外国に出稼ぎに行っている人が少ない日本人には
なじみが薄い。
しかし、世界を見渡すと、外国に稼ぎに行っている人が
多い国も多く、レミッタンス市場は、世界全体では、
世銀によれば、2012年には5290億ドル(53兆円)と
いう巨額に及んでいる。
世界22位のスウェーデン一国のGDP(5262億ドル)に匹敵する。
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うちアジアの労働者の自国への送金額が多く、
2100億ドルに達する(2012年)。
6千万人のアジア人が他国に出稼ぎに行っており、
故国の7千万の世帯を養っていると伝えられる。
7千万世帯と言えば、日本やロシアの一国全体の約5千万世帯を
上回る世帯数である。
金額で多いのは、インド人の698億ドル、中国人の663億ドル、
フィリピン人の243億ドルだが、自国経済(GDP)に占める比率で
見れば、ネパール人の28.5%、バングラデッシュ人の11.6%、
フィリピン人の10.7%が高い(他にタジキスタンは50%と言われる)。
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レミッタンス市場は、銀行が仲介者として圧倒的シェアを占めるため
(アジアで75%。中国だと82%)、競争も少なく、ここまで、
インターネットの時代だと言うのに、高い費用が取られてきた。
加重平均で、送金額に対し6.3%もの費用がかかっていると言われる
(中央アジアの2.5%から中国の9.8%まで)。
東南アジアの1300万人一人1件当たりの費用は30ドル(3000円)だと言うが、
稼ぎが少ない人だと故国への送金額にかなり食い込むことになろう。
世界全体では、年間5億件の送金があり、年間160億ドル(1.6兆円)もの
送金コストとなっている。1件当たり平均32ドル(3200円)かかっている。
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世銀は、マイクロファイナンスや郵便局、携帯キャリアーも、
各国の送金ビジネスに参加させて競争を高め、費用を下げることを
提言しているが、一番有力なのは、インターネットを介しての
外国送金だろう。
ちなみに、タイへ日本から送金した場合のコストを調べたことがある。
チェンマイで10万円をバーツに換えるのに対し、
たとえば三井住友銀行の送金サービスでのバーツの入手額を比べると、
同じ10万円なのに、6500バーツ、約16%の違いがあった。
もちろん日本からの送金の手数+為替両替のマージンの差だから
日本の銀行からの送金の方が高いのだが、10万円で5000バーツ
(約15000円)以上の差は大きすぎた。
送金専門会社ウエスタン・ユニオンを見ても、
金額によって、1回当たり3000円から5000円の手数料が取られる。
交換為替レートは、日本の銀行より顧客にとってましだった。
新橋にあるバンコク銀行からの送金の場合、
送金手数料は一律に3500円。交換レートは、ウエスタン・ユニオンより
顧客にとって若干低かったが、日本の銀行よりはましだった。
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ネット送金の「マネーグラム」が今のところコスト的には
一番よさそうだ。送金者は登録しなければならないが、
100万円までの送金手数料は1980円と安め。
為替交換レートもまあまあで、10万円チェンマイ市内で換えるのに比べ、
650バーツしか少なくない。
100万円送金するとして、手数料が0.2%、為替負担増が1.7%程度。
合わせて、日本円をチェンマイ市内で換えるのに比べ、
2%程度の負担増(2万円弱)で送金することが出来る。
インターネット・サービスが広まり、世界がいっそう狭くなる中で、
とても高かった海外送金コストがリーズナブルになっていくだろう。