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ミャンマー人マ・ウィン(56歳)がタイで陥った苛酷な物語
こういう実話は、書き記しておいた方がいいだろう。


タイにおける不法外国人労働者の問題がクローズアップ
されているが、バンコク南の港町サムート・サコンは、
ミャンマー人が多く働いている漁業で成り立っている。

 「タイにおける外国人労働者の実態 2011-8-15」
  http://uccih.exblog.jp/14351204/


最近発覚したこの物語は、もちろんサムート・サコンの
漁業の実態のうちの一部の悪質な人身売買の例だろうが、
こういうこともあると知っておきたい、映画にでもなりそうな事件だ。
2014年6月末、バンコク・ポスト紙に載った記事を紹介しておく。

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@@@@@


主人公は、2年半前はヤンゴンの近くの村に住んでいた
マ・ウィン、当時54歳の男性である。
母を亡くし、仕事もなかった彼は、2012年はじめ、タイ国境の
ミヤワディ(メーソットの向こう側)の牧畜の仕事に向かう。


10日ほど働いた後、ミャンマー人の仲間から
「タイ側へ行って、サトウキビ農場で働かないか?」と
もちかけられる。
ミヤワディからメーソットへ越境労働するミャンマー人は多い。

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メーソットで、警官とおぼしき農場のオーナーの下で
2週間働く。そこに20人のミャンマー人を伴って
ソーレンと言うミャンマー人のブローカーが現れた。
マ・ウィンの苛酷な物語はここから始まる。


@@@@@


そこで,警官は「月8,000バーツ(25,000円)払うパイナップル缶
工場がある。興味はないか?」とマ・ウィンを含めたミャンマー人達に
問うた。


マ・ウィンも興味アルと答えた一人だが、ミャンマー人達は、
就職のための‘交通費’として、ひとり7,000バーツずつ取られた。
20人いれば、14万バーツ(44万円)。けっこうな収入だ。

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夜になって彼らは山歩きに出発し、4日間かけて、
他のミャンマー人グループとも一緒になり、
15台のピックアップ・トラックが待つ集合地点に落ち合ったのは
午前3時だった。
もちろん、全員パスポートも労働許可証も持っていない。


@@@@@


パイナップル缶工場のある南のカンチャナブリ
(戦場にかける橋で知られる町)に着いたのは、8時間後の午前11時。
しかし交通費の支払い要求は、先の7,000バーツだけではすまなかった。

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車から降りると、ミャンマー人の夫婦ククとマツサがブローカーとして現れ、
工場に案内する交通費13,000バーツを請求された。
もうお金のないマ・ウィンは、「工場で働く賃金から月々返すから」と
了承してもらう。

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4ヶ月働き、9,000バーツ支払った。
毎月の賃金から3割近くを払ったことになる。
しかし、ここに落とし穴の仕掛けがあった。


ブローカー夫婦は、「支払いが遅すぎる。マハチャイで
働いて、残金を払ってもらわなくてはならない」と彼に告げた。
マハチャイとは、サムート・サコンの漁港である。


@@@@@


別の3人のミャンマー人ブローカーがやってきて、
夫婦に1万バーツ払い、マ・ウィンを連れ去った。
ブローカー夫婦は、マ・ウィンを‘売った’ことで、
都合19,000バーツを手にした事になる。


マハチャイに着くと、マ・ウィンは2日間、監禁される。
そして、3人のブローカーのひとりソーウェンが彼を
埠頭の漁船に連れて行く。

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漁船のタイ人船長が、ソーウェンに3万バーツ支払うのを
マ・ウィンは見た。彼のほかに二人のミャンマー人も船に乗せられた。
ソーウェンは彼に「月9,000バーツもらえるよ」と言った
(実際は、月3000バーツの休みなしの過酷労働だった)。
ミャンマー人35人、カンボジア人3人が乗った漁船は
インドネシア沖を目指した。


@@@@@


マ・ウィンが自分は売られたと悟ったのは遅すぎた。
船が港を離れるときで、海に出てしまえば
もはや逃げることはできない。


インドネシア沖で、彼は小さな漁船に移される。
5人のミャンマー人と2人のタイ人が乗組員である。
インドネシアに入るので、パスポートも手渡される(もちろん偽造)。

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ここから、マ・ウィンの地獄の23ヶ月間が始まる。
タイ人の船長からは、魚を取り落としたと殴られ、
体調が優れないので起きれないと蹴飛ばされた。


休みの日はなく、逃げたくても海の上、逃げられない。
こうした苛酷な日々が結局630日、21ヶ月も続いた。


@@@@@


21ヶ月目、インドネシアの埠頭に上がった時に、
ひとりのミャンマー人の漁船員に出会った。
彼はマ・ウィンに国連職員の電話番号を渡し、
同時にインドネシアの警察に行くように奨めてくれた。


彼のアドバイスに従って、マ・ウィンは3度、インドネシアの
警察に行った。しかし、その都度、船に戻されるだけだった。


マ・ウィンは意を決して、国連職員に電話した。
職員は彼をただちにインドネシアのミャンマー大使館に
連れて行ってくれた。
彼は、病院に収容されメディカル・チェックを受けた。


しかし、苛酷な物語は、ここで終わらなかった・・・。


@@@@@


大使館職員は、彼に新しい本物のパスポートを与え、
船長に彼をマハチャイの港まで連れ帰るように命令した。
しかし、これは犯人に被害者を護送せよと言っている様なものだ。


マ・ウィンは、帰途の船中で、眠れぬ夜を9夜過ごすことになる。
殺されそうになったからだ。
仲間のミャンマー人船員が船長から、パスポートの偽造がばれるので、
彼を殺すように言われていたのだ。


幸いこの船員は、自分の父親のような同国人を殺すのは
忍びないと告白してくれた。


@@@@@


マ・ウィンは2014年6月7日、23ヶ月ぶりに
無事マハチャイに帰還した。
人権団体「労働権利推進ネットワーク」が迎えてくれた。


今や56歳になったマ・ウィンは、この団体に言っている。
「自分の船や他の船で出会った他のミャンマー人達の
運命は知らない・・・」と。


タイの軍政権は、これらのミャンマー人・タイ人連携の
人身売買シンディケートにメスを入れられるだろうか?
by ucci-h | 2014-07-16 00:18 | アジア諸国の賃金 | Comments(4)
外国人労働者の登録期間があったが・・・
ここのところ続けてお伝えしているタイにおける
外国人労働者の実態だが、前回お伝えしたように、
漁業従事者が、多く最初のステップとなっている。

タイの漁業は、典型的な人不足産業となっている。
全国で43万人の漁業従事者を抱えるが、
平均月収は、タイ人で6200バーツほどだ。
今議論になっている1日300バーツの最低賃金に届かないくらいだ。
もちろん、大漁なら大きな収入が得られるが・・。

6月15日から7月14日まで、外国人労働者の登録期間が
あったが、漁業で働く外国人労働者10万人のうち、
実際に登録したのは、2万人に満たなかったという。
雇用主からすると手続きが面倒で負担だったからだという。

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今後は、各雇用主毎に登録するのではなく、各漁業組合ごとに
登録する方法が考えられている。そのほうが、船を変わる
外国人労働者にとっても好都合だからだ。

しかし、外国人労働者登録が軌道に乗ったとしても、
漁業の労働者不足が解消するわけではない。
登録させたからといって、外国人労働者が逃げていくのを
つなぎとめるわけにはいかないからだ。
逃げ出すのが多いのは、労働条件に不満だからだ。

労働力の不足に接して、雇用主はブローカーにたのみ
不法労働者に手を出す。
しかし、これは結局高い物につくし、人身売買の疑いに
かかわることになり、得策ではない。

国の雇用政策がないところ、ブローカーが暗躍する。
by ucci-h | 2011-08-17 19:51 | アジア諸国の賃金 | Comments(2)
タイにおける外国人労働者の実態
タイで働く外国人労働者は、合法・不法も合わせて、
今や300万人に達すると言われる。
先般、タイ政府が行なった外国人労働者登録では、
ビルマ人中心に、およそ100万人の労働者が登録された。

タイの労働力が、農業も含めて3850万人(2010年第4四半期)
だから、およそ14人に一人が外国人労働者となろう。
外国人労働者は多く、最低賃金の蚊帳の外だ。
 「ビルマ人労働者の最低賃金の実態 2011-7-13」
  http://uccih.exblog.jp/14080532

もはやタイ経済にとって欠かせぬ存在となってきたが、
その実態はなお闇の中につつまれている。
現在、国連の人権委員会がバンコクを訪れ、タイの人身売買問題などにつき、
8~10月と2ヶ月かけて調査を行なうが、近着のバンコク・ポスト紙に
ビルマ人の労働者の実態がルポされている。

ビルマからタイへの侵入ルートは、ビルマ側のミヤワディからタイのターク県の
メーソットへ入るのが中心ルートである。なんだか、昔の日本の敗残兵の
帰還コースだ。
あるビルマ人のカレン族の青年は、38人の仲間と共に2年前、ビルマの
ジャングルの中を3日間歩き、さらにタイのチェックポイントを避けるために
7日間歩き、南側のカンペーン・ペットの街へ入ったと言う。

そして、なぜか警察のピックアップ・トラックに乗せられ、バンコクへ運ばれ、
密入国の手数料を払う金がなかったので、ラヨーン沖の漁船に乗せられることに
なったという。借金を背負わされての漁船での労働は過酷だった。

不法入国は、ビルマ側のミドルマンが仕切る。
不法入国の輸送代、手数料あわせて、今の相場は2万バーツはするようで
(もっと高いかな)、この市場は、年に数百万バーツを生み出していると言う。

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ビルマ人の落ち着き先は、バンコクの南西、サムート・サコンの街が
中心のようだ。ここにビルマ人はじめ、100万人近くの外国人労働者がいるという。
ビルマ人を中心とする低賃金の外国人労働者は、
タイ人が働きたがらない職種で活躍する。
ゴム園、パーム栽培、建設現場、家事従事、そして小さな漁船での労働が
中心である。

労働の実態は、もちろん多数ではないだろうが、奴隷労働的なものが多いようだ。
サムート・サコンの漁業従事者の場合、58%が強制労働の経験があるという。
漁船に乗せられた場合、逃げたりしても見つかると、また別の漁船に乗せられ、
その都度、トレード料が、本人の債務に上乗せされて行くようだ。

タイ政府が最近施した外国人労働者の権利を守るための登録制度への登録も、
厳しい面があるようだ。タイ人の雇用主がいない場合、タイ人に雇用主となって
くれるようたのむと、12000バーツ要求されたビルマ人もいるという。

今のビルマやカンボジアから見ると、タイは希望に輝く就職地と
見えるのだろう。しかし、闇の中ではえさを狙う獣が暗躍する。
一歩ずつルールの整備をしていってほしいものだ。

外国人労働者の増大は、タイ人の賃金にも影響する。
タイの労賃が低いのは、外国人労働者の大量流入のせいだとまで
言われる。
問題は、安価な労働力の供給が近隣国から続く間は、
タイの企業の中に、技術革新や技術向上のインセンティブが
湧きにくいことだ。
熟練労働者の比率が10%を超えれば、事業の生産性は28%向上する
という調査結果があるそうだが・・。

「悪貨は良貨を駆逐する」と、人間を物には例えたくないが、
安価な労働力に安易に頼りきっていると、
タイ経済の技術革新、生産性アップは阻害されることになる。
by ucci-h | 2011-08-15 11:14 | ミャンマー・ラオス・カンボジア | Comments(3)
  

北タイのチェンマイをベースにメコン、アセアンの経済、見所、食べ物を日本と比較して紹介します。ただし投資をアドバイスするものではありません。コメント記入は題字をクリック下さい。
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