カテゴリ:日本・米国・欧州( 73 )
マクドナルド、雛鳥残虐扱いの農場を1社切る
Chiken(チキン、雛鳥、鶏肉)は、英語で「臆病な」という
意味もあるが、ファースト・フード・チェーン「マクドナルド」で
提供される鶏肉の解体現場を見ると、雛鳥でなくとも怖くなる。

ちなみに、ポークやビーフと違って、チキンは生き物の名と
肉の名が一緒だが、生後1年以内の雛鳥が、生後6週間ほどで
屠殺されるのだから、名前を変えている暇がないのかもしれない。

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11月18日(金)、マクドナルドは、鶏肉・卵の供給業者で
アイオワ、ミネソタ、コロラドに鶏舎を持つスパルボー農場との
契約を切った。
動物愛護団体の撮った鶏の扱いのビデオがあまりにもショッキングで
残虐で、非難が広がったからだ。

羽根を広げられないほど狭い鶏舎に閉じ込め、狭いのでお互いに
突付きあうのを防ぐため嘴をバーナーで焼き切るのは序の口、
早く生育させるためにステロイド入りのえさを与えるので、雛鳥は
体ばかり大きくなって、足が追いつかずヨロヨロ。

鶏の扱いは物と一緒だから、いやどうせ解体するのでそれ以上に
乱暴に扱われる。輸送箱に投げつけられ骨折する、そして
金属フックに逆さづりにされのどを切られる。
それでもなお意識のあるうちに、羽根をむしるために熱湯に
浸けられる。

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人間の食べ物になるとは言え、何とも残虐な扱いだ。
食べらしていただくと言う感謝の気持ちのひとかけらもないのだろう。

問題は、こういったやり方が、やや乱暴であるとは言え、合法で
あるということだ。
スパルボー農場は、「我が農場は、農務省により証明された
科学的な動物の扱い、生産方法をとっている」と言っている。

非人道的(非動物的?)扱いをやめさせる規制がなければ、
マクドナルドが、何社か供給元を切ったところで、
低コスト、早期生産といった経済性のみを追求する経済原理は
やまず、トカゲのしっぽ切りに終わるだろう。

この「チキン・クルエルティー」(雛鳥への残虐)ビデオについては、
ウエッブを探ったら、すでにHatena::Diaryさんの紹介が
今年の3月5日にあった。
状況をよく伝えてくれているので、ご紹介する。
「赤い鶏」と「マック・チキン」の写真もこのブログから載せさせていただいた。
http://d.hatena.ne.jp/tora007/20110305/1299349524
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by ucci-h | 2011-11-22 20:45 | 日本・米国・欧州
アジアに経済、軍事、地政面で手を打つアメリカ政権
オバマ米大統領が太平洋を自ら駆け巡った。
米国現政権のアジアに対する思い入れは
並々ならぬものがある。

その背景は、3つあろう。
1、成長するアジア経済によりコミットしたい。
2、膨張したい中国をけん制したい。
3、イラク、アフガニスタンから手を引き余裕ができる。

この秋のアメリカの大統領の動きは大きかった。
アメリカの観点から一連の動きを振り返ってみよう。

1、オバマ大統領の生誕地であるハワイで、11月12~13日の週末に、
「APEC」(アジア太平洋経済協力フォーラム、1989年12カ国で発足、
現在21カ国・地域)の第23回年次首脳会議をオバマ大統領が主催した。
そこで、懸案の「TPP」(環太平洋パートナーシップ)の協議に、
日本、カナダ、メキシコの3カ国を参加させることに成功した(9カ国から12カ国に)。
ことに、日本を協議に参加させたことは、TPPの重要性を高める上で大きかった。

APECは、その名の示すとおり、政治色を抜いた経済協力の緩いフォーラムだが、
アメリカ、中国、ロシアが入っているとなると(インドは入っていない)、その前に
フランスのカンヌで開かれた「G20」金融サミットではないが、参加者多くして
なかなかまとまりがつかないものになってしまっている。
その中で、TPPは一本の大骨となろう。

日本ほか3カ国の交渉参加によって、APEC20カ国(香港は中国領)のうち、
TPP協議に参加していない残りの8カ国の顔ぶれは以下のようになる。
フィリピン、台湾 → 参加意向あり
タイ → 検討中
インドネシア、ロシア、パプア・ニューギニア、韓国、中国 → ?

この中で中国の動向が注目される。

TPPは経済協力だから、けっして中国を封じ込める政治的な意図はないが、
アメリカは、TPPの中に知的財産権の尊重や、労働慣行の規律を求める
ことにより、間接的に中国に圧力をかけていくだろう。
つまり、「これこれの通商、労働慣行をTPPでは守ってもらいますよ。
それをクリアするなら中国もぜひ入ってください」というスタンスだ。
今のところ中国は参加する意思はないようだが・・。

TPPなどに入らなくても、中国のアセアン諸国との経済的結びつきは
強まっているという自負があるかもしれない。
TPPの具体化には、少なくとも数年はかかりそうだ。

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2.オバマ大統領は、その後19日からのバリ島での「EAS」にも参加するのだが、
アメリカへ一度戻ることなく、その間豪州へ飛び、16日には豪州のギラード首相と
会談、第2次大戦時のマッカーサーを思い出させる、北部ダーウィンに米海兵隊を
駐留させることを決めた。
イラク、アフガニスタンへの軍事力投入を終え、今後は南シナ海を
にらんだ軍事プレゼンスを強化するわけで、わかりやすい展開だ。

3.そして、19-20日の週末には、バリ島で第6回「EAS」(東アジア・サミット)
に、アメリカとして初めて参加した。
EASは、その名の示すように、1990年に“ルック・イースト”で知られるマレーシアの
マハティール首相の提唱で、東南アジア諸国中心に経済統合を進めようとの
意図で発足した。

この首脳会議も、アセアン10カ国プラス6、つまり日中韓に豪NZインドが加わり、
さらに今年から米・ロシアも参加し18カ国参加とにぎやかになった。
アセアン+3でいいと言う中国に対し、さらに3カ国加えて+6のバランスを日本が
推しているうちに、それぞれが、ロシア、アメリカを招きいれ、肥大した。
東アジアの経済連携を図ると言う意図から離れ、何やら米中印露日の
経済を超えた政治的、戦略的会議の場になっていきそうだ
(APECには入っていないインドも、ここだけには入っている)。

2005年、EASが発足した時、米ブッシュ政権は、「何をやる会議なの?」と
無視したが、アジア重視となったオバマ政権になって、乗り込んできた形だ。
EASには、5つの討議テーマ(金融、教育、鳥インフルエンザ、災害管理、気候変動)
を伝統的に持っているが、これにアメリカは、海洋安保、人権問題などを
加えて行きたいようだ。

以上追ってみると、アメリカは、
①経済面で、TPPを軸にし、
②軍事面で、ダーウィンに駐留し、
③地政面で、EASに加わり、
アジアに対し着々と手を打っていることがわかる。

欧米経済の衰退から、アジア圏での成長に活路を見出すと同時に、
中国に対して、囲い込むと言う見え透いたやり方でなく、経済、
通商、労働、知的所有権、人権面でルールを導入し、中国にも
採用を迫るというやり方でやってこよう。

今後、中国がどう対応してくるのか注目される。
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by ucci-h | 2011-11-22 11:16 | 日本・米国・欧州
厄年、深刻化するアメリカの失業手当切れ
2010年代の‘厄年’2011年もあと2ヶ月弱となった。
日本の津波、原発事故、欧州全体に広がる債務危機、
そしてここタイの洪水被害、いずれも収拾のめどがつかず、
来年にまたがるかも知れない。

いずれも、2008年のリーマン・ショック後立直れずに居る
先進国経済への第2のパンチとなっているが、
この2011年、ひそかに、一番経済的に参っているのは
“貧困大国”アメリカではないだろうか。

昔なら、戦争前の暗い世相を髣髴させ、戦争がひとつの
解決策になったが、21世紀の今は、そんな物騒なことには
つながらないだろう。いや、つながらないと期待する。
もっとも5年後に、貧窮著しい軍事大国アメリカと、拡張主義の
中国が何かで衝突する事態が起こらないとは言い切れないだろうが。

アメリカは、衰えたと言えども、世界のGDPのなお4分の一を支える
経済大国だ。アジアやヨーロッパがそれぞれ束になって並べる規模だ。
アメリカの経済に、アジアへの輸出なども通じて、日本の経済が多く依存している
形に変わりはない。
そのアメリカでは、リーマン・ショック後3年にわたる金融緩和にもかかわらず、
景気の回復は鈍く、何よりも雇用が拡大していない。

アメリカの失業者の数だが、リーマン・ショック後の秋、2008年10月に
1000万人に乗せた後、1年後の2009年10月には1563万人に膨れた。
その後の緩やかな景気回復は“雇用なき回復”であり、2011年10月現在でも
なお1390万人という失業者がいる。
ここまでの2年間の景気回復で、失業者はピークから11%しか減っていない。

1400万人という失業者数は、日本の9月の失業者数275万人の5倍の人数である
(経済規模、失業の定義がやや違うが)。
失業率は、リーマンショック前の4~5%から、2009年10月には10.1%を
つけ、2011年10月現在でも、なお9.0%という高さにある。

アメリカの民間雇用者数は、2008年の1億4600万人水準から、
2009年12月の1億3800万人ほどへ、信用危機により2年近くで800万人ほど減ったが、
その後の回復は鈍く、2011年10月現在、1億4000万人と、ボトムから
200万人ほどしか増えていない。減った分のカバー率は4分の一でしかない。

問題は、このたまった膨大な失業者数が、米国の財政をいっそう苦しくし、
また、経済の停滞という悪循環を招いていることだ。
21世紀初頭のアメリカの国家的問題は“肥満”(これも貧困化に由来)だったが、
いまや“雇用危機”が、アメリカの国家的危機になっている。

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社会の流動性の高いアメリカでも、失業者に対しては、自発的失業はダメだが、
会社都合によるものに対しては、失業手当が出る。
週平均300ドルほどが、基本26週間出る。
半年ほどすれば、景気も回復につき、再就職できるだろうとの設計だ。
この失業保険が大恐慌の頃のようになければ、アメリカ社会はもっと
揺れていただろう。

失業手当に、政府は450億ドル(約3.5兆円)という巨費を投じるが
(保険料は主に雇用主が納める)、議会予算局によれば、失業手当1ドルに
対して、1.9ドルの経済効果が出るので、経済成長にもプラスと言っている。

問題は、今回の「雇用なき回復」である。
先に見たように、景気が下降してから3年も経つのに、雇用の伸びが
かつてほどない。前回3回のリセッション時でも、失業の最長期間は、21週
だった。
それが、今回は最長39週となってきている。大恐慌時の41週に迫る長さだ。

失業状態の大量長期化に対して、米議会もここまで9回も失業手当の延長を
行なってきたという。通常は、26週だが、「緊急失業手当」を、13週、20週と
上乗せしてきた。今では失業率の高い20州の場合、なんと99週、
ほぼ2年近くまでに拡大された。

しかし、それでも足りない。
2010年はじめ、1100万人の多く(失業者の4分の3)が失業手当を
手にしていたが(もらわないのは、自発的失業者や新卒浪人)、
いまやなお1400万人の失業者がいるが、手当てをもらっているのは、
4割減の670万人に減った。景気が回復して多くが職に就いたからではない。

通常の景気回復だと、手当受給者数は半分以下になるのだが、
今回は、雇用増が鈍く、そうはいかない。
一方で、今回は失業者の3分の一が、1年以上の‘長期失業者’になって
いるので、“期限切れ”でもらえなくなっている人が増えている。
期間延長も追いつかないほど増えている。
200万人が、99週をもらいきって、なお失業しているという。
このままだと、来年2月までにさらに220万人が期限切れを迎えるという。

失業手当が切れた人はどうするのか?
AP電は、ロードアイランドに住む55歳の倉庫従業員のケースを紹介している。
彼は、2008年に失業し、コンピュータ技術を持たないとかで、なお仕事がない。
社会保障のDI(所得保険)、フード・スタンプをもらい、政府の補助住宅に住んでいる。
いいほうかもしれない。

現在アメリカでは、史上最高の4600万人(人口の15%)近い人が
フード・スタンプをもらっている。統計局によると、昨年失業手当で、
320万人の人が、“貧困ライン”(4人家族で年収22314ドル)未満への
転落を免れたが、手当が切れ、雇用が増えないと、
貧困層がいっそう増加することになる。

このまま、欧州の債務問題が拡大し、先進国の不況が広がったらどうなるのだろうか。
1990年ソ連邦が崩壊し、共産主義が敗れた時、資本市場主義の勝利とも見られたが、
いまの欧米の経済状況は、市場原理主義のレバレッジ投機のなれの果てとも見える。
「資本主義よ、お前もか」では、困るのである。

早めに欧州の債務問題の解決と、米国経済の底入れが待たれる。
TPP(環太平洋パートナーシップ)に臨む日本の政治家の中に、
「うちも大変だが、アメリカさんは大変だなあ」と思う政治家はどのくらいいるだろうか。

{追記}
11月7日に統計局から発表された新しい基準(政府からの補助なども含める)では、
アメリカの2010年の貧困者は4900万人に増加している。全人口の16%、
6人に一人だ(4人家族で24343ドルの年収未満)。
ヒスパニック、黒人は28%、25%とより高い。
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by ucci-h | 2011-11-08 18:14 | 日本・米国・欧州
「勝手に海外に行って!自己責任でしょ」
タイの洪水が広がり、工業団地に半分以上の工場を持っている
420以上の日本企業が被害を受けた。

日本の友人からの話だと、「勝手に海外に進出したんだから、
損害も自己責任だろう!」という狭量な声も日本では聞かれるとのことだ。

少数の見方だとは思うが、また言葉尻を取るわけではないが、
こういう狭量なものの言い方は、“ムラ社会”(仲間社会)の日本の中では、
比較的耳にすることばだと思う。
こういう物言いに対して、「そうね。そういう面もあるわね」と、
肯定する空気が日本社会に流れているのも否定できない。

しかし、こういう突き放した言い方をする本人の感情とは別に、
この「勝手に海外に・・・」の言葉の裏には、日本社会の古くからの
物の見方が横たわっているような気がする。

まず、「勝手に」だが、この言葉の中には、個人が自由に自分の意思で
行動することに対する、妬みと、その裏返しの侮蔑の感情が埋もれている。
勝手にやることは、突出した、ネガティブな意味合いを持つ。
大げさに言えば、個人の自由行動は、日本では白い目で見られがちなのだ。

個人が勝手に海外にボランティア活動に行くのには、疑問符がつき、
政府の命令で派遣されたなら、活動内容は問わず、それだけで
褒められることになるのか?それでは、個人主義ではなく、
全体主義だろう!と皮肉のひとつも言いたくなるが、
実際そうなのかもしれない。

2004年4月にイラクで日本人3人が武装勢力に人質になった事件があった。
「勝手に危ないところに行ったのだから、自己責任だ!」との合唱が
盛り上がり、時の日本政府は、テロには屈しないと言うだけで、
救助活動をせず(できず?)、現地聖職者により解放された後、
デモとしてチャーター機を現地に飛ばし、その費用を人質たちに請求するという
けちなところを見せたことがあった。

その後、家族への同情論なども出たが、ふだん‘自己責任’意識の
薄弱な国だからこそか、今回も含めて、自己責任論が噴出する。
自己責任は当たり前のことである。異国に行き、死のうが傷を負おうが、
自己責任は当たり前のことだ。ペジョラティブ(蔑視語)として
使われる筋合いはないと、息巻きたくなる。

タイと比べると、日本は自己責任という言葉はあるが、
自己責任意識の薄い国だ。何か事故や困難があると、政治や
お上の監督責任のせいにする。よって、官僚主導は
国民のラブコールに応えて、ますます強くなっていく。
官僚なしには、しろうと政治家は、立法府にあって法案も作れないのが多い。

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日本語の「勝手に」は、「心配させて」の対語である。
「勝手にお母さんはタイへ行って!私たち(娘たち)が心配じゃないの?」
は、2009年に封切られた、小林聡美主演のチェンマイを舞台にした
映画「プール」の中のせりふだが、「勝手に=心配させて→悪いこと」が、
日本語の図式になっている。

件の人質事件の時も、「あんな無茶をするから(無茶をしたのは武装派の方だけど)、
私たちに余計な心配をさせて」という日本を代表した非難の声があった。
それこそ、自分たちで勝手に心配しておいて、身代わりになるわけでもなかったのに。

小林聡美扮する主人公の主婦京子は、「タイが好きだから来たのよ。
あなた達が心配になるような育て方はしなかったわよ」とさらっと流す
場面が印象的だった。

話がずれたが、戦後66年たったが、日本のムラ社会、仲間社会の体質は
ほとんど変わっていない様に見える。
皆が力を合わせるプラスの面はあるが、ムラから出て行ったものは
勝手にしろという意識である。

タイと日本の製造プロセスの密なつながりは、今回の洪水で
明らかになったが、「外国では勝手にしろ」では、現代のグローバル連携の
中では生きていけない。

聞くところによると、今では商社の若い社員ですら、海外赴任を
嫌うものがいるそうだ。
理由は、「タイはシャワートイレがないから」とか?(タイなら、手動式だが、
昔からシャワートイレはあるわい)。

現在の日本社会の閉塞感を外から見ていると、
その底に、外に対する被害者意識と、内において、自ら動こうとしない
無気力さが目立つ。これでは困る。
人任せにしておいて、何かあれば被害者意識が強く、
自ら個人として‘勝手に’動かない国の将来はどうなるのかと
それこそ、心配になる。

それでも“ガラパゴス島”がなお平気なのは、ゆで蛙現象だけでなく、
まだまだ日本の技術や製品が世界から求められているからでしょう。

「勝手に海外に行って・・」と言う人がいたら、海外へ進出した企業の
社員の、慣れない海外での頑張りがあるからこそ、給料の
上がらない日本でも、安い食品や製品を手に入れ暮らせるのだ、と
思い返してほしいものだ。
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by ucci-h | 2011-11-02 01:12 | 日本・米国・欧州
ちょっぴり気になる対米依存?論
ブログを書いたり、日本の友人達とメールのやり取りをしていると、
いろいろな人からいろいろなコメントをいただいてありがたい。
それはそれで、うれしく面白いのですが、
ときどき、はてな?と思うコメントにも出会う。

よくあるコメントに、「それはアメリカの謀略である」とか、
また「そろそろ対米依存から脱却すべきだ」といった
昔からの見方も散見する。

たとえば謀略論だが、原発事故までアメリカの謀略でできるほど、
アメリカは神様ではない。いろいろなところに顔を出す
アメリカ謀略論は、物事の因果関係を究めるのを放棄する
‘さぼりのレトリック’だと思う。
よく物事の流れ、因果関係を見つめて欲しい。

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「ノーと言える日本」という本が出て、20年以上になると思うが、
裏返った対米被害者論もあまり変わっていないようだ。
「アメリカは自分勝手なルールを押し付けてくる」とも言うが、
国際外交上、自国の国益に合った要求を、たとえ相手が不利益になっても、
まずは出してくるのは、古今東西、当たり前のこと。

国際スポーツ・ルールの変更の歴史を見るといい例だ。
スキー・ジャンプなど多くが、自国にできるだけ有利なように変えてきている。

「そうは言っても、世話になっている(多くの利益をもらっている)アメリカの
要求だから・・」といった‘しょうがない論’もある。
これまた被害者意識ではないだろうか。

外国の要求に対して黒か白かではなく、それに沿った形を見せつつ
自国の要求を通すのが、ネゴシエーションというものだ。
その外交官のプロフェッショナリズムに対して、我々は税金を払っている。

最近ちょっと気になっていることを書きました。
皆さんは、どうみているのかなあ?
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by ucci-h | 2011-10-30 09:52 | 日本・米国・欧州
欧州政治家の先見性のなさが、ユーロ危機を泥沼に持ち込んでいる
ユーロ危機は、今までレスキュー・パッケージ「EFSF」の
拡大を渋っていたドイツ議会が、9月29日(木)に、
523対85の大差で、拡大を承認する決議をしたことで、
いったん明るさが見えた。

しかしその後、ギリシャに対し10月の80億ユーロの支援を決めるトロイカ隊
(EU、欧州中銀、IMF)が、ギリシャの財政赤字は予想を超えており、
さらなる精査が必要と1ヶ月棚上げしたことから、世界の株式やユーロや
欧州の債券は再び値下がりしている。

昨年来ギリシャが、緊縮プランを敷き、財政赤字の縮小を目指した方策は、
経済の縮小をもたらし、かえって事態を悪化させると思われたが、
現にそうなってきている。
ギリシャ経済は、今年5.5%縮小した後、来年もさらに2.5%のマイナスと
見られている。
公的債務残高のGDP比は、今年が162%、来年が173%と、
ひとりぬきんでている。

欧州の政治家の無責任さと経済音痴と小手先の策へのこだわりが、
ギリシャの経済・金融状況をいっそう悪化させ、泥沼に追い込んでいる。

今、トロイカが病人ギリシャに対してやっていることは、こういうことだ。
「はやくベッドから出たいだろう。それにはこの高価な食べ物が必要だろう。
しかしそのためには、少しは自分自身でもスリム化運動をしてくれなくちゃ。
おんぶにだっこで助けるというわけにはいかないんだ(本音は、お前が
倒れると、他の患者にも移っちゃうから困るんだ)」。こうして、病人は
無理なスリム化をやらされ、ますます体力が落ちていっている状況だ。

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人間ではないのだから、国の債務が返済不可能になったら、
さっさとデフォルトして、倒れてしまい、そこから立ち上げることだ。
「“ヘヤー・カット”が21%では、少ない」とか債務の目減りを受け入れ
始めているのが現実ではないか。
私の金融関係での経験からも言えることだ。
かつてデフォルトしたアルゼンチンは、地球上から姿を消しただろうか。

困るのは、今のような無駄な努力を長きに渡って行ない、
解決を引き延ばしても、何のメリットもないことだ。
ギリシャの国民はいっそう困窮を余儀なくされ、他の国々にも
及んでいく。
株式や債券、為替市場は、不透明を嫌うから、この間下げ続ける。
いいのは、インフレの芽や原油価格が押さえ込まれることぐらいだろう。

ギリシャの‘救済’とは、どうなったら救済したと言うのだろう。
他の国の債務問題もあり、EFSFも4400億ユーロが少しばかり
増えただけではまた足りなくなり、4~5兆ユーロ必要とも言われる。

ユーロ債務問題の‘解決’を目指すという言葉がよく聞かれるが、
解決とは何だろうか。
問題はすでに存在し、大きくなってしまったのだから、
消したり、元に戻したりはできない。
砕いて、問題の塊を小さくしてしまうことしかないだろう。

これが、過去2000年世界を引っ張ってきた欧州の没落なら
もっと静かに沈んでいってほしいものだが、
歴史はそうもいかないのだろうか・・。
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by ucci-h | 2011-10-04 19:53 | 日本・米国・欧州
公務員を容赦なく切っているイギリス
ユーロ圏の金融・景気状況が、のっぴきならない所まできている。
独仏伊と違って、イギリスは、EUには入っているが、
ユーロ圏には入っていない。依然自国通貨ポンドを使っている。
ならば、ギリシャ、スペイン、イタリアなどに比べて状況はいいかというと
そうでない。

ポンドはユーロ圏に入っていないから、為替の裁量の余地があると言っても、
弱いユーロやドル以上に安くなっているわけではないので、
為替安で輸出を伸ばすというわけには行っていない。

イギリスも、財政赤字、公的債務の規模では、欧州諸国にまけていない。
GDPに対する財政赤字の比率は、2010年で10.4%と、アイルランド32.4%、
ギリシャ10.5%に次ぐ高さである。
北欧諸国の2~3%に及びもつかない。
公的債務残高のGDPに対する比率でも、2009年末で68%、
現在は80%ほどに達していると推計され、この数字も中堅上位にある。

そして、景気も悪い。失業者が多い。
ことに、鉄の女サッチャーの伝統を受け継ぐ(?)保守党連立政権である。
キャメロン政権は、公務員のカットなど容赦なく、矢継ぎ早にやる。
ロンドン北部では、8月に暴動が起こっている。

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日本の学校の先生など、公務員は、失業保険を払っていない。
失業や首切りなどないという前提だからだ。
イギリスは容赦ない。
今年の第2四半期(4-6月)だけで、イギリスの公務員の数は、
11万1千人も減って、603.7万人になっているという。

7月までの3ヶ月でイギリスの失業者は8万人増えて、251万人
(失業率7.9%)となっているが、公務員が増加の多数を占める。
政府は、「財政赤字削減のため公務員を減らすから、その分は
民間で雇用してくれ」と言うが、民間も景気が悪く、民間の
雇用は、4-6月で4万1千人増えただけである。
ことに若者は、5人に一人以上、イギリスでは職がない。

この保守党政府の容赦のない公務員カット、さらには
公務員年金の改革に対し、組合は、この秋11月に
戦後類を見ない規模のストライキで抗議するかもしれないと
言われる。
医療機関、地方政府、学校、大学、警察などがストに出ると言う。

給料が凍結され、首切りが行なわれる公務員に対し、
さらに年金の月々の掛け金を来年4月から3%上げ、
10億ポンド以上の節約をはかる予定と言う。
受給開始年齢も、60歳から66歳に引き上げられる。

こんなことをやったら暴動がおきるだろうと思われる
ことをやってしまうイギリス。
一方で、アメリカ同様、金融緩和を強めているが、景気は
低迷したままである。

日本で公務員をここまで切ってくるとどうなるのだろうか?
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by ucci-h | 2011-09-29 02:29 | 日本・米国・欧州
ユーロ圏離脱は可能なのか?
欧州のソブリン危機が、もはや過去に戻れぬ状況にまで
来てしまったことから、ギリシャのユーロ圏離脱、さらには
ユーロ圏、EUの崩壊の話まで出はじめています。

9月17日付の英エコノミスト誌が、「ユーロ圏危機の生き残り策」
という記事を載せたことを前回紹介しましたが、
今度は、9月21日付の英フィナンシャル・タイムズ紙が
ユーロ圏の解体の可能性について触れています。
 「英エコノミスト誌:ユーロ圏危機の生き残り策 2011-9-20」
  http://uccih.exblog.jp/14596222/
和訳は、以下のJBプレスのウエッブで読めます。
 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/23240

フィナンシャル・タイムズ紙も見ているように、
一口に、「それじゃあ、ユーロから離脱して、自国の通貨に
戻り、為替政策の自主権を取り戻そう!」と言っても、
そう簡単に、混乱、軋轢なしでできるものではありません。

これについては、過去に私も調べて見たことがあります。
ユーロ圏からいかに離脱できるか、です。
ギリシャの場合ですと、ユーロをたとえば以前のドラクマに
戻すことになります。

この方法としては、日を決めて、一定のレートで交換する
ことになります。
問題は、その意図が見え見えなことです。
通貨を切り下げて、輸出競争力を高め、経済を回復させようと
いうものです。

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従って、ギリシャに対する預金者や投資家は、
さらに切り下げの怖れの高いドラクマよりもユーロで
持ちたがります。
そこで、ギリシャ国内の預金や投資が海外に逃げる、
キャピタル・フライトが起こりやすくなります。
その場合、ギリシャの金融システムがきしみます。

政府は、キャピタル・フライトに対して規制をしいても、
抜け道があるでしょうし、預金封鎖のようなことをやったら、
ギリシャは今後世界の金融界から相手にされないでしょう。

ユーロ離脱のうわさが本格化してくる段階で、
キャピタル・フライトが起こるかもしれません。
それを防ぐには、こっそり内密に進め、突然やれば
いいのでしょうが、独裁国家ならまだしも、
民主主義国家では、議会で議論され承認されなければ
ならないでしょう。

もうひとつの問題は、
ユーロ建て債券が残っていることです。
これの償還にコストがかかることになるでしょう。
この債券を自国通貨ドラクマ建て債券に変えるなどと
発表したら、今後、ギリシャは高利回りでなくては、
国際的な起債ができなくなるでしょう。

さて、実際はどうなるでしょうか。

ユーロ圏離脱と言うなら、
強い経済の国から離脱しなくてはスムーズに行きません。
ドイツからです。
ドイツが離脱すると言うことは、ユーロ圏の瓦解に
つながるおそれがあります。
それはEUの崩壊かもしれません。

さて、現実の世界はどう展開していくのでしょうか。
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by ucci-h | 2011-09-26 02:39 | 日本・米国・欧州
ギリシャ国民の年金が2割カットされても、ことは改善しない!?
かつて韓国やタイが、国の財政に不足をきたし、
IMF(国際通貨基金)に援助を仰がねばならなかった時、
きびしい緊縮、節約を求められた。
幸いアジアの諸国はその後成長路線に復帰できたが、
彼らの心の中には、IMFという忌まわしい使徒の影が残っている。

そして現在のギリシャ。
こちらは、韓国やタイの比ではない。
可哀想なことは、為政者たちの失政のために、
国民が緊縮生活をさらに余儀なくされていることだ。
しかも、その我慢が実らず、ムダになるおそれが大きい。

もし、あなたの年金が、一挙に20%引き下げられたら
どんな気持ちになるだろうか。
もし公務員のあなたが、給与を60%にカットされた上で、
この1年以内に新しい仕事を見つけなければクビだと言われたら、
どんな気持ちになるだろうか。

もし、この我慢が、IMFからの80億ユーロ借款と引き換えに、
国の財政再建につながるなら、我慢のし甲斐もあろうが、
ギリシャの国債は市場ではすでにほぼデフォルト状態だ。

年初から見てきたように、財政再建のための緊縮政策は
プラスにならない。かえって、経済を沈滞させ、深みにはまり込む
だけだ。今、実際そうなってきている。
 「欧州の失敗1.経済縮小均衡政策 2011-1-8」
  http://uccih.exblog.jp/12654908/

IMFの新任の専務理事クリスティーヌ・ラガルドさえ、
今までのIMFの伝統的な緊縮押し付けから離れ、
経済拡張政策を支持し始めているが、ユーロ圏の政治家たちの
耳には入らないようだ。
といって、ユーロ圏をあげての思い切った救済策に出ず、
財政赤字国のがんばりにかけている。

d0159325_1142215.jpg

欧州のソブリン(国債)リスク問題は、過去2年間火種の小さいうちに
適切な手を打たなかったために、すでに元へ戻れない状態と
なってしまった。
2008年のリーマン・ショックは米国銀行中心に、世界の
金融危機を招き、それから十分回復していないというのに、
今回のユーロのソブリン信用危機は、ことによると、
欧州の銀行を巻き込む世界的な信用危機になりそうである。

かつてアメリカの財務長官であり、現在はハーバード大学教授
であるローレンス・サマーズは、欧州の失敗を嘆いて、ふたりの
人間の言葉を引用して、現状を描写している。

ひとりは、かつてアメリカのベトナム戦争の泥沼入りを告発した
ダニエル・エルズバーグの言葉である。

「政治家は、幻想をもつことなく行動した。各局面において、
当面の破局を避けるために、必要最小限のことを行なった。
楽観的な期待感を持って、決定的な策はとらなかった」

「しかし、思いもよらぬところに来てしまい、と言って
来た道を戻ることもできず、かといって、遅まきながら何とか
突破口を開く政治的意志も持ち合わせなかった。
結局、長年苦しんだ挙句、彼らの政策は失敗に帰した
のである」

現在の欧州の政治家の行動に当てはまりそうだ。

もうひとつは、ウインストン・チャーチルの言葉である。

「先見性の欠如、行動が容易で効果的な時に、
行動したがらない習慣、明白な考え方を持てないこと、
危機が来るまで、頭の中がまとまらないこと、
ダメだと分かるまで自分の考えに固執していること
・・・これらが歴史を作る人間の特質である」

いつの時代、どこでも、リーダーに豊かな資質がないと、
しわ寄せが降りかかるのは、そこのメンバー、国民である。
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by ucci-h | 2011-09-26 01:15 | 日本・米国・欧州
英エコノミスト誌「ユーロ圏危機の生き残り策」
英エコノミスト誌が、9月17日の記事で、
ユーロ圏の生き残り策を提言しています。
http://www.economist.com/node/21529044

ここまで来ると、どういった策が最も
損害が少ないかの選択になって来ています。
ユーロ解体、ギリシャ離脱、ギリシャ・デフォルト、
欧州合衆国の設立まで、いろいろ議論されますが、
まずは、被害を最小限にとどめる、緊急策が必要と
いうことでは、変わらないでしょう。

エコノミスト誌の提言は、小異はありますが、
ユーロ圏救済の方向を示す提言となっています。

なお、「JBプレス」のウエッブ・ページが翻訳を掲げています。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/22924

その最初の部分を紹介方、載せておきましょう。

ーーーーーー

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緊迫度増す欧州通貨危機:ユーロを救うには
2011.09.20(火)
 The Economist

(英エコノミスト誌 2011年9月17日号)
ユーロを救うためには、大規模な緊急対策を講じる必要がある。ドイツがこの困難に立ち向かわない限り、待ち受けているのは大惨事だ。

政治家がしっかり行動しなければ、ユーロは解体の危機に直面する〔AFPBB News〕
ユーロ危機は、あまりにも深刻化し、あまりにも危険で、止めようがないところまできているため、救済策の協議でさえ、高まる一方のパニックを煽るだけになっている。

 投資家は、欧州の指導者たちには、未来永劫、十分な対策を講じる意志がなさそうなことに感づいている。それどころか、政治家が迅速に行動を起こし、ユーロを守る自分たちの意志はユーロ安に賭ける投資家の力に勝るということを世界に納得させない限り、単一通貨は解体の危機に直面する。

 与信枠の空きがなくなり、域外から行動を求める声が聞かれる今、危険にさらされているのはもはやユーロだけではない。欧州連合(EU)の未来、そして世界経済の健全性も同じ運命にある。

 欧州の政治家は相変わらず、目の前の状況を過小評価し、小競り合いを続けている。そんな政治家たちのリーダーシップにいかに多くのことが懸かっているかを考えると、呆然とさせられる。

 しかし今、この下降スパイラルを押しとどめるには、ユーロ圏諸国が一致団結して、危機を食い止め、ユーロのガバナンスを堅実に基礎づけるための一連の金融政策を打ち立てる行動に出るしかない。

 その代償は大きい。本誌(英エコノミスト)はもちろんのこと、金融市場への大規模な介入や、EUへの国家主権の大規模な移譲は、誰も望んでいない。ユーロ圏17カ国とEUの残り10カ国の間の亀裂の拡大を歓迎する者もほとんどいない。

 ただ、ユーロ救済以外の道を選べば、はるかに悪い結果が待っている。これが率直な事実であることを、特にドイツのアンゲラ・メルケル首相は今すぐ国民に説明する必要がある。

緊縮財政とごまかしの誤り

 救済では、以下の4点を早急に実行しなければならない。1つ目は、欧州の中で流動性不足と見なされる国と支払い不能国とを明確にし、支払い能力のある国は無制限に支援する一方で、決して返済できない国の債務は再編することだ。

 2つ目は、欧州の銀行を、ソブリン債のデフォルト(債務不履行)に耐えられるよう支援すること。3つ目は、ユーロ圏のマクロ経済政策を、予算削減への強迫観念から成長計画へとシフトすること。そして最後に、このような混乱を二度と繰り返さないようにするための新たなシステムの構築に着手することである。
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by ucci-h | 2011-09-20 12:35 | 日本・米国・欧州
  

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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