カテゴリ:アジア諸国の賃金( 51 )
最低賃金40%引き上げ(来年4月)は決まったが・・
決まったことと、それを守ることの間に
大きな開きがあるのが、自由の国、自己責任の国
タイランドの面白い面である。

たとえば、交通規則がその例だ。
車の窓に真っ黒いシートを貼って中が見えないようにする
のは、後続車にとってはその先が見えないから、タイでも
禁止されたが、多くの車が黒マスクだ。

運転中に携帯は禁止と決まっても、運転者はおかまいなしだ。
シートベルトを締めるかどうかも自己責任だ。
わずかに、バイクのヘルメットなしは時々取り締まられている。
社会主義国ベトナムはホーチミン市の99%着用とは大違いだ。

最低賃金の1~2年で40~89%の大幅引き上げが
中央賃金委員会から10月17日答申された。
先のインフレの心配さえしなければ、労働者側の勝利である。
日給の低い労働者はさぞ喜ぶかと思うとそうでもない様だ。

10月18日付のバンコク・ポスト紙に、ランプーンの工場
労働者の声が載っている。
34歳の女性労働者は、この300バーツの実現に悲観的だ。
彼女のマネージャーは、300バーツは支持できないと言う。
彼女は、週6日、現在はこの地域の最低賃金1日169バーツ
をもらって、月に4400バーツほどの収入を得ている。

彼女は、時間外労働その他の収入がないと、この収入
(約12000円)では、なかなか暮らしていけない。
「300バーツが出ればうれしいけど、私たちは会社が
出す給料をもらうしかないわ。組合はあるけど、バーゲニング・
パワーがないわ。300バーツに食費や交通費が入っていてもいいけれど・・」

この国では、最低賃金が決まっても、それを強制することは
難しい。大臣ですら「強制するものではない」と言っているくらいだ。

2010年のティスコ銀行による労働力調査によると、
高校未満の労働者の賃金は、地方によっては、最低賃金より
低いという。パヤオやシサケット(昨年の最低賃金は全国一低い
1日151~152バーツ)での彼らの日給は111~120バーツしか
行っていない。

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1998年の「労働保護法」では、「最低賃金を出さない経営者は、
6ヶ月以下の懲役、または10万バーツ以下の罰金、ないしはその両方」
と規定されているが、適用されたことはないようだ。

場所によっては、労働者自ら低い賃金でいいと申し出るので、
賃金の真実は闇の中のようである。
きちんと把握されている職場でも、食費、住宅手当、交通費も入れて
最低賃金とされているところもある。

タイにおける労働組合の力は強くないが、組織率もまた低い。
タイの労働組合連合によると、全国には40万社が登記されているが、
労働組合の数は1300ほどであるという。

組合を持つ労働者にしても、もし役所や組合が300バーツ
を適用するよう経営者に圧力をかけたら(そういうケースは
ほとんどないが)、彼らはレイオフされることを一番恐れている。

タイには、組合の結成を許す1975年に定められた「労働関係法」
はあるが、世界150カ国が批准している「ILO」(国際労働機関)の
87号(結社の自由と団結権の保護)と98号(団体交渉権の保護)を
タイは批准していない。

というわけで、労働力不足が言われる中で、タイでは労働力市場は
“買い手市場”のままだ。外国人労働力300万人の流入が、それを
保っているのかもしれない。

日給300バーツ(800円)の水準は、例え物価の安いタイでも
最低必要なレベルだろう。暮らしていてそう感じる。
しかし、1年で40%という急激な引き上げは、副作用が多すぎる。

賃金上昇によるインフレ高騰も心配だが、
ここ北タイのようなところの雇用機会が最低賃金の67~89%の
大幅引き上げでいっそう抑えられ、外国人労働者ばかりが増える
といった雇用のひずみが出ることが懸念されるが、
そこは自由の国タイランド、無理なく、落ち着くべきところに
落ち着くことになるのだろうか?
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by ucci-h | 2011-10-20 12:13 | アジア諸国の賃金 | Comments(0)
洪水がバンコクに迫る中、最低賃金答申案決まる
タイの半世紀に一度という大洪水で、工業団地の工場が
水没した多くの企業は、来年からと予想される最低賃金の引き上げを、
追い討ちをかけられる思いで見ていよう。

10月17日(月)の政府、使用者、労働者3者からなる
「中央賃金委員会」において、最低賃金は決定される予定だったが、
使用者側は、1万以上の工場(数十万人の労働者)に被害を及ぼした
今般の洪水から立ち直るために、新しい最低賃金の決定を6ヶ月間先に
してくれるよう、前日には要請していた。

ここまで、最低賃金の引き上げには2つの案が挙がっていた。

ひとつは、政府、労働者側からのもので、来年1月より、まず全国で40%
引き上げること。バンコク(現行215バーツ)など現在の水準の高い7つの県では、
これにより、1日300バーツに届く(バンコクは39.5%の引き上げ)。

届かないその他の地方は、2013年1月に再度引き上げて、300バーツに
届かせる。300バーツへは、53%~89%の引き上げとなるので、2回に分けるようだ。
最低の北部のパヤオ(現行159バーツ)などは、300バーツへは
89%の引き上げとなるので、1年目223バーツへ(+40%)、2年目
300バーツへ(+34.5%)となるようだ。

前回、2年で+40%、4年かけて全国が300バーツになる案が
有力と紹介したが、どうやら、労働側の圧力で、この期間は、1~2年に
縮められたようだ。
労働者側は、「洪水からの回復に労働者も力を入れるため」と言って、
来年1月からの全国一斉の300バーツを要求している。

使用者側の案が第2の案だが、これは4年かけて300バーツに
持って行こうという漸増案だが、政府・労働側に押されそうだ。

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そして、10月17日月曜日、ちょうど北からの洪水が、バンコクの北側にある
タイ最大のパトゥム・タニのナワ・ナコン工業団地を飲み込んだ日に、
中央賃金委員会の決定がされた。

政府・労働側の案の採用日を、来年1月から4月に3ヶ月伸ばして、
2011年4月より全国で+40%、2013年(月は示されず)からは
すべて300バーツにという案が採用された。
1日300バーツは、2015年いっぱいまで有効とするという。
この案が、インラックの閣議に送られる。

中小企業30万社の賃上げショックを緩和するために、財務大臣は、
現在の最低賃金と300バーツとの差額の1.5倍を減税(税額控除?)
の対象にするというが、そのインパクトはわからない。

タイ工業連盟では、洪水の被害の広がりから、なお実施時期を
伸ばすことを働きかけて行く。

使用者側からは、付加価値税を7%から3%に下げるとか、
企業の社会保障基金への納付額を減じるなどの要望が
出たようだが、政府からは聞いておくということにされたようだ。

タイ新政権の最低賃金引き上げは、漸増とはならず、1~2年の間に
40~89%の引き上げとなる。一時に40%というのは、大きな賃上げ率だ。
企業が全部背負い込むのか、国が税金でどの程度助けるのかまだ
はっきりしないが、洪水被害と合わせ、進出外資企業には負担と
感じられよう。
また、地域格差を無視した一律300バーツは、地方経済の
雇用機会をいっそう減らさないか心配される。

しかし、しかし、である。
そのまま数字のようなショックにはならないのが
タイランドである。
そのお話は、また別に。
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by ucci-h | 2011-10-19 18:17 | アジア諸国の賃金 | Comments(1)
タイの最低賃金10月17日に2つのプランで最終決定!?
タイの最低賃金引き上げの動きについては、
5月以来、この5ヶ月で19本ほど書いた。
もう書くほうも辟易してきた・・。

最低賃金70%引き上げにタイ工業連盟最後の抵抗
[ 2011-10-06 19:37 ]
最低賃金300バーツ、まず8県で承認される
[ 2011-10-04 21:09 ]
10月1日より国営企業で最低賃金300バーツ採用始まる
[ 2011-10-03 09:55 ]
落ち着くべきところに落ち着きそうな新政権の政策
[ 2011-09-14 00:38 ]
「今のポピュリスト政策は統合された成長戦略を欠く」
[ 2011-09-13 11:34 ]
スビット氏、タイ政治・経済の行く末を‘斬る’!
[ 2011-08-27 17:47 ]
はやくもタイの企業、国外脱出!?
[ 2011-08-23 17:16 ]
最低賃金引き上げは強制ではない!?
[ 2011-08-22 12:28 ]
アジア諸国の最低賃金の見取り図はどう変わるのか?
[ 2011-08-11 17:43 ]
最低賃金平均70%引き上げの影響度を査定すると・・
[ 2011-08-06 20:11 ]
新政権の最低賃金大幅引き上げへの内外からの応援団
[ 2011-07-29 16:39 ]
最低賃金大幅引き上げを支持する異色の経営者
[ 2011-07-25 18:35 ]
新政権の賃金大幅引き上げ策によるレイオフ増加の予測
[ 2011-07-25 18:24 ]
広がるタイ新政権の賃金大幅引き上げ案の波紋
[ 2011-07-25 18:16 ]
タイ貢献党の最低賃金300バーツに修正の動き
[ 2011-07-19 00:19 ]
タイにおけるビルマ人労働者の最低賃金の実態
[ 2011-07-13 00:26 ]
1日300バーツの最低賃金案に経済界から反対の合唱
[ 2011-07-11 12:34 ]
どうなるの?最低賃金70%引き上げの約束
[ 2011-07-08 11:45 ]
タイの評論その2.将来を危うくする選挙公約、最低賃金の大幅引き上げ
[ 2011-05-10 12:08 ]

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最新の状況は、来年1月からの300バーツ全面実施を
すすめる新政権に対し、経営者側から少しゆとりを持たせてくれ
との懇願が出たところまでだ。

そして、いつ決まるんだと思っていたら、さすがに10月も中旬に近づき、
これを決定をする中央賃金委員会の方から、
10月17日(月)に最終決定するとの意向が出た。

そして現在、政府・使用者・労働者3者から成る
中央賃金委員会は、2つのオプションを有力視しているという。
現在の最低賃金の高いプーケット(221バーツ)や、
バンコク(215バーツ)など高ブラケットは、2年間で4割ほど上げて、
300にもって行く。

そして、チョンブリ(196バーツ)、アユタヤ(190バーツ)以下、
その他の普通・低ブラケットのところ(カンチャナブリが181バーツ、
チェンマイが180バーツ、ソンクラが176バーツ、ウドン・タニが171バーツ、
ランプーンが169バーツ、コンケーンが167バーツ、
チェンラーイやナコン・サワンが166バーツ、ランパンやスコタイが165バーツ、
ピサヌロークやメーホンソンが163バーツ、タークとスリンが162バーツ、
ナーンが161、パヤオの159バーツまで)は、
平均70%以上の賃上げとなるが、これは、4年間かけて上げて行こう
とのプランである。

今まで、政府や労働省(ソムキアート労働次官が中央賃金委員会の会長)から
順次引き上げの話は何も出てこなかったが、最後の切り札として
隠し持っていたのかもしれない。

もし、この2年&4年引き上げが実現するならば、
年間18%程度ずつの引き上げ率となり、それでも高いが、
ショックは軽減されよう。
10月17日の会合で決めたいようである。
その他、中小企業への支援策も検討される。

やはり、タイランド。以前書いたように、落ち着くべきところに
落ち着くのだろうか。
そして地域差は、いずれまた考慮されるのかしら?
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by ucci-h | 2011-10-07 15:43 | アジア諸国の賃金 | Comments(0)
最低賃金70%引き上げにタイ工業連盟最後の抵抗
タイ新政権の最低賃金300バーツ(平均70%の大幅引き上げ)案は、
公務員や国有企業を中心に導入され、さらには引き上げ率が40%ほどと
比較的低い、バンコクやプーケットの賃金委員会でも了承される
運びとなった。
このまま、来年からタイの最低賃金は、官民合わせて平均70%の
大幅引き上げとなるのだろうか?

ここにきて、使用者の代表格である「FTI」(タイ工業連盟)は、
最後の抵抗を試みている。
FTIは賃金委員会に対して、2つのオプションを提案するという。

ひとつは、最低賃金に、残業代や通勤費、手当てなどフリンジ・ベネフィットを
含むことである。最初にスタートする7県に適用されるよう求める。
このフリンジ・ベネフィットを含むアイデアは、以前政府が示唆していたが・・。
そして、残る県は、平均最低賃金が180バーツだが(全国平均が
176バーツだから、も少し低いのでは?)、
来年から、年40バーツずつ、3年かけて300バーツに持っていく提案である。

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もうひとつの提案は、4年間かけて、政府が半分を負担しながら、
300バーツに引き上げていく案である。
バンコクの215バーツを、300バーツに40%引き上げるには、
85バーツの増加となる。このうち半分の43バーツ分を
政府に4年かけて負担してもらう案である。
政府の負担は300億バーツほどになると見られる。

FTIは、一番目の案を主力にロビー活動を続けるようだが、
政府からは今のところ、段階的引き上げのアイデアは出ていない。
すでにタイ貢献党は、ぜひとも来年から最低賃金300バーツを
通すという腹積もりなのだろうか?
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by ucci-h | 2011-10-06 19:37 | アジア諸国の賃金 | Comments(0)
最低賃金300バーツ、まず8県で承認される
タイの77県のうち、まず8県の賃金委員会が
最低賃金300バーツを承認したと伝えられる。

8県とは、バンコクも含め、ノンタブリ、パツムタニ、ナコン・パトム、
プーケット、ブリ・ラム、ムクダハン、ナコン・ラチャシマと
いずれも、今の最低賃金が比較的高いところで、
政府も、ここらから導入したいと言っていたところである。

引き上げ率が40%程度と比較的低いから、上げやすいという事か。
もっとも、ブリ・ラムは166バーツからだから81%、ムクダハンは
165バーツだから82%アップと大きな引き上げ率になる県も
含まれている。

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これらの地域では、賃金委員会が承認したとなると、
まずは地方公務員に対し、最低賃金300バーツが適用されるのだろう。
問題は、民間企業にもどれだけ強制力を持つかだ。
閣僚の発言を聞いていると、強制力はないというが、そういうものだろうか。
賃金委員会には、使用者の代表も入っている。

パダムチャイ労働大臣によると、全77県のうち52県で承認されたとも
言っているので、政府は来年までに全国での適用を当然ねらっているのだろう。
残る23県は、引き上げ率を30~35%に抑えたいようだが。
サムート・プラカンとサムート・サコンの2県は未決定だという。

時の勢いと言うか、
最低賃金300バーツへの平均70%となる一挙引き上げが、
多少の高低差はあるとはいえ、本物になってきそうだ。
タイの企業はどう対処するのだろう?
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by ucci-h | 2011-10-04 21:09 | アジア諸国の賃金 | Comments(1)
月々の収入では通常経費しか賄えないタイ人
タイ人を見ていると、よく安い給料で高い車が買えるなと思う。
家は、借りるより買うほうが自分のものになるからと、月々の
支払額もあまり考えずに、買ってしまう人間もいる。
途中手放す人間もけっこういるはずだ。

あまり明日のことは考えないタイ人気質だといってしまえば、
その通りだが、月々の支払いは必ずやって来るから、
明日のことは分からないとも言えないだろう。
私のような小心者だと、月々の負担を計算してしまう。

9月30日に発表された、ABAC(アサンプション大学のことか)の
世論調査によると、入るより出るほうが多いタイ人の生活収支ぶりが
示されている。
8月15日から9月末まで、18歳以上全国2764人を対象に
行なわれた調査だ。

それによると、調査対象の2764人の平均月収は、11300バーツ
(約33000円)。物価が平均日本の3分の一だと言っても、
日本で言えば、11万円くらいの収入の感覚だ。多い収入ではない。
一日450バーツくらいの収入の計算になる。

一方、支出となると、月平均9198バーツ。2100バーツの黒字だ。
しかし、この支出はもっぱら通常経費。
通常支出が、収入の8割に達しているので、
特別な支出となると、闇ローンなどで借りることになるという。

通常支出9198バーツの内訳は以下の通り。
①食費5222バーツ(57%)。一日平均174バーツとなる。
②運賃3790バーツ(41%)。
バス代やモーターサイのガソリン代だろうか。多い。
③映画などの娯楽費1417バーツ(15%)。
あれ、100%を超えちゃった。まあご愛嬌。

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いずれにしろ、飯を食べて移動するだけで、
これでは給与が消えてしまう。
車や家と言わず、衣料品や家具などはどこから出るのだろう?

3000~5000バーツの月収層だと、
平均6522バーツ(19000円ほど)使うというから、
最低このくらいはタイで暮らすには金がかかるということだ。
3000バーツ以下の人も6513バーツは使っている。

調査では、4分の一が、この5000バーツ以下の
低所得者だった。
最低賃金一日300バーツが言われているが、月7500バーツ
だから、物価に比べ、水準自体は高いものではないだろう。

月75000バーツ(約22万円)以上の高所得者になると余裕があり、
月々の支出も平均34471バーツ(約10万円)。
収入の半分以上が残る。
しかし、75000バーツの高所得となると、調査対象の5%、
人口の10%にしかならないという。

調査対象の4分の3、76%は、月収15000バーツ
(約43000円)以下である。
この層のうち、76%は貯蓄高ゼロである。

こういう調査を見ると、タイ貢献党の賃金引上げ政策、
ポピュリスト的政策がうなずけるが、問題はそのやり方であろう。
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by ucci-h | 2011-10-03 21:28 | アジア諸国の賃金 | Comments(6)
10月1日より国営企業で最低賃金300バーツ採用始まる
いよいよ一日300バーツの最低賃金が、
この10月1日より、まずは国営企業の24000人の
300バーツ未満の労働者向けに実施された。
タイの国営企業や公社の従業員数は、
全体ではこの10倍以上になるだろうが・・。

以前、「落ち着くところに落ち着くだろう。
最低賃金は役人、国営企業の一部から採用されるだろう」
と書いたが、国営企業でのスタートとなった。
 「落ち着くところに落ち着きそうな政策 2011-9-14」
  http://uccih.exblog.jp/14554533/

これによる国営企業の賃金負担は、年2.87億バーツ
というから、300バーツに行っていなかった従業員は、
ひとりあたり一日最低260バーツほどだったのが、
300バーツに15%ほどアップする計算になる。

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国営企業だから、今までの最低賃金206バーツ(バンコク)は、
もともとクリアーされていたのだろう。
実質的には15%ほどの賃上げになろう。

また同時に、労働省は、民間にも300バーツを採用してもらいたい
ために、中小企業に対して、3つの施策を施したいと言っている。

①中小企業向け電力料金の割引
②賃金の差額に対し、減税を与える
③また食事・運賃の経費に対しても減税を与える

これまた、作業が嵩みそうだ。

最低賃金1日300バーツは、公的部門から
民間部門にどれくらい広がっていくのだろうか?
民間部門で当初採用できるところは、限られそうだが・・。
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by ucci-h | 2011-10-03 09:55 | アジア諸国の賃金 | Comments(0)
タイ学卒公務員の給与引き上げ案の波紋
タイ貢献党の公約は、ポピュリスト的政策ゆえ
分かりやすいことが第1だが、
具体的な執行となると、数々の問題が浮き上がってくる。

・ガソリン価格の引き下げは、エタノール混合ガソリンの
拡大に逆行する。
・コメの買い取り価格の引き上げは、タイ米の
輸出に響きかねない。

・車の初回購入者への税還付は、タイへの自動車輸出国との
貿易摩擦を起こしかねない。
・最低賃金の大幅引き上げは、まだ決まっていないが、
外国人の雇用をいっそう増やしかねない。

・住宅の初回購入者への税還付も、まだ確定してはいないが、
金持ち優遇につながりかねない。
・そして、学卒月給15000バーツへの引き上げは、
これまた、職業学校生を差別しかねない。

最大の問題、インフレ加速以外でも、それぞれ
大きな副作用を発しかねない。

まあ、いろいろな問題が出てきた結果、政策を修正して
落ち着くべき所に落ち着かせるのが、タイ政府のやり方だろうから、
そう驚くことに当たらないが、何のための政策か、
だんだん分からなくなる。

最後の学卒月給15000バーツに対しても、
インラック首相はじめ、各方面から、疑問と批判が出てきた。

インラック首相は、9月20日記者会見で、以下のように
言っている。
「新しい給与パッケージが、学卒だけをカバーするものに
ならないよう意を払ってもらいたい」
「職業学校卒業生のことを考えていなかった。
もう一度広い視野で見直すべきだ」

その通りであろう。

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政府は、この学卒15000バーツを民間企業に強制することは
できないので、公務員に対して行なうことを明言している。
公務員の学卒以上は、来年1月より15000バーツ以上。
学卒未満は、その6割の月9000バーツに持っていくように
示している(これまたずいぶんの差であるが・・)。

これにより、政府の支出増は、今年10月からの2012年度が
+180億バーツ、来年度が+245億バーツと見積もられている。
財政赤字が3500億バーツの政府予算の国においては、
負担となろう。

政府職員65万人が対象になるようだが、
うち学卒以上は、35万人と半分以上を占める。
具体的な方法としては、4年間かけて、政府職員の給与ベースが
月15000バーツに達するようにもって行くという
(来年1月に引き上げるのではなく、4年かけて引き上げていくという
ことだろうか?)。

現在、政府職員は、5~6年働いて、11000~13000バーツほど
だから、「国の財政に影響しないか」という健気な声や、
「15000バーツもらえる新卒者がうらやましい」といった声が聞こえる。

タイの公務員の数は、中央、地方、さらに公企業あわせて、
300万人ほどになるから、これが全般的な公務員給与体系の
引き上げにでもなると、大変な負担になるが、
政府は、いかに公約を守り、不平等をなくし、過度な財政負担を
避けることができるのだろうか。
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by ucci-h | 2011-09-22 09:49 | アジア諸国の賃金 | Comments(0)
3度目のびっくり、学卒月給15000バーツへの引き上げ案
最初、政党の選挙公約に、「学卒の初任給を15000バーツにする」と
言うのを見てびっくりした。
そんなものは、実社会での取引が決めることで、政府、政党が言う
筋合いのことか、合点がいかなかったからだ。

そして、タイ貢献党が政権を取って、これをまじめに実施すると
聞いて。もう一度驚いた。どうやってやるのだろう?
私企業の賃金体系は狂ってしまわないの?もし体系を保つなら、
賃上げの玉突きで、賃金アップ・インフレを招かないのか?

そして、そして、ここにきて、公務員と国有企業から実施していくと
聞いて、またまた驚いた。今度は、なるほど、うまい手だなと思ったからである。

財務省は、来年1月より、大学出の公務員の月給を15000バーツに
上げるとアドバルーンを揚げている。
現在、月収15000バーツ未満の公務員数は、約65万人。
うち学卒以上が35万人近くいる。

新人だけでなく、旧公務員にも適用するわけだ。
国の負担は、245億バーツにもなるというが・・。
今の月給に追加生計費手当てを加え、15000バーツに持っていくという。
学卒に満たない公務員は、9000から12285バーツで調整されるそうだ。

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ウィラン財務副大臣は、「これにより優秀な人材が役人になることが期待され
(民間企業も15000バーツが求められるのだけれど・・)、私企業でも
技術習得が目指される」と言うが、給与が上がる条件なら分かるが、
ただ学卒というだけで給与が上がった後で、技術アップを目指す
奇特なタイ人はどのくらいいるのだろうか?
職業学校へ行って技術を磨いている対象外の学生は、何て言うだろう?

「給与アップは、人々の購買力を引き上げるだろう」とも言うが、ただ名目的な
賃金アップは、インフレを招き、場合によっては購買力が減じることがあるの
だが・・。

しかし、攻めやすい所から攻めて、なし崩し的に、15000バーツを当然のように
させていこうという戦術はうまいものだ。
公務員だけでなく、主要国営企業を15000バーツの手本に持っていくのだろう。

これと呼応して、タイの最大企業であり国有企業のPTTのプラサートCEOは、
「PTTでは、来年1月から、こちらは最低賃金のほうだが、契約社員に対して
日給300バーツを払う」と言っている。年5億バーツ人件費が増えると言っているが、
装置産業の最大手にすれば、他社よりは負担が軽いだろう。

PTTは、「傘下のガソリンスタンドでも、300バーツを出させるようにしていく」とも
言っている(こちらはアルバイト等の人件費のやりくりに大変だろう)。

さて、一般の民間企業はどう対応してくるのだろうか?
最低賃金と学卒月給の大幅引き上げ・・。
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by ucci-h | 2011-09-08 12:20 | アジア諸国の賃金 | Comments(4)
はやくもタイの企業、国外脱出!?
タイ貢献党の賃金物価引き上げ政策を懸念して、
早くも足の速いタイ企業は、国外脱出を始めた。

すでに、中国などで電子部品の製造を行なっている
「ハナ・マイクロエレクトロニクス」社である。

タイで10000人、中国の嘉興(ジャーシン)市で2000人を
雇い、プリント・サーキッド・ボード等を作っているが、
従業員はみな法定賃金以上である。

最低賃金が、タイで大幅に引き上げになると、
労賃が6~8%を占めるこの会社も、マージンが薄いため、
タイではやっていけないという
(と言っても、対売上げネット・マージンは13%ある)。

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CEOは、今週ベトナムを訪れ、工場を探す予定だ。
ベトナムの最低賃金は、今でもタイの半分以下だ。
中国でも、嘉興のほかにも、場所を探すという。
中国も最低賃金を引き上げているが、5年かけての
緩やかなやり方だ。

タイに留まる企業は、政府に対し、社会保障税の3年免除や、
雇用者一人当たり1日40~50バーツの政府からの
直接補助金などを見返りに求めている。

この会社の今年上半期の純利益は、すでにバーツ高に
よる売上げ減で、20%減益となっている。

コスト競争力が低く、マージンの薄いタイ企業は、
このままだと、国外脱出を余儀なくされそうだ。
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by ucci-h | 2011-08-23 17:16 | アジア諸国の賃金 | Comments(1)
  

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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