセスメントが終了する、いよいよ来年初めには、
第1フェーズの国際入札の運びとなるようだ。

第1フェーズは、4000億バーツ(1兆円強)の予算で、
2018年までに以下の4つの路線の完成が予定されている。

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バンコクから、東北のコラート方面へ(256km)、南のホアヒン方面へ(225km)、
北のチェンマイ方面へ(745km)、東のラヨーン方面へ(220km)の4路線である。

入札する予定の国々は、韓国、日本、中国、フランスと見込まれている。

タイ政府は、高速鉄道の敷設により、鉄道による貨物輸送の比率が
今のわずか2%から80%(?)に上がっていくものと期待している。

ことに、中国からラオスを経て、国境ノンカイから東北部コラートを経て
バンコクにいたる中国・タイ高速鉄道に期待している。
中国とタイの関係は、ますます緊密になっていきそうだ。

 「ラオスからタイへ高速鉄道に手を伸ばす中国 2011-12-31」
  http://uccih.exblog.jp/15195968/
by ucci-h | 2012-08-28 18:49 | アセアンの動向 | Comments(0)
中国人移民中心に人口が倍増したシンガポールの軋轢
“ライオンの国”人口都市国家シンガポールは、華人の国でもある。
すでに520万人と、500万を超える人口のうち、77%、8割近くは
華人である(この比率は隣国マレーシアを凌駕する)。
一人当たりGDPは49,200ドルと、日本を上回りアジア一である。

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ちなみに、南シナ海をめぐる中国との紛争にアセアン各国(フィリピンや
ベトナム)は直面しているが、中国からの経済的援助が急増している
カンボジアはじめアセアン諸国(もともと華人の政治家や経営者が多いが)は、
まとまって中国に対し異を唱えるところに行っていない。
アセアンは、“チャセアン”(チャイニーズ・アセアン)になりつつある。

人口国家シンガポールは、少子高齢化に対し、積極的な移民策を1990年以降とった。
その結果、1986年には278万人だったこの国の人口は、
25年後の昨年には、527万人と1.9倍に。四半世紀でほぼ倍増した。
同じく少子高齢化で税収と社会保障対策に悩む日本では、いっこうに
移民政策が出てこないのと対照的だ。

東南アジア諸国からの移民が多いが、もちろん本家中国からの
移民が多い。ところがもともとは同じ華人だと言っても、文化が違う。
都市での軋轢も増えている。

シンガポールは、“警察国家”と言われるほど、規則や取締りにうるさい。
もともと、行儀の悪い中国人を抑えるためとも言われるが、あながちうそでもないだろう。

いまや中国からの移民は、金持ち中国人が増えているという。
中国の金持ちの、移民希望先のベストスリーは、米国、カナダ、シンガポールだという。
そして、マナーや行儀の悪い中国人は、それに厳しいシンガポールの在来華人から
文句を言われるという。

直近のニューヨーク・タイムズのコラムニスト、アンドリュー・ジェイコブスによれば、
交通マナーの悪さなどだけでなく、多民族国家シンガポールにおいて、
中国からの住人がカレーのにおいに文句をつけたことを槍玉に挙げているという。

文化の違いは、時間をかけながら溶け合っていくのだろうが、
このままシンガポールが肥大していくとどうなるのだろうか。
人口密度は、いまや香港を上回り、平方kmあたり7,500人と世界一である
(もっとも東京23区の住民の人口密度は、13,000人/kmもあるが)。

中国の経済的拡張は、南シナ海だけでなく、
頂点シンガポールを軸に、東南アジア諸国に広がりつつある。
by ucci-h | 2012-07-29 14:28 | アセアンの動向 | Comments(3)
お隣のマレーシアでも最低賃金導入へ
最低賃金が大幅に引き上げられつつあるタイランドの
インドシナ半島の南に隣接するマレーシア、シンガポールには、
これまで最低賃金制度がなかった
(マレーシアには、プランテーション労働者に対しては
月350~700リンギの規定はあったが)。
1リンギ=10.1バーツ(約28円)。

そのマレーシアで、メーデーの前夜、ナジブ首相により、
初めて、全民間労働者を対象に最低賃金制度を導入する
発表があった。
この6月にも繰り上げて行なわれるかもしれない総選挙へ向けての
労働者へのプレゼントだそうである。

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半島部は、月900リンギ(25,000円ほど)、サバ、サラワクの島部は
月800リンギ(22,400円ほど)の予定だというから、
タイの新しい最低賃金一日300バーツ(月に直すと、22,000円ほどか)
より少しだけ上の水準となる。

労働側は、以前から要求していた1,200リンギを下回るものだと
批判しており、中小企業は、地方の賃金水準としては高すぎると
批判しているが、まずは順当な水準だろう。
なお、公務員は、新人でも900リンギ以上行っているから、必要ない。
民間労働者でも、家事労働者は対象から外される
(家政婦には外国人労働者が多いが・・)。

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人口2,800万人のマレーシアの労働力人口は1,100万人ほどだ。
被雇用者950万人ほどの3分の一に当たる320万人ほどは
貧困ラインの月800リンギに届かず、700リンギ以下なので、
今回の最低賃金設定の恩恵を受けると見られる。

実施期日は明らかにされていないが、早ければ、
今年の10月から導入されるようである。

アジア各国の賃金の底上げは続きそうだ。
by ucci-h | 2012-05-08 17:35 | アセアンの動向 | Comments(0)
  

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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